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012_周囲の探索8 山脈方面


 この世界に来て10日が経った。

 まだまだ不明なことや不安なことも多い。

 例えば、この世界に住んでいるとされる知的生命体のレベルがわからない。


 知能の低いモンスターと、知能のある人間とではその強さや厄介さが違う。

 知的生命体は武器や鎧などの装備も作るだろうし、強くなるためにレベルを上げる。

 もしかしたらレベルがとてつもなく高いかもしれない。

 あの壁を作る程度の文明だったらいいが、それが大きく進化しているとなると、脅威である。

 というわけで、これといって他にやることも無い俺たちは、引き続き強化に励む。

 

 禁城の西の森の先には壁があり、そこから先には進めない。

 草原のモンスターは弱く、森のモンスターもレベリングには適さなくなってきていた。

 草原、森ときたら次はどこか。

 南の山脈。

 実はその付近に洞窟を発見していた。

 つまり進出可能なステージは山脈と洞窟である。


 山脈と洞窟、どちらが危険だろうか。

 それはもちろん洞窟である。

 暗くて先が見えないし、その上、仲間とはぐれやすい。

 ミイも他の皆も同じ意見だった。

 というわけで山脈に向かうことにした。


 他の全部隊は森へ派遣。

 この調子でいけば、もう数日もしないうちに大半の者がレベル30まで到達しそうな勢いだ。

 問題が一つある。

 もちろんバリアにお金がかかっていることや、他の拠点との連絡が取れないといった大きな問題もあるのだが、現在の問題は2つだ。


 一つは食料。

 持っている食料系のアイテムを使用したり、倒したモンスターを食べてはいるが、このままではいつかは底をつく。

 300人の食料である。

 飢餓が起きる可能性もあり、座視できない。

 最低限お腹を満たすことができなければ、現在の状況を維持できない。

 俺の城に限って食料不足から来る一揆など起きないと願いたいが、それでも食糧難で餓死者は出したくない。


 次にレベルアップの問題だ。

 クラスのレベル上限に達した後、さらにレベルアップするためには、クラスの進化が必要なのだ。

 それは現在レベリング中の戦闘レベル。

 100になればカンストする。

 そこから次の段階へ行くためには仙桃というレアアイテムが必要になる。



 現在仙桃の補給ができていない。

 補給の目途が立っていないままで消費することになる。

 仙桃を植えれば仙桃の木ができるはずだが、初期の木は発育が遅い。

 1本の木から実ができるので、ゲームの設定では100年かかる。

 できたとしても1年に1つという収穫量なのだ。

 それを短縮するためには、100個の仙桃を消費する。それで瞬時に発育は完了し、成人の木になる。

 またそこから発育個数を増やすのも、大量の仙桃を消費する必要がある。

 同時に発育スピードを速めるためには、俺の仙術が必要なのだ。

 早く大仙人くらいまでには到達しなくてはならない。


 そのために今日もせっせとレベリング。

 南東の山脈の一合目付近で警備員をしている。

 気分は山岳警備隊。

 危険なモンスターを狩り、人命を守る。


 遭難者はいないかな?

