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015_周囲の探索11 真人到達


 仙人種に進化したことで仙術を扱えるようになり、戦闘能力が飛躍的に向上した。

 道士は仙人種の第一段階という低い位置にあるが、それでも物理攻撃しかできなかった今までとは比べ物にならない。

 仙人種への進化は、超進化と呼ばれるものであり、ゲームでは転生と言う人もいた。


 ウルフ相手であれば一撃で簡単に倒せる。

 肉体強化もされてるので、物理攻撃のみでも倒せるし、物理攻撃に風属性の仙術を付与することで、その切れ味が格段に良くなる。

 仙術のみを使用しての戦闘も可能となり、非常に使い勝手がいい。


 また攻撃を受けてもほとんどダメージを負わない。

 今まで警戒しなければならなかった攻撃も、無視しても問題ないほどになっている。

 言い過ぎかもしれないが、丸めた紙でペシペシと叩かれるようなレベルだ。

 それでも攻撃を受けるのはカッコ悪いので、みんなちゃんと避けている。

 ダンジョンウルフが強敵だったのは過去の話で、もはや雑魚になっている。

 彼らはモブキャラに降格した。


 発生したばかりのレベルの低い小型の竜族でさえ、2~3回の通常攻撃で倒すことができるようになった。

 レベル的に言えば、竜族はまだ戦闘レベルの段階で、龍種への進化前なのだ。

 竜族は龍種に超進化すると、人型になることができる。

 龍種は圧倒的に強いのだが、そんな個体はまだ確認されていない。

 実際、進化前でも十分強いのだが。

 道士となった俺たちは、スモールドラゴン級あれば、1人で3匹から4匹を一度に相手にしても、まだ余裕がある。


 洞窟内の分岐点を左へと進み、下の階層へ降りて行った。

 もう松明を持つ必要もない。

 進化の影響で夜目が効くようになったし、敵の気配も感じ取れるようになった。

 火属性の仙術を使えば、周りを明るくすることもできるし、篝火への種火としても使える。


 いつもと同じように広間のようなところにまた大量にいる竜種。

 いつもここに集合している。

 ここはボーナスステージか? それとも何かの集会所か?

 そんな疑問が頭をよぎる。


 ゲームの世界では、竜族を倒した時の経験値は他のモンスターを倒したときよりも格段に良かった。

 討伐時の経験値の増加率が高いのは、竜族と人である。

 勝手な推測だが、これは恐らく知性に関係しているのだと思う。

 レベルが同じでも、より知性のあるほうを倒すほうが経験値の入りが良い。

 知性ある者は同じ力を持っていても、工夫して様々な技を繰り出すことができるからでもある。


「これでようやく少しはマシになりましたね」

 ショウがニコニコしながら竜の死体をアイテムボックスに放り込んでいく。

 仙術や魔法を使えないというのは大変な不便を強いられるのだ。

 それは携帯電話や24時間営業のコンビニに慣れた者が、圏外の無人島で生活するようなものなのだ。


 少しずつ力を取り戻していくのが嬉しいのだろう。

「レベルアップの速度も上がるのぅ」

 クゥは嬉しそうにシャドーボクシングをしている。


 俺たちは広間の敵を一瞬のうちに片付けていた。

 更に広間の先から湧いてくる地竜までも片付け終えると、先へと進んだ。

 時折出てくる地竜を掃除でもするように倒しつつ、一本道を100メートルほど進む。

 アースドラゴンが3匹とスモールアースドラゴンが10匹の群れと遭遇した。

 アースドラゴンは土属性の術を使ってくるので、油断はできない。


 俺とショウが周りのスモールを片付け、ミイとクゥにアースの相手を任せる。

 スモールを全滅させ次第、援護に入るという作戦。 

 クゥが先を競うようにアースに跳びかかった。

 ファイアナックルで一発食らわせ、すぐに離脱。

 クゥの与えたダメージも凄いが、離脱のスピードも凄い。


 ミイもアースに向かって走る。。

 追い抜きざまに足を切り裂く。

 足を切られたアースはミイの速度に反応できていない。

 そのアースをミイは放置し、本命である2匹目の胴を狙って側面から切り込む。

 ミイの刀がアースの体にめり込む。

 切れ味が良すぎて、切られた後でなければ切られたことにアースは気付かない。

 その証拠に、ミイが斬ってから数秒後に悲鳴のような咆哮を上げた。


 ミイとクゥの攻撃がかなり効いている。

 1匹を倒したところで、5匹のスモールが同時に突っ込んできた。

 バックステップで回避したところにすかさずショウの矢が襲う。

 怯んだスモールたちにショウがカマイタチを食らわせる。

 3匹重症で2匹撃破。

 まだ生きている3匹に順番にトドメを刺していく。

 

