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世界改変 ~アップデート~  作者: 、、、、、
2 火国騒乱編
35/246

035_火国奪還戦4 戦争準備


 火国の研修生には、毎日朝から晩まで戦闘訓練をしてもらっていた。

 驚いたことに、レイランとリャンエンが道士をカンストした。

 道士になってから長時間が経過していて、戦闘経験を十分に積んでいたため、カンスト間近だったようだ。

 すぐに彼女たちを真人に進化させた。

 ただし、説明責任はきっちりと果たさなければならない。

 進化の実には俺の仙術が掛けてあるので、食べると裏切りはできないようになってしまうと説明し、それでもいいのならと仙桃を渡した。


「裏切りなど絶対にございません!」


「我らの忠誠に疑いがあるのであれば、何なりとご命令ください!」


 リャンエンとレイランが血相を変えて叫んだ。

 ちょっとアツすぎる。

 熱血にはついていけないところがある。


「わかった、それじゃあ食べてくれ」


 迷いなく進化の実を頬張った2人は道士から真人へと進化した。



 研修生にはひたすらウルフと戦ってもらい、武器の使い方、身のこなし方、役割分担とチームワークを学んでもらった。

 それに慣れたら他のモンスターをぶつける。

 様々な戦い方をするモンスターを相手に、戦い方の基礎と自分なりの戦い方を身に付けてもらう。

 結構ハードなトレーニングだ。

 研修生のやる気はまだ十分に持続していて、必死で付いてきているらしい。

 日が経つごとにコツを掴み、戦闘技術の向上が見られた。

 戦闘に慣れると、レベリングのペースも更に上昇した。

 その結果、1日でレベルが10ずつのアップしている。

 ちょっと異常なスピードかもしれない。


 こんな具合でどんどん訓練が重ねられた。


 進化の種を授与する際に研修生に説明する。

 あくまでも個人の自由と考えを尊重するので、これを拒否するのであればクラスアップはできない。


 研修生のうち何人かは難色を示すのではないかと思ったが、それは杞憂に終わった。

 みんな決意に満ち溢れた表情をしていた。

 そんな彼女たちが一糸乱れぬ姿で跪いて誓った。


「ラシル様のために、心からの忠誠を誓います」


 忠誠心というものにちょっとだけ怖くなった。

 そんなにいいのに。

 そこまで忠誠を誓わなくていいのに。

 でも彼女たちからしてみれば死活問題なのだろう。

 仕方のないことかもしれない。

 気持ちには気持ちで応えよう。

 こっちから裏切るような真似は絶対にすまい。

 そう心に誓った。


 進化の種でレベルアップを果たした研修生たちは、その後もスムーズにレベリングが進んだ。

 レベルが上がって強くなり、戦闘に慣れて自信が付いたからか、戦争に付いて来ると言い出した。

 自分たちの国のことなので自分たちも戦いたい。

 このまま訓練を続けるよりも、仲間を救出したい。

 お世話になりっぱなしは嫌なのだそうだ。


 これまでの、俺が現れる前までの火国であれば、十分な戦力になっただろう。

 仙術を使うことができなくても、道士以外の相手であれば通用する戦闘技能だ。

 今のレベルの彼女たちが1人でも村にいれば、その村は大抵の危機を乗り越えることができる。


 でも十分ではない。

 彼女たちはまた戦闘レベルさえカンストしていない。

 仙人種へと進化すらしていない。

 転移術はおろか、仙術さえ使うことができない。

 彼女たちの心意気には申し訳ないが、戦力外通告をした。



 レベリングを頑張っていたのは火国の者たちだけではない。

 新参者には負けてはならないと、ギルドメンバーたちも頑張っていた。

 ミイの報告によると、全てのギルドメンバーが戦闘レベルをカンスト。

 最初の種族への進化を遂げたそうだ。

 これで更にレベリングのスピードが上がることになる。

 悪魔種で召喚の魔法を使用できる者が増えるし、龍種も竜族召喚を使用できる。

 レベリングに使えるモンスターが召喚によって賄いきれるのは、とても良いことだ。

 どんどん召喚して、いっぱい強くなってもらおう。


 禁城の仙人たちも強くなっていた。

 セシュレーヌが召喚した竜種との戦闘を繰り返し、300名ほどいる全ての住民が仙種レベルで100を突破。