 どうやら登山客もいないみたいだ。

 ごつごつとした岩肌。

 草や花、木などは一本も生えていない。

 そう、ここは険しい山脈地帯。

 森のように食料はない。

 弱肉強食の厳しい世界だ。


 過酷な環境に身を置くモンスターは強かった。

 草原や森よりも断然強い。

 すぐ近くに食料の宝庫たる森があるんだから、そこに行けばいいのに。

 こんな厳しい環境に身を置く奴らがいる。

 なぜ森に行かないのかと聞いてみたいけど、答えてくれるわけもない。

 多分事情があるのだ。

 森アレルギーとか、花粉症とか。


 とにかくモンスターというのは、いるところにはいる。

 そう考えるしかない。

 山脈のモンスターは数が少ない代わりに、強力な個体が多い。

 狼はもちろん強くて、ちょっとだけ賢い。

 『マウンテンウルフ』と命名。

 マウンテンウルフは単体で活動しているか2~3匹のチームを組んでいた。


 森よりも視界が広く、モンスターの数が少ないので戦いに集中しやすい。

 だからなのか、それとも他に原因があるのか、クゥが調子に乗っている。


「突撃なのじゃ~!!」


 クゥの号令を合図にして、ニボシが捨て身の特攻を敢行。

 俺にいいところを見せようとでもしているのだろうか。

 そんなに活躍してもボーナスなんて出ないぞ。

 給料も出していないけどね。


 それに遅れまいと一呼吸遅れて俺も突撃開始。

 呆れたようにミイも後ろからピッタリと付いて来る。

 号令を出したクゥといえば、初動が一番遅かったはずなのに、敵に一番乗りしている。

 さすが素早い獣、狐というだけある。


 戦闘に関して言えば、完璧だった。

 ここ数日の冒険した経験がよく生きていた。

 役割が確立し、チームワークも抜群。


 山脈エリアはモンスターの遭遇確立が低く、山の二合目付近もマウンテンウルフの群れを1つ発見するだけで終わった。

 たくさん歩き回ってようやく発見した集団。

 マウンテンウルフが7匹単位で集団を作っていた。

 彼らは強いが、俺たちのレベルアップはそれよりも早い。

 修行の成果である。

 俺たち1人に対して3匹を相手にしても、軽く倒せてしまった。


 意気揚々と三合目へ。

 ここからはマウンテンウルフも強力な個体がでてきた。

 30匹程度の群れを成しているボスがいた。

 他の狼たちよりも一回り大きく、その下にさらに小隊のリーダーらしき狼が数体。

 俺たちの接近に気付き、遠吠えを始める。

 数が多いので撤退戦にするかどうか迷ったが、そのまま行くことにした。


 マウンテンウルフたちはチームワークを重視して攻撃してくる。

 1人で10匹前後を受け持つ。

 マウンテンウルフのリーダーは1人でなんとか倒せるレベルと見た。

 安全マージンを取って、2人以上で倒すことに決定。

 知能が高いマウンテンウルフのリーダーは、部下のウルフ数匹を囮にして、こちらを1人ずつ潰そうとしてくる作戦を取っていた。


 群れで連携を取り、攻撃とけん制に分かれている。

 でも甘い。

 こちらはゲームの期間を含めて、何年連携していると思っているのだ。

 クゥに10匹の群れとリーダーウルフが襲いかかる。

 無理や油断をするなと強く言っているので、クゥは逃げ回りつつ、1匹ずつ削っていっている。

 サーカスの曲芸でも見ているかのように、クゥは華麗に敵の攻撃をかわしている。

 俺とミイは二人で背中合わせに戦い、ニボシが走り回って敵を1匹ずつ無力化していく。


 気を付けなければいけないのは、やはりリーダーだ。

 数匹の囮を使い、囮が倒された後のちょっとの隙をついて一撃を入れてくる。

 クゥはそれを上手く見極め、一匹倒したらすぐに離脱という行動を繰り返している。

 見ていて安心して任せられる。


 こちらにいる敵の数が少なくなってきたので、ミイにクゥのフォローを命じる。

 間もなくして無事に撃破。


 登山を再開し、さらに上を目指す。


 空気も薄くなりはじめ、登り道もちょっときつくなってきたところでワイバーンが出現。

 この世界に来て初めて竜族である。

 へぇ、こっちにもいるんだ。


 竜族は強い。

 防御力も高いし、攻撃力も高い。