 少し離れたところにいるクゥ。

「グァーー!!」と唸ったアースの顔面にクゥが強烈な一発。

 ミイも応戦し、アース1匹を撃破。

 クゥは向かってくる2匹に向き直る。


 勢いづいたショウもカマイタチを大量に出した後、接近しながらサバイバルナイフで切り裂いていく。

 完全に楽しんでいる様子。

 これは、俺以外みんな戦闘狂なんじゃないか。

 困ったものだ。


 残りの5匹のスモールはショウに任せることにし、クゥの援護に向かう。

 アースの後方から切りかかる。

 その隙をついてクゥが強烈な必殺技を発動。

 拳から紅蓮の炎が上がり、1匹撃破。

 最後の1匹はミイが仕留めているところだった。


「中型でも余裕だな」


「クーックック。妾はまだまだいけるのじゃ!」


「もう少し歯ごたえのある敵が欲しいところです」


「油断は厳禁よ、ショウ」と、ミイが窘める。


 それから俺たちはガンガン進んだ。

 小型よりも中型の数が増えてきた。

 アースに関しては、1対1がもはや安全マージンの範囲内になっていた。


 この日は中型を一人15匹は撃破した。

 小型のスモールは数えきれないほどである。



 禁城に戻り、レベルを確認。

 俺が15、クゥとショウが16、ミイが17になっていた。

 やっぱり竜族はすごい。

 レベルがガンガン上がる。



 そこから3日ほど、俺たちはひたすら洞窟でレベリングをした。

 戦闘中に誰かが指摘しないと、お昼ご飯を忘れるほど。

 ゲームに熱中するように、夢中になっていた。



 ある日は分岐点を真っすぐ進み、スモールの大群と激突。

 洞窟にはアースもいたが、スモールの数のほうが多かった。

 戦闘を繰り返し、いくら進んでも出口らしきものは見えなかった。

 そこでまた分岐点まで戻り、左へ曲がり、下に降りた。

 アースがメインで出現し、時々グレートアースドラゴンも登場した。

 なんとなくであるが、階層が下のほうが強い竜が多いらしいということが分かった。

 2日ほどその階層をメインにしてレベリングした。


 第二階層目で多いのは地竜のパーティ。

 ごく稀に巨大ウルフなどの他のモンスターもいた。

 草原にいるものと比べると、大きくて素早いが、俺たちの敵ではなかった。

 竜族と比べると、どうしても見劣りする。

 スケルトンもスケルトンソルジャーやスケルトンナイトなどの上位種が出現。

 相手は数と不死性でこちらを上回っていても、それ以上に俺たちは余裕で敵の防御力を上回っている。

 素早さもこっちが上。

 ガラスのコップを砕いていくような、もはや戦闘というよりも作業に近かった。


 第二階層の奥で地竜の群れを発見。

 スモールアースドラゴン15匹、アースドラゴン8匹とグレートアースドラゴン3匹だ。

 スモールならなら1人で数体。

 アースなら、1対1。

 グレートは安全マージンを取って全員でかかる。


「グレート以外、各自殲滅。ショウはグレートの注意を引きつけることをメインで。その後全員で1匹ずつ叩く」


「了解!!」

 返事と当時にクゥが走る。

 その後を俺とミイが続く。

 ショウは集中して大規模射撃の準備をしている。


 クゥががスモールに襲い掛かり、一撃で次々と仕留めていく。

 その間を縫って俺とミイが走る。

 神がかった連携。

 アースの左右に展開。

 胴を狙って一撃を繰り出している間に接近してきた別のアースはショウが後方からの効力射撃で抑える。

 怯んだアースにミイがトドメ。


「行けます!!」


 ショウが叫び、みんな一時離脱。

 風属性を加えた矢の雨がフィールドを覆った。

 竜たちが吠える吠える。


 再度走り出したクゥが5匹めを撃破。

 こちらもアースの首を落とし、ミイが2匹目に取り掛かる。

 ここでグレート達に動きがあった。


「来るぞ!!!」


 3匹同時のアースクェイクだ。

 地面がグワングワンと揺れる。

