第一話 神との邂逅
アイツ誰だ?
この場にいる全員がこう思ったことだろう。
パソコン室での授業で、生徒が揃ってから入ってきた担当教師。
「では、これから授業を始めるよー。」
この教師はいつも仏頂面で、笑わないし、冗談の1つも言わないことで有名だった。だが、このおちゃらけ方は何だ?あれか?拾い食いでもしたのか?
そんなことを考えていると、ソイツは口を開く。
「あれれ?日直さんは誰かな?」
「……あっ。きりーつ、きょーつけ、れー。」
「「「おねがいしまーす。」」」
「ちゃくせーき。」
「では、今日は皆にやってもらいたいことがあります。でも、この前にまずは自己紹介からかな?」
自己紹介?もう7月だぞ?だいたいみんなの顔を覚え始めたそんな時期に一体何故……?
「僕は異世界で神をやってる。名前は、人間には聞き取れないし、発音できないから省略するね。ここまでで何か質問はあるかな?」
そんなことを言いながら教師が光りだす。質問の有無を聞いた頃には、身長は縮んで小学校高学年くらいの男の子に。髪は金髪。白い綺麗な肌に、神様が着ている服と言うと大抵の人が思い浮かべるあの布の服を着ている。
そんな現実には絶対にありえないことが目の前で起きているのに、周りは誰一人として言葉を発しない。これは異常だと気付いた時、自称神が口を開く。
「騒がれたりとかすると面倒だから、君たちの精神は安定してパニックにならないし、ボクから目を離せないようにしたよ。」
なるほど、それで何か自分のキャパシティを超えることがあると途端にヒステリックになる委員長や、何かあると取り敢えず騒いでおけばいいと思っているギャルや、直ぐに正義心を発揮してしまう病気の勇者(笑)くんが騒がないわけだ。
「まあ、数人そんなことをしなくても落ち着いて貪欲に情報を得ようとしてる子もいたけどね。感心感心。そんなキミたちに神様ポイント100ptを進呈しよう。」
神様ポイント?まあ、それは後で良い。まずは質問を考えなくては。
俺達はこれからどうなるのか、神の目的は何なのか。質問の数は限られているだろう。こんな非常時に楽観視するべきでは無いな。
「質問は君たちの脳内から読み取って、多かった質問や良い質問にのみ答えるよ。
これからどうなるのか、それは、君たちには目の前のパソコンでキャラメイクをして異世界に転生してもらいます。その世界はボクの担当の剣と魔法の世界。目的って言うものは特に無いんだけど、強いて言うなら違う世界の者を巻き込んで世界自体の発展を進めることかな。どの世界でも時々やってることだから、目的があって云々っていうより慣例だね。
続いて質問の数ね。こんな時にも楽観的なことを考えてる人って意外と多いんだね。この子くらいちゃんと考えなきゃ。さっきも言ったけど、多かった質問や良い質問にのみ答えるけど、時間制限をつけてるからちゃんと考えてね。これはいい質問かな。神様ポイント50ptを進呈しよう。」
なるほど、回数制限じゃないだけマシか。脳内でいろんな質問を考えるだけで質問数にカウントされてしまったら目も当てられない。ところで神様ポイントってのは何だ?何か意味があるのか、ただのおふざけなのか。あとは転生後の義務かな。ラノベでは使命を帯びたりするが、それによってはキャラメイクにも影響するだろう。
「へえ、教師のことを心配した子は一人か。大丈夫。彼は熱を出してお家で寝てるよ。オンリーワンだけど、良い質問ではないね。あと、神様ポイント。これは別におふざけじゃないからね?皆にはこれからキャラメイクをしてもらうわけだけど、ステータスを振ったりスキルを取得したりするのに使うポイントに加算されるね。あとは、転生後の義務ねこれは良い質問かな。キミたちには基本的には義務は無い。何かお願いすることはあっても義務なんてそうそう課さないことを保証しよう。他の転生者にはあるけどね。キミたちには神様ポイント30ptを進呈しよう。」
ふーん。なるほどなかなか意地の悪い神様だな。
「ほう、意外と察しの良い子が混ざっているみたいだ。やっぱり精神を安定させても元々思慮の深い子はいい質問を考えられるし、浅い子はどうにかなるだろうなんてことを考えているんだね。甘いよ。ちゃんと注意深く見聞きしなくちゃ。転生したらもう質問はできずに見知らぬ世界に放り出されるんだ。もう少し危機感を持った方が良い。」
訂正。意外と良いやつっぽい。
あとは、キャラメイクをする前の能力は有効なのかどうか。
例えば、実は魔法の才能がありました。や、剣道習っています。とかで個人の能力は上下するのか。これはキャラメイクの前に知りたいな。あとは道具の持ち込み。流石に全裸でほっぽり出されることはないだろうが、所持金には期待できない。手持ちの物で何とか換金しなくてはならないだろう。チョコとか売れるかな。持ってないけど。それとチート能力、チート無双で俺TUEEEできるのかどうか。個人的にこれは知っておきたい。
「今時点の能力はキャラメイク後、多少反映される程度かな。ああでも、色々と伴わない子が剣術のスキルを高レベルでとっても、剣聖とかにはにはなれないかな。その点、剣道とか習ってた子は多少スキルに使われることはなくなるでしょ。
あとは地球にはステータスって存在しないけど、運動能力の差だったりとかはあるじゃない?だから、キャラメイクの時に基本的にステータス振り分け前の数値はゼロになるけど、身体の使い方を忘れているわけではないから、運動能力自体は高めになるのかな。これは良い質問かな。これは考えに至るまでは違っても似たようなことを考えた人。例えば、左腕に何かがいるらしい人とか、剣道部の人とかそんな人がいたから、まあ、質問は良かったけど、神様ポイント20ptかな。
道具の持ち込みは基本的に禁止。スマホとか持ち込まれると困るからね。ヘアゴムとか眼鏡とかそんなのは持ち込みOK。まあ、考えてる人は意外と少なかったけど、普通の質問かな。
あと、チート?まあ、やりようによってはできるね。キャラメイク頑張れ。俺TUEEEも、まあ頑張れ。日本人ってホントこういうの好きだよね。お陰でこんな知識がいっぱい溜まっちゃったよ。説明が楽なのはいいんだけどさ。これ、他の国でやったら大変だよね。宗教とか、異世界のステータスとかスキルとか。
あと、最後に、ボクは女の子だ。間違えるな。
オイ、誰が火曜サスペンス並みの断崖絶壁だ。お前後で覚えとけよ?」
厨二病「我が左腕に封印されし獣の力は、異なる世界にて新たなる力となりて我に宿らん。(私の左腕にいるものは異世界に行けばスキルになるんですか?)」
剣道部「俺剣道やってたから剣術のスキル取らなくても元々持ってんじゃね?」
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