 ゲームの世界と同じであれば、術も使ってくるはずだ。

 しかしその代わり、得られる経験値も高いのだ。

 その設定は同じかどうかわからないが、もし同じであればレベリングのスピードが格段に上がる。


 ワイバーンがこちらに気付き、飛んでくる。

 地面から少し浮いたところで羽ばたいている。

 風圧も凄い。

 そんなに大きくない個体で、2メートルほどだった。


「油断せずに行くぞ!!」


「はい!!」


 やる気満々のみんなが動き出す。

 ミイと2人で正面から切りかかる。

 ワイバーンは後ろ足を使って攻撃を弾く。

 クゥはとニボシが後方から仕掛ける。

 尻尾の動きに注意しながら飛び上がって攻撃する。

 背中に攻撃を食らったワイバーンは唸り声をあげて、地面に着地する。

 尻尾を振り回したが、もうすでにクゥもニボシも離脱している。

 後ろに気を取られている隙にミイが側面から薙刀をふるう。

 俺も首を狙って切り上げる。

 深手の重症を負わせた。


 ワイバーンが身を守るために必死の抵抗を開始する。

 風の術を使用。

 突風が吹き荒れ、クゥが飛ばされそうになる。

 風を凌ぎ切り、再度攻撃に転じた。

 クゥがお返しとばかりに後ろから首を狙った一撃。

 ワイバーンはスビートについてこれずに回避することができない。

 クゥの爪にワイバーンが倒れる。


 撃破した。


「クゥ、よくやった」

 俺はそう言ってクゥの頭を撫でた。

 クゥは嬉しそうに目を細めている。

「あ、あの、ラシル様」

「なんだ?」

 ミイが何かを言いたそうにもぞもぞとしている。

「私も頑張ったのですが…」

「ああ、よく頑張った」

 俺はミイを労ったが、まだ何か言いたそうだ。

「はい、ありがとうございます」

「次も頼む」

 俺はそう言って歩き出した。

 クゥとニボシも続く。

「私にもご褒美を」と何かミイが小声でいっているように聞こえたが、気のせいだろう。


 ワイバーンは滅多に出現しなかった。

 途中で1匹と、頂上付近で3匹遭遇し、撃退した。

 頂上付近の3匹のうち、1匹には逃げられた。

 彼らは飛べるのだ。

 追いつけるはずがない。

 進化すれば俺たちも飛べるようになるのだが、これはまだ先の話だ。


 山の頂上から改めて周囲を見回す。

 西には昨日行った森。その先もずっと森が続いており、大森林を形成している。

 後ろの南側には山々が連なっており、他の山はこの山よりもずっと高く、頂上が雲に隠れて見えない。

 登山を続けながら進むのは現実的ではなさそうだ。

 北と東には草原がずっと続いている。

 そして俺たちはあるものを発見した。


 北東付近にぽつんと黒い点があるのだ。

 目を細めてみると、岩や林地ではなく、人工物のような気がする。

「見えるか?」

「主様、あれは村のようじゃ」

「そうですね、うっすらとですが木の柵のようなものと、家の形をしたものか見えます」

 ミイとクゥの目は良い。

 クゥは種族的に狐だし、ミイも進化後の種族の身体能力が高いのだ。

 やはりそうか。

 知的生命体がいたんだ。

 接近や接触は慎重にしなければならない。

「よし、戻るぞ」

「かしこまりました」

 ミイが恭しく礼をする。

 そんなにかしこまらなくてもいいのに。



 帰り道もモンスターと戦った。

 遭遇したのはマウンテンウルフだけで、ワイバーンは出現しなかった。

 もしかしたらあまり生息していないのかもしれない。

 下りだったこともあり、登りよりも移動時間が短かった。


 禁城に戻り、冷たい水で身体を拭く。

 早く温泉につかりたい。

 それもこれもレベルを上げればいい。

 仙術や魔力があれば使えるようになるのだ。

 もちろん今でも金貨を消費すれば使えないわけではない。

 しかし、金貨の消耗が激しすぎる。

 もう少しの我慢だ。


 レベルの泉で今日の成果を確認する。

 今日レベリングをした者たちが回りを囲んで順番の列を成している。

 そう、現状確認はとっても大事なのだ。

 自分がどの程度の強さで、何ができて、なにができないかを見極めなければならない。

 レベリングをしたら必ずステータス変化をチェックするように言っている。