 半数以上の者が大仙人に到達し、転移術が使用可能となった。

 前に比べると、これは非常に便利になった。


 仙人種最強の神仙になった者から順番に他の拠点や火国の町や村の防衛任務に就いてもらっている。


 もちろん、配下だけに忙しくさせていたわけではない。

 俺も猛烈にレベリングを頑張っていた。

 レベリング自体は楽しい。

 これを仕事に分類していいものか、ゲームの延長線上として捉えていいのかは議論の余地がある。

 でも頑張ったものは頑張ったのだ。

 徹夜でゲームをしたような達成感がある。

 俺はついに仙人種のレベル上限に達し、精霊種にクラスチェンジした。

 クラスチェンジという事象が、この世界においても可能かどうかという不安があった。

 精霊種の進化の実である野苺を食べ、レベルの泉を覗くと、ゲーム時と同様、問題なく進化できていた。

 これでまた戦力の大幅な強化が可能になる。


 因みに、クラスチェンジしても元の能力は使用できる。

 クラスチェンジ後の条件について、色々実験し、ミイやベッフィーと話し合った。

 その結果、ゲーム時に適用されていた法則と変わりなしという結論に至った。

 クラスチェンジをすると、レベルの上昇に伴い、ステータスも元のものにプラスされて上がる。

 例えばHPやMPであればそのまま増え続けるし、それとは別に進化後の種族特有のスキルも使用可能となるる。

 精霊種であれば、精霊魔法の使用が解禁になる。

 精霊魔法は仙術と相性が良く、二つの力を掛け合わせて使用することができる。

 精霊魔法はエレメントを元にした、物理法則上のエネルギーの抽出と放出なので、それに仙術の高度な操作技術を加えれば、より強力な力となるのだ。


 クラスチェンジは良いことばかりであるものの、レベリングの方法に縛りが発生してしまう。

 今までのように、ただ闇雲に敵を倒せばいいという風にはならない。

 例えば、今回のように精霊種に進化した場合、精霊種のモンスター、つまりエレメントを倒すか、普通のモンスターを精霊属性の魔法で倒すかしなければ、精霊種の経験値は入ってこない。

 精霊種に進化した直後は精霊魔法はまだ使えないので、どうしても対エレメント戦闘が必要になる。

 そこはロメリアにつきっきりで相手をしてもらっていた。


 午前中はセシュレーヌ領で精霊種のレベリングを精力的に行い、昼食を取る。

 午後は配下のレベリングの進捗確認とクラスアップの管理、ミイやショウ、ベッフィーとの打合せ。

 それが終わるとまた夜までロメリアとレベリング。



 精霊種は強い。

 というより倒しにくい。

 純粋な精霊種は、力の塊みたいなものだ。

 見た目は小ぶりな太陽。

 もしくは大きな光の球。

 属性によって色が違い、とても綺麗だ。

 火属性の赤、土属性の茶色、水属性の青。

 光の色が濃くて、大きいほどほどレベルが高く、極限まで聖地用したものは大精霊と呼ばれる。

 大精霊クラスが長い時間をかけて自我を獲得すると、人型となることができる。

 逆に、色が薄くて小さいほどレベルが低い。

 生まれたての精霊種を飾れば洗練されたインテリアとかになるかもしれない。


 精霊種にはHPがない。

 そのため、単純な物理攻撃は通用しない。

 MPのみで構成された体には魔法攻撃のみが通用するのだが、下手な魔法攻撃は吸収されて逆効果になる。

 同じ属性の攻撃は精霊種にとって回復攻撃になる。

 木属性のエレメントであれば火属性を使う、というように優位な属性で攻撃されるとダメージが大きくなる。


 精霊種が特に重宝するのは、拠点防衛の際である。

 魔法攻撃しか効かない精霊を弱点属性を補填する形で配置すれば、鉄壁の防御となる。

 倒すのに時間がかかるので足止めになり、敵はMPを消費しなければ倒すことができないので、消耗させることもできる。

 モブであれば、まず突破することはできない。

 守備は完璧だが、攻める時には向かない。

 移動が遅く、自我がないからだ。

 移動しながらの攻撃は複雑な命令が必要なため、いちいち召喚者を介して行う必要がある。


 

 レイランには弱い精霊から召喚してもらっている。

 効率重視でやっているので、早くもレベル20になっている。

 このレベル上限は100なので、あと80。

 

