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いつかあなたとあの海で心中したい  作者: 兎虎彩夜華
第1章 選択のその先
6/14

5星 部活と生徒会(2)

「おう、月、優奈」


扉を開けた先にいたのは、担任の康本 優連だった。


「康本先生、もういらしてたんですか」


「ああ。さっき会議終わったし、まあ暇やったから」


「教師が暇なんて珍しい」


「俺はできるやつやからな。そこらのやつとは違うんや」


そんな会話をしながら、3人は席に着く。


「それで、話ってなんですか」


「おう。明日、生徒議会あるやろ。そこで、今年から1年生も2人だけ役員に入れてみようって計画が議題になる予定なんや」


「月、生徒会入りたがっとったやん。よかったな。ぷっ......月めっちゃにやけとるやん」


優奈が月の顔に吹き出している間に、康本は何やらファイルから紙を出してくる。


「これこれ、立候補者届。今回は先生らがやりたい人に紙を渡す方式やから、立候補者が何人も出るやろ。けど問題なのがこれや。」


2人は前に出された立候補者届を覗き込む。


「立候補者と......」


「入れ替わる人」


「つまり現在、立候補者が入っている委員会の仕事を引き継いでくれる人ってことや。あんまり委員会入ってない人もおらんし、大体みんなここで落ちる。でも優奈は」


「私は委員会に入ってない。」


優奈と優連が同時に声に出した優奈が委員会に入っていないということ。それは——


「もし優奈ちゃんに委員会を代わってもらえれば、私は見事に生徒会入りってわけか」


「正解。どうや、優奈」


月と優連に見つめられ、優奈はしばしの沈黙のあと口を開く。


「月が一緒の部活入ってくれるならいいよ。でも、それが無理なら嫌や」


今度は優奈と優連に見つめられ、月が停止状態に。


「う......痛いとこつくな」


「まあそうなるよな。一応、紙渡しとくから、ゆっくり考えなよ」


「ありがとうございます」


「おう、ほんじゃ。俺は部活見に行ってくるし、帰りたい時に一声かけてや」


「了解です。あ、生徒会議事録ありますか? 」


「そんなもん、画面に聞けばすぐやん」


振り返らずにそう呟き、優連は扉を足で開けて出て行った。


「それで、どうするん? 」


優奈はリュックを机に置き、月がいる検索モニターの方に問いかける。


「うん。優奈ちゃんと一緒の部活に入ろっかな」


「おおー。さすが月。決断が早くて助かるわ。紙、名前書いとくで」


リュックから無造作に筆箱をつかみ出し、ボールペンを右手に渡す。


坂田(さかた) 優奈(ゆうな)っと」


「ありがとう」


「どういたしまして。そのかわり、絶対一緒の部活入ってよ」


「もちろん。小桜 月、約束は守ります」


「ありがとな。私に合わせてくれて」


そう言って優奈は立候補者届を机の上に置いた。


「そろそろ帰ろ。議事録、見つかった? 」


「んー。保管庫にあるらしい。先生おらんと入れんし。めんどいし帰るか」


「おっけい。月ちゃん、康本先生のとこに帰宅報告行こ」


「え?なんで『ちゃん』付け?」


月が優奈の方を振り返った瞬間、魂が抜けたように優奈が倒れた。


「え......え?」


一瞬、全てが硬直した。心臓も、時間も、星までもが。そして、再び時間が流れ出した瞬間、月の視界に閃光が走った。


「あ......うがっ」


そして体からすっと力が抜け、月も優奈の足元に横転した。





* * * * * * * * * * * *



「おい。おい、大丈夫か?」


意識が朦朧とする中、自分を呼ぶ声に耳を傾ける。


「だえ? 」


「誰ってか?康本や。お前の担任。それより何があった? 」


目の前がぼやけ、よく見えないが、その声がたしかに康本優連であることは確認できた。


「喋れんか。今、下校時刻前やけどお前らが帰るとかなんも言ってこんで、様子見に来たんや。お前は起きたけど優奈が呼吸とかは大丈夫やけど無反応やし、病院連絡するから待っとれ」


そう言って康本は月の元を離れる。

ようやくはっきりしてきた視界には、横たわった優奈の足が映る。何があったのかわからない。あの一瞬視界に走った光も、なんだったのだろうか。


「月、俺はなんも見てないから、あとで色々説明してもらうで。親御さんにはこっちから連絡入れといたから安心せえ」


そうやって話を聞いている間に救急隊員がやってきたらしく、何やら優連と会話した後、こちらにやってきた。


「今から2人を病院に運びます。安心していいですよ。2人とも命に危険はありません」


どこを触ったわけでもないのに、救急隊員はそう言った。さっきから何か引っかかるが、無事ならまあいい。とかそんなことを思っているうちに担架で運ばれ、規則的な揺れに誘われていつのまにか眠ってしまっていた。


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