 俺たちが到着すると皆が道を開けた。


 俺のレベルは45。ミイもクゥも同じ。ニボシは37。

 戦闘回数が少なかったのに、竜族であるワイバーンを倒したからか、上がり具合がよかった。

 まぁまぁの成果だろう。

 次の段階への進化はレベル60になったら可能となる。

 現在の俺たちは戦闘レベルといわれるものを上げている。

 それはレベル100でカンストするもので、そこから次の段階へと進化できる。

 転生と呼んでもいいかもしれない。

 レベル100に到達した後に仙桃を食べると、仙人種のレベルが解放されるのだ。

 そこへ到達すると、戦闘力が桁違いになる。


 他の者のレベルも確認した。

 俺たち以外でレベル30に到達した者がいたので、進化の種を食べさせる。

 彼らも今日で初心者訓練用ボディスーツを卒業し、 中級者訓練用プロテクトスーツを着用することになる。

 アイテムボックスから引っ張り出して彼らに与えた。

 


 レベルの確認も終わり、俺たちは会議に入った。

 議題はこれからのレベリングについてと、今日発見した村についてだ。

 まずは村をどうするか。


 村があるということは、そこには当然人が住んでいる。

 知的生命体がいて、この世界の情報を入手できる良い機会だ。


「仙人種が解放されたら、水の術式で精神支配をしてみてはいかがでしょう。そうすれば情報が引き出せるかと」


 ミイが真面目な顔をして言う。


「それはいい考えじゃ」

 その意見にクゥも同意する。


 ちょっと待て。どうして敵対行動を取ろうとするのだろう。

 危険な発想に少し頭痛を覚える


「もっと穏便な方法があると思います。平和的に接触して、取引をするというのはいかがでしょうか」

 ショウが極めて常識的な意見を提案する。

 よくやったショウ。


「俺もそれがいいと思う」


「ショウ、素晴らしいアイデアだわ」


「お主、やるではないか」


 ミイとクゥが食い気味で同意してくる。

 俺の意見を聞いて手のひらを返した形だ。

 彼女たちの今後が不安になる。


「いいか、基本的に争うよりも平和的にいくほうがメリットが多い。そもそもメリットやデメリットの問題ではないけど、2人とも好戦的すぎるぞ」


「交渉になればこちらの情報もある程度開示する必要が出てくると思います。相手が友好的であればいいのですが、万が一この世界により強者がいた場合、その者への情報流出は避けねばなりません」


 ミイの言うことは正論だ。でもそれは、精神支配の欺瞞工作がばれた時にもっとヤバい状況になる。

 完全な敵対行動とみなされるからだ。


「ミイはこの世界の住人たちから、俺たち中の誰かが洗脳を受けるようなことがあれば、どのような感情を抱く?」


「極めて不快です。殲滅対象と認定します」


「そうだろ? 相手も同様に考えるはずだ。だから平和的にいくのはリスクがあって面倒だけれども、より大きなリスクを回避するためだ」


「私の考えの至らなさをお許しください」


 ミイは跪いて頭を下げた。クゥもそれに倣う。


「ミイもクゥも真剣に俺たちのことを考えてくれているのだからいい。自由に発言してくれ。謝る必要はない。より合理的にいきたいだけなんだ」


「はっ」


 ミイとクゥはもう一度揃って頭を下げ、椅子に座る。


「ミイとクゥの言うことも一理ある。相手がより強者で、こちらへの敵意がある場合だ」


 そうなると接触すればこちらの存在が露見してしまう。

 旅人などでアンダーカバー案も出たが、こちらの世界の旅人のスタンダードが不明な以上、避けるべきだという結論が出た。

 折衷案として採用されたのが、村の監視である。

 観察して、生活状況の詳細が把握できるだけでも、情報として価値がある。

 明日から観察員を送ることに決定した。

 ただし、転移術をはじめとする仙術が使えないことから、村の周囲5キロに限定し、それ以上は近づかない。

 これは地上から目視できる距離を4.5キロと想定しているからだ。

 接触やこちらに気付かれるのは絶対に避けるように徹底。

 5キロの距離からでは何も分からないが、こちらに近づいてくる人間がいるかどうかの見張りの意味合いもある。

 その指揮はニボシに任せた。

 


