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いつかあなたとあの海で心中したい  作者: 兎虎彩夜華
第1章 選択のその先
4/14

3星 茶呼と由真。

<今日の学準>4/12

今日は6時間全部オリエンテーションでした。色々な教科や先生の話が聞けて楽しかったです。


<返答>

良かったやん。俺の授業のオリエンテーションは来週やけど、最初はどこも楽しいものやで。たぶん俺の授業も。

「ただいまー」


伝導スーツに着替え、休養装置に横たわりながらそう呟く。


「おかえり。1週間の模擬地球体験学校はどうだったの?」


夕食を作りながら、母の茶呼はいまにも寝てしまいそうな月に寝させるまいと質問する。


「夜ご飯の時に話すー。ご飯できたら起こして......」


休養装置の睡眠時ランプが点灯し、頭上の照明が次第に落ちていった。



「おーいご飯。そろそろ起きてよー」


茶呼の呼びかけに、不服そうに目をこすって月がやってきた。


「せっかく朝いい感じにまとまってたのに、やばい髪の毛がサ○ヤ人」


「お姉ちゃんは多分あと5分以上はかかるし、直して来たら?」


「ついでに呼んでくるわー」


「いってらっしゃい」


席を立ち、洗面所で手早くポニーテールにして顔を洗い、帰りに姉の部屋を突撃。


「由真ちゃん、ご飯。はやく食べよー」


「はいはい。もう終わるから先に行っといて」


「早くしてよー。今日は山菜の天ぷらなんやから。抹茶塩もあったかも」


「すぐ行く」


「抹茶やったら塩でもなんでもいいんか」


タブレット端末の電源を切って由真は月を追い越して食卓へ急いだ。


「おお!私の大好きな抹茶が食卓に脇役として並んでいる......お父さんは? 」


「めっちゃ唐突やな」


「出張に行ってるけど、お姉ちゃんも昨日聞いてたじゃない。どうして? 」


「いや、資金援助を頼もうかと......あ」


一瞬、茶呼の眉がピクついた。


「お姉ちゃん?もしかして、またお父さんにバッジ買ってもらおうとしてたんじゃないでしょうね? 」


「うぅ...今年の人気ランキング1位のグループが半年ぶりに出した缶バッチなのに...3個だけ、3個だけダメですか?おかあさまー」


「ダメです。お父さんは本当に娘に甘いんだから、なんでも買ってもらえる癖がついちゃうじゃない」


茶呼は浮かせかけた腰をおろし、はあーっとため息をついた。


「絶対お父さんはくしゃみしてるな」

「それな」「そうかもね」


2人がハモったと同時に、唐突の着信。


「月、出て」


「お姉ちゃん、1番近いからって......まあいいけど。お父さんから。なんかあったんかな。もしもし? 」


「ぶふぇっはっくしっやばっふっふぁっ」


「どしたん? 」


「ぐへっああ、くっしゃみがっとまふぁあん」


「知らんから。いやまじで。じゃあね?」


「ふぉあっまって切らんでっあーはっぐしょへえぇ」


通信を即座に切り、月は何もなかったかのように自分の席に座って夕食を食べ出した。


「なんの話だったの?最後、すごい音が聞こえてきたけど」


「くしゃみが止まらなかったらしい」

「やっぱりか」「やっぱりね」


「さあ、山菜が冷めるし、早く食べよ」

「同意見」「同じく」


「さっきから2人でハモってんのはわざと? 」


「「いただきます」」


「まあいいわ。いただきます」


すごいシンクロ率のセリフを無視し、月も人参やピーマンの天ぷらにありつく。


「やっぱり抹茶塩と天ぷらのコラボは、天下の逸品と呼ぶにふさわしい」


「それは同感やけど、山菜ってあんまりおいしくなくない? 」


「何言ってるの。今日早朝からお母さんが競りに出かけて5万で買った賜物よ。一口だけでも食べてちょうだい」


「登校する途中で見た“共住地域に住む謎の主婦が一流料理人に勝って仕入れた山菜の価格5万”ってニュース、これのことだったのか。え、これ5万したの? 」


「ありがとうお母さん。おかげでおいしく抹茶塩がいただけます」


「いえいえ。それより月、模擬地球体験学校はどうだったの? 」


「え、今のはお母さんの武勇伝の話になる流れじゃないの? 」


「聞きたい? 」


確かに聞きたいような....でも聞き出したらなかなか終わらないような...自分の中の誘惑と興味より、過去の体験の教訓が自分の中でダメだと警鐘を鳴らし、聞きたい!を言う寸前で月の口を閉じさせた。


「聞きたいと思ったけど勘違いやったわ。普通にたのしかったで」


「その楽しかったところを聞いてんじゃん」


「先生の話とか? 」


「普通やなあ」


「あと、自然がすごかった。いつか地球に住めるようになるかな? 」


「ならんやろ。何年後に発見されるかもわからんのやから」


月と茶呼の会話に、由真は今にも泣きそうな声でそう言い、自室に戻っていった。


「ごちそうさま 」


「はい。お粗末様でした。私も、ごちそうさまでした。我ながら今日もおいしくよくできてたわ」


「やっぱり、地球の話はあんまり出さないほうがいいかな」


「月、いつもごめんなさいね。お姉ちゃんも少し気落ちしてるだけだから。また本気の元気を取り戻すわ」


「本気と元気じゃなくて、本気の元気....」


「さ、そろそろ月も勉強しなさい」


「はーい」


自分の部屋に戻った後、ジャージに着替え、お飾りのベットに寝転がった。


「お母さんのやったことは間違ってない。婚約者さんとの仲を取り持ったのはお母さんだけど、婚約者さんの偽造データに気付いたのもお母さんだし。

お姉ちゃんもそんなに怒らなくてもいいのにね。だよね、サンくん」


そうして月は太陽のイメージキャラクターのぬいぐるみ、サンに1人話しかけるのであった。

お久しぶりです。

こんばんは。兎虎彩夜華(うとさやか)です。

春は忙しくて疲れますが、そのおかげで土日はたくさん寝ます。(寝させてもらえるですかね。)

だから、春は嫌いではないです。

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