第二話 友の証
「キャラメイクに進もうか。パソコンを見るとポイントが右上にあると思う。それを振り分けてキャラメイクをするんだ。時間は1時間あげよう。パソコン一つずつに空間を区切ったから他人のは見れないし、見られないから安心するといい。では、キャラメイク開始。」
その言葉と共にパソコンに光が灯り、キャラメイクの画面が表示された。
ポイント200pt(+300pt)
◇詳細設定
◇ステータス設定
◇スキル設定
◇ステータス表示
なるほど、200ptが初期ポイントで、後が神様ポイントか。
だが、100ptほど多いな。何故だ?
「それはね、君を気に入ったからだよ。僕に心を読まれているにも関わらず、意地が悪いと言ってみたり、良いやつだと言ってみたり。普通はそんなことできない。だから興味が湧いたのさ。」
急に後ろから声がする。振り向こうと思うが振り向けない。
「おっと、それを解除しなきゃね。」
パチンッ
そんな音と共に後ろを向けるようになった。
「君は皆の中で特に冷静で思慮深かった。気付いていたんだろう?」
ああ、だから意地が悪いと言ったんだ。
「皆」と「キミたち」を使い分けていた。前者は全体に向けて、後者は限られた数人に。それに気付いたのは一体何人いたのだろうか。
「キミたちには基本的に義務はない。何かお願いすることはあっても義務なんてそうそう課さないことを保証しよう。他の転生者にはあるけどね。」
なんて言っていたが、キミたちっていうのがこの質問をした人間。他の転生者っていうのが質問をしなかった人間なんだろう?
そして、「そうそう」なんて表現を使って最後まで保険を掛けていた。本当に意地が悪いね。
「ああ、そうなるね。だが、キミには義務が発生しない。気に入ったからね。たまにお願いさせてもらうよ。
ちなみにキャラメイクはどうするんだい?」
それを聞いてきたってことはキャラメイクにも仕掛けがあるのか。
「チート?まあ、やりようによってはできるね。キャラメイク頑張れ。俺TUEEEも、まあ頑張れ。」
なんて言ってたけど、恐らく初期ポイントは同じはず。その前の行動や思考で決まるなら、キャラメイクだけを頑張っても意味がないからだ。となると、最適なスキルの組み合わせだったり、普通じゃ見つからないところに隠していたり、名前の地味なスキルが良スキルだったりするのだろう。スキルの統合なんかも視野に入れておくべきか?
「ねえ?何でそんな冷静なの?優秀過ぎない⁉」
オタクなら皆こんなこと考えつく。
「他のオタクの子はみんな興奮しちゃってそんなこと考えてもいないよ。」
なるほど。ライトなオタクだから助かったのか。
「うん。やっぱり君は面白そうだ。転生した後も時々会えないかな?」
こんな美少女に言われて断れるはずないだろう。
「びっびしょっ」
やばいかわいい。
「からかうのはやめてくれ。ボクはべったんこだし、女の子っぽくないし……」
おっぱいに貴賎は無いし、ボクっ娘は俺的にありだ。
「そんなこと言ってくれる子初めてだよぉ。
よしっ、これもあげちゃう。」
チュッ
柔らかい感触が頬に当たる。髪からフワッと良い匂いが漂う。
「か、勘違いしないでよね。こ、これは必要なことだったのよ。後でステータスの称号欄を見ると良いわ。じゃあ、ボクはこれで。」
ツンデレキターじゃなくて、
ちょっと待って。
「な、なんだい?」
転生ってことは名前も変わるんだよね?
「うん。そうだけど、それが?」
だったらお近付きの印に君が付けてくれないかな?
「え、ええ?ボクが?名前なんて付けたことないからどうなるか分からないよ?すごい変な名前になるかも。」
それでも君につけて欲し、いや、そのときは二人で考え直そう。ところで君の名前は?っていうか、神様にこんな口聞いてちゃダメだよな。
「ふふっ、頑張って考えるよ。口調もそのままでいい。ボクは向こうの世界では創造神様なんて呼ばれてる。他にも呼ばれ方はあるけど、地方によってバラバラだし、ボクに名前は無いよ。だから、代わりと言ってはなんだけど、ボクの名前も考えてくれないかな。」
え?神様の名前?てか、創造神?それって影響力デカくない?
「大丈夫。神の名前なんて皆が呼んでる中から気に入ったのを選んでるんだから。それに、
名前が決まった後はそれが自然に広まって定着するんだ。だから安心して考えてくれるといいよ。」
お互いがお互いの名付け親になるのか。何かそういうのいいな。
「でしょ?君ほど話の合う人は今までいなかったからさ。だから、もし良かったらボクと友達に……。」
何言ってんだよ。
「やっぱり駄目かな?」
こんなに話して仲良くなって、もう友達だろ?
「うぅ…。うん。ありがとう……。」
そんな泣くなよ。
「だって初めての友達で……。」
そっか、でも大丈夫だ。俺も知り合いレベルは多かったけど友達ってなると少なかったからな。似たようなもんだ。それより、名前考えようぜ。
「うん、そうだね。うーん……。よし、決まったよ。」
こっちも決まった。じゃあ、そっちからどうぞ。
「なんか緊張するね。キミの名前はローク。キミの世界の言葉で『運命』を表すらしいよ。キミがボクと出会ったのも、ボクの世界にやって来るのも、友達になれたのも全部運命な気がしてさ。キミにはこれからもいろんな出会いがあるだろう。運命を大事にしてほしいな。」
運命ってあんまり信じてなかったんだが、神様が言うと説得力があるな。
次は俺の番か。君の名前はリーベ。ドイツ語で『愛』。君にこれ以上無いくらいピッタリな名前だと思う。どうかな?
「リーベか。良い名前だね。愛ね……。」
どうかしたか?
「い、いや、何でもないよ。」
そうか、それならいいんだが。
「そうだ、キャラメイクしなきゃ結構時間取らせちゃったけど、この空間では時間の流れが遅くなってるから安心して。じゃあ、頑張ってねー。」
行っちゃったな。
それにしても、頬とは言えキスしたり、初めて…とか言ってみたり、ツンデレになってみたり。惚れさせる気かよ。てか、もう惚れるわ。
嫁にしたいくらいだ。
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