 次にレベリングについて。

 洞窟行っちゃいますか? と提案したのはショウである。

 ショウはここ数日で冒険の楽しさを再確認し、一番楽しんでいるように見える。


「そうだな…」


 次に楽しんでいるのが、俺。

 ゲームから出れないなんていう一大事は俺にとっては小さなこと。

 この近経を、この世界を楽しんでいる。

 次のステージに行きたい。

 次のレベルになりたい。

 次のランクに到達したい。

 この世界のことをもっと知りたい。

 そんな気分なのだ。


「私は反対です」

 発言したのはミイだった。


「洞窟は危険すぎます。最低でも道士になってからが妥当かと思われます」


「そうじゃ。主様に何かあったらお主はどうするのじゃ」


 クゥが厳しく非難するような目をショウに向ける。

 2人は俺のことが心配な様子。

 強くなることも大事だが、俺の身の安全が一番と考えているようだ。


 ニボシは皆の意見を真剣に聞きつつ黙っていた。


「ニボシはどう思う?」


 俺はあえてニボシに聞いた。


「主様、このような頭の悪い者に意見を求めるのはどうかと思います」

 クゥがニボシの意見表明を阻止する。


「そんなに自分の配下のことを悪く言うもんじゃないよ」

 でも知っている。

 ニボシがピントのズレた変な発言をして、俺に不快に思わせることがないように配慮しているのだ。

 また、ニボシが俺から嫌われるのも防ごうとしている。

 こうしてハードルを最初に下げておくことで可能になるのだ。

 クゥの厳しさは、思いやりであり、愛情なのだ。

 あとは自分が発言したい、俺と会話したいというのも半分あるんだろうな。

 いや、どうなんだろう。


「ニボシ、意見を頼む」


「はい、ラシル様。洞窟は危険かと思われますが、行ってみるのも一つの手でござる」

 ニボシは俺の目を真っすぐ見て、堂々と発言した。


「ほぅ。それはなぜだ?」


「山脈エリアではワイバーンが出現したでござる。ワイバーンは仮にも竜種。竜種を倒すことができればレベリングの効率も上がるでござる」


「そのとおりだね」とショウ。


「しかし山脈付近ではモンスターの出現率が他のフィールドと比べてとても低いことがわかったでござる。山頂からの帰り道に至っては、ワイバーンは出現しなかったでござる。それであれば、未開の地である洞窟の入口付近の探索がレベリングには良いと思うでござる」


「一理あるのぉ」とクゥが頷く。

 クゥに認められて恥ずかしそうにしているニボシを見て、なんだか俺も嬉しくなってきた。


「それに、我々が倒し過ぎたせいか、草原や森でのモンスターの遭遇率が低くなってきています。次の狩場として洞窟が有用かと」

 そう、そこだ。俺たちが300人でモンスターを狩り続けているせいか、モンスターたちが減ってきているのだ。

 モンスターはどうやって出現するのか、そのメカニズムは分からない。

 ゲームの世界であれば、一定時間が経過すると自動でポップするのだが、どうやらこの世界は違うようだ。

 自然繁殖なのであれば、倒し続けたらいなくなるのが当たり前である。

 モンスターがいなくなってしまうとレベリングができなくなる。

 その前に洞窟の有用性を確認しておきたい。


 仙人種にはモンスター召喚の術が無い。

 これは術の構造上仕方のないことである。

 あるのは悪魔種と精霊種と龍種なのだが、それにはまだ進化することはできない。

 進化用のアイテムが他の拠点にあるからだ。

 召喚できる種族であれば、召喚したモンスターを別の者に倒させることでレベリングが成り立つ。

 しかしそういう自主練めいたレベリングの方法は、現状では実行したくてもできないのだ。


「うん、そのアイデアを採用しよう」


「ラシル様がそうおっしゃられるのであれば、私に異論はございません」とミイも頷く。


 今後の方針が決まった。

 ニボシは村の監視。

 他の幹部は洞窟フィールドでレベリング。

 洞窟ではマッピングが大事になる。

 こういう頭脳労働はショウにに任せることにした。

 彼は器用なのだ。


 会議を終えて、明日からの新たなフィールドでの冒険に思いを馳せてつつ、ベッドに入った。




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