 岩肌が荒々しい鞭のように波打っている。


 右手を天高く掲げ、ジャンプで回避。

 名付けてスーパーラシル。

 ミイはその場で地震が過ぎ去るまで耐えているが、クゥにとっては全く関係ないとばかりに波打つ絨毯の上を滑るようにしてどんどん敵を屠っている。


 地震が止んだ頃にはスモールが全滅していた。

 アースは2匹討伐。

 残りはアース1匹とグレート3匹だ。

 ここでショウがクレートアースドラゴンに真空斬を発動。

 現時点でのショウの必殺技。

 狙った1匹を見事に戦闘不能の重体にした。


 ショウの戦闘ぶりに触発されたミイが後ろに回り込み、尻尾から胴までを切り裂く。

 クゥもジャンプしてグレートの顔面に必殺技を食らわせる。


 俺は離脱すると、最後の1匹のグレートと対峙。


「また来るぞ!!」


 今度は岩での攻撃。

 上から大振りの岩が勢いよく落ちてくる。

 俺はグレートの腹の横でやり過ごす。もちろんお腹に剣を突き立てている。

 ミイとクゥは上から落ちてくる岩を読み切り、ショウはカマイタチで岩を壊している。


 更にアースを倒したミイとクゥはそのままツーマンセルで最後のグレートに挑む。

 グレートはHPが高く、防御力も高いので、同時攻撃で一気にけりをつけたほうがいい。

 クゥが腹部にパンチを食らわせ、直後にミイが胴を切り裂く。

 ショウが側面から矢を浴びせかけ、それに反応したグレートがショウの方を向いたところで、ミイが上から首を取りに行く。

 驚異的な戦闘技術。見ているこっちが怖くなる。


「ぐぁーーーー」竜が崩れる。


 全部撃破。

 殲滅完了。


 楽しい。


「クーっクック。これが妾の力じゃ」


「僕は師匠と冒険がてきて幸せです」

 なんというか、非常に充実していた。


 戦闘センスが抜群のパーティ。

 連携もばっちり。

 負ける気がしない。


 こんな調子で俺たちはどんどん攻略していった。

 第二階層にはさらに下へと続く分岐点があるのを発見。

 迷いなくその道を選択。


 そこは溶岩ステージだった。

 道の左側には灼熱の溶岩。

 高温のドロドロとした赤い液体が流れている。

 ブクブクと泡を吹いている場所や、流れの早い場所がある。

 まるで川だった。


 真夏に、冷房の効いた建物から出た瞬間のような熱風が吹き付ける。

 もちろんそんなものよりも100倍熱い。

 それに危険だ。

 落ちたらとても危ない。

 俺たちは確かに進化したが、防御無敵というわけではない。

 どのくらいダメージを食らうか、どのくらい危ないのかを実験してみたかったが、さすがにやめておいた。

 何事にも取返しのつかないことはあるのだ。


 このステージでは思ったとおり火竜が出現。

 スモールファイアドラゴンとファイアドラゴン。

 完全に相手の土俵。

 アウェー感が満載の中で戦闘開始。


 風属性や水属性をメインに使うことで何とか撃破することができたが、戦闘の難易度は上がった。

 少し進んだところにいた大型火竜のグレートさんは難しかった。

 溶岩に気を付けながら戦わなければならないのと、火竜に対しての攻撃があまり効かなかったのだ。

 なぜなら火竜は近くに火があることでパワーアップしていた。

 地面がどこにでもある地竜はHPが常に高いが、火竜の場合はパワーアップがそのまま攻撃力のステータスに加算される。


 クゥのファイアナックルは属性的に効かない。

 物理攻撃が唯一効果的な手段であるが、グレートさん相手に打撃だけというのは辛い。

 風も火との相性が悪い。

 よっぽど強い風でないと火は消えないし、酸素を送り込むことになるため、逆に火を助長させる。

 水属性もこの環境ではあまり意味がなかった。


 やむなく撤退。

 仕方なく涼しい上階層でレベリングをした。



 3日後。

 俺たちはついに仙人種レベル40に到達。

 1日にレベルにして10くらいずつ上げていったことになる。

 努力の成果だ。