 そしてレベリングには、必ずミイが一緒に参加している。

 なぜか。

 それは危ないからだそうだ。

 レベリング中に俺が怪我をしたり、うっかりやられて死んでしまうことを防ぐのだという。

 何を馬鹿なことをと思いつつ、やられるわけがないから一人でいいとミイに言ったら、馬鹿を言っているのはお前だという勢いで諭されてしまった。


 なんでも、レベリングには安全マージンが必要であり、連続してレベリングをするのであれば、それをしっかり管理しなくてはならないのだそうだ。

 レベルアップを急ぐあまり、判断力が鈍り、その時点では強すぎる敵と戦ってしまう可能性もある。

 近くにいて一緒に戦闘することで、そういった不慮の事故に遭遇する危険性が下がる。

 こんな具合に俺は懇々と諭されて、確かに言っていることは全て正論なので、同行を認めざるを得なくなった。 



 ちなみに、ミイは悪魔種にジョブチェンジした。


 実は、ミイはもともと吸血鬼なのである。

 激レア種族で、ゲームの世界では、ミイの他に現存する吸血鬼を見たことがない。

 レアだから重宝しているという訳でもないのだが、それを知ってからギルドの秘密兵器という扱いにしている。


 そんなミイに最近、困っていた。


「ラシル様の血を吸わなければ、死んでしまいます」と言っているからだ。


 吸血鬼はどうやら吸血するらしい。

 吸血鬼なのだからそれは当たり前だと言われれば、当たり前の話なのだが。

 でも俺は納得していない。

 本人が必要だという自己申告があり、その必要性の真偽を確かめる術がないために、吸血行為を許容しているに過ぎない。


 これはあくまで俺の推測である。

 吸血鬼がなぜ吸血鬼として存在しうるかという深い問題である。

 吸血行為とは、吸血鬼以外の者が実行不可能な、他人の力を入手することであると定義している。

 例えば血液。

 人間の血は人間の体の中でしか作り出せない。

 輸血などの現代医学の発達の例外を除き、他人の血を自分の物とするのは、事実上不可能なことである。

 では、ゲーム世界においての吸血鬼とは何か。

 それを深く考えた時期があった。


 もし仮に吸血鬼が本当に文字通り「吸血鬼」であるのならば、ごく一般的なモンスターとして存在しているはずである。

 それは、動物の血を吸うモンスターという形で。


 しかし、吸血鬼であるとゲームのシステムが認識している個体は、俺の知る限りミイだけである。


 この事実が、俺の考えるところの、吸血鬼問題の本質なのだ。


 それはなぜか。

 

 血を吸うモンスターと動物の肉を食べるモンスターとの違いについて、差別化ができないのだ。

 例えばモンスターが人間に噛みついていたとして、それが肉を食べようとしているのか、生き血をすすろうとしているのか分からない。


 吸血鬼はもっと特別な存在なのだと俺は勝手に仮定している。

 吸血鬼というのは比喩で、実際に近いのはエナジードレインなのではないかと実は密かに考えていたりする。


 つまり、相手のHPやMPを何らかの形で吸いとる力、それが吸血鬼の正体なのだ!


 しかしそれは検証するに至っていない。

 よってミイの申し出を断るわけにはいかない。

 吸血するのに、他のギルドメンバーではだめなのかと聞いたら、システムの設定上、自分よりも上位者を吸血しないとパワーアップできないらしい。

 それどころか、存在の維持さえもできないというのだ。

 困ったものだ。

 どうしてそんな疑義を抱くようになったかというと、それにはちゃんとした理由がある。


 最初、ミイは生きていくために毎日吸血が必要だと言っていた。

 それは吸血鬼に進化した当初のことである。

 ご飯と一緒という理屈であった。


 しかし、1か月ほどして俺は気付いた。

 俺の非ログイン時間が24時間を超えていたのだ。

 その時のミイは瀕死の状態や、消滅寸前というステータスではなく、いつも通りピンピンしていた。

 その疑問を素直に伝えると、どうやら2~3日は大丈夫なようですという回答が返ってきた。


 早く言ってくれ。

 そのせいでリアルの仕事を早退したり、遅刻したり、休んだりしたのだ。

 その後も吸血しなくてもよい期間が長くなり、最終的には2週間に一度は血を吸わねばならない、ということになっている。


 本当だろうか。

 検証する必要がある。

 でも未だに検証できていない。


 それは美少女に抱き着かれて首筋を噛まれるという禁断の行為を残すべきだ、という浅ましい理由からではない。


 決してご褒美の時間だなどとは思っていない。


 わかるだろう?






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