質の悪い奴ら
毎度毎度深夜ですいません
これからもよろしくお願いします
森の奥へ行くとゴブリン4体と少女が戦っていた。
ゴブリンが少女を取り囲むように迫っており、少女は魔法使いなのか先端に水晶の付いた杖をでたらめに振り回している。
「グギャァァガァァ」
「来ないで、来ないでぇぇ」
はぁ、あんなに適当に振り回しても当たらんだろ。助けるしかないか、目の前でキルされるのも嫌だし。
「おーい、そこのゴブリンと戦っている女の子。助けはいるか?」
「はひぃぃぃ。今すぐ助けてくださいぃぃ」
「しかたないな。撃つから伏せろよ。3、2、1、今!」
少女が俺の合図で伏せたと同時に撃ちゴブリンを仕留めた。
「はぁはぁ、ありがとうです。死ぬところでした」
「あんな適当に振り回しても当たらないぞ。それになんで後衛の魔法使いの君が一人で森にいるんだ?」
女の子はうつむきながら俺の問いに答えた。
「その、ギルドで魔法使いを探している人たちのパーティーに加わって森に来たのですけど、途中までは順調だったのです。だけど森の奥のほうに進んでいくほどにゴブリンが強くなって数も増えていって、パーティーの1人が倒されて無理だと思ったのか私をおとりにして逃げていったのです」
なるほどな。質が悪いな、無理な敵が来たら全員で逃げればいいのに身内だけ逃げてこの子を置いてったのか。デスペナが怖かったのか、ゴブリン程度なら走って逃げれると思うけどな。フルプレートのプレイヤーがいたら微妙だが。
「どうする、そいつら。通報しとくか?晒しとくか?」
こういうプレイ人数が多いゲームは運営への通報もいいが、掲示板などで晒したほうが何気に向こうにはダメージがでかい。相手が女の子ならなおさらだ。
「両方やってやりたいんですがその、貸していた武器をそのまま持っていかれまして・・・」
はぁ。この子何してんだよ。もしかしてこういうゲーム初めてなのか?
逃げるのはたまに見かけるが、武器貸して逃げられるなんてそうそう聞かないぞ。
「じゃあ取りあえず一緒に町行ってやるから、パーティー履歴からそいつにメッセとばしてギルドの入り口でまっててもらえ」
「はい!ありがとうございます」
町に戻る道中のモンスターは全て俺が発見次第瞬殺していった。
「ハ、ハンスさん!貸した杖返してください!」
「あ、誰だおめぇ?俺はお前から杖なんか借りてないぞ!」
「う、うそをつかないでください!その杖は私がお店で買った物です!」
女の子は胸の前で両手を握りしめながら中年くらいのおじさんに講義をしている。
それにしても貸しただけならば持ち主はアイテムの説明欄を見ればわかるが直接触れてないと見えないからあいつが離さないかぎりどうにもならんな。
「ハンスさんとやら、その杖1回貸してもらえないかな?アイテムの説明欄見れば持ち主は書いてあるはずだから確認させて欲しいのだが」
「だ、誰だおめぇ。部外者が口だしてんじゃねえよ!これは俺のなんだよ」
「この子が君に貸したといっていてね、それを見せてくれればすむはなじゃないかい」
「と、とにかくこれは俺のだからお前なんかにみさねえよ!」
頑固だなこいつも。店売りだからそんなに高いものでもないのに、立ち悪すぎやろ。仲間も後ろで堂々としてるから周りの奴らからこっちが悪者扱いされ始めてるな。
「なあ君、いったんあの杖俺が預かってもいいか?」
「返してもらえるのなら・・・」
「おーけ。任しときなよ」
俺は女の子の頭をポンポンとしてから男に向きあった。
「おいハンスさんよ、その杖かけてPvPしないか?」
「あぁ?なんでお前なんかとしないといけないんだよ!」
「GMに問い合わせれば結果はすぐにでるんだぜ?それでもいいなら俺は構わないが、勝ったらそれはお前にやるよ」
「くっ、しかたないな。じゃあ5対1で勝負や!」
5対1か、まあこいつらには負けないだろう。
「大丈夫なんですか?5対1なんて」
「まあ大丈夫だよ。あんなやつら」
服の袖口をくいくいっと引っ張って上目遣いで心配してくる。
反則だそれは。かわいいじゃないか。
「おい、そこの剣持ってる人。俺が勝ったら確認頼むぜ?」
「お、俺か?」
「そうだよ。君と周りの奴らで確認すればうそをつくこともないだろう」
「おう!そういうことなら任しとけ!」
適当に周りの見ている奴を指名して確認してもらえるようにお願いした。
「さて、準備も整ったしやるか」
相手にPvPの申請をし、俺はマガジンを1つ腰に差し手をぶらんと下げながら敵を挑発した。
「へへへ、ぼこぼこにして泣かせてやるぜ」
次回はPvPとなります!