 遂に仙人種での進化、ランクアップが可能になった。


 次のランクは真人。

 真人になると仙力が大幅にアップする。

 それは大体2倍程度。

 ランクアップするごとに、単純計算で2倍、4倍、8倍と力が増えていくのだ。

 容量が増えることで、複数属性の同時使用が可能になる。

 

 例えば火と風を同時に使うと、爆発なんかもできるようになる。

 まだ真人なので小規模の爆発しかできないが。

 他には風と水でウォーターカッター。

 進化して水圧を上げて威力を増せば、ダイアモンドでも切り裂くことができる。

 火と水だと霧を発生させたり。

 もっと進化して威力を上げると水蒸気爆発とかも可能になる。

 

 これで使える仙術の幅が広がる。

 仙術の幅が広がれば、戦い方も工夫次第で色々とできる。

 それだけではなく、純粋な仙力の増強、攻撃力も2倍になった。

 グレートさんが相手でも大丈夫になるのだ。


 アイテムボックスから青い仙桃を取り出してみんなに配る。


 最初にショウ。

 能力値と仙術が大幅に上昇。

「これで色々とできるというものです。僕は頭脳労働者ですからね」と嬉しそうに言っている。

 暗に切ったり投げたりする戦い方よりも仙術のみを使いたいと言っているように聞こえる。

 宝貝はまだそのままでいいとのこと。


 次にクゥ。

 青仙桃を食べると、10歳くらいに成長。

 ついさっきまで小学校に入ったばかりだったたというのに、もう高学年の仲間入りだ。

 とても可愛い。

 クゥも仙人種をカンストするまで、武器はこれでいいという。

 進級祝いではないが、高学年になったクゥにプレゼントを考えた。

 

 あれを渡そう。


 キツネのお面。

 アイテムボックスからそっと取り出し、クゥに渡す。


「!!!」

 クゥの目が大きく見開いた。


「ぬ、主様、これは……!!」


「お前にやるよ。ランクアップ祝いだ」


「で、でも」


「真人だからもう使えるだろ。本当の力を引き出すのはまだ難しいかもしれないが、有意義に使ってくれ」


「主様! ありがとうございます!」

 クゥが薄っすらと涙目になってお面を受け取る。


 これはクゥにとって特別なお面なのだ。大事にしてくれるだろう。

 クゥがキツネのお面を被る。

「これでは妾の顔が見えなくなるのじゃ」と言って、顔を全部隠すわけではなく、横にして被った。

 ミイとショウが羨ましそうにはしゃいだ姿のクゥを見つめる。

 お前たちにはまた今度。

 心の中で付け足した。

 


 続いて俺とミイもランクアップした。

 力がまた一層強くなったのを実感する。

 俺たちも武器はこのままでいくことにした。

  

 その他のギルメンのレベリングも目覚ましい。

 ニボシ以下数人が戦闘レベルをカンスト。

 仙桃を与え、道士に到達。

 一番低い者でも戦闘レベル70。

 かなり頑張ってくれている。


 ニボシが道士に進化したたことで、監視対象の村への接近距離を縮める許可を出した。

 初期の風属性の仙術を使えば、遠くから姿を誤魔化すことができるようになるのだ。

 強くなったことにより、安全性も向上したことから、周囲の偵察も同時に任務として与えた。

 これでもう少し詳細な情報が得られるだろう。

 ただ、油断や無理は絶対にしないように徹底する。


「ラシル様のお言葉、肝に銘じるでござる」

 ニボシが跪き、緊張感を孕ませて答えた。


 こちらの存在はまだ秘匿しておきたい。

 誰かにばれるというのが一番やってはいけないことなのだから。



 仙人種のレベル80に到達すれば、転移術が使用可能となるはずである。

 また、禁城の施設の機能の一部解禁も検討しよう。

 本当であれば、仙人種カンストの神仙まで待ちたいところだが、そろそろ風呂にも入りたいからだ。





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