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異世界旅行者の冒険記  作者: 神祈
王都の冒険者
27/84

第26話 魔国の誕生

あらすじと2章タイトルを変更しました。

キリが良いところなのでこのお話にて2章が終了します。次章からは主人公の視点となります。

お楽しみください。

「自分が死んでもなんて考えは流石に怒るぞ。シュベルトがいる。私はそれだけで、何倍も強くなれる。今ならあの龍王の顔面だって殴り飛ばせるぞ。そしてシュベルト、君もそうだ。私が傍にいるのだ何倍も強くなれる。二人でいれば不可能なんて無い。そうだろう?」


アデーレ(彼女)はいつもそうだ、絶対の自信を持っている。そして取り得の無い自分にも絶対の信頼を置いてくれる。いつも彼女の信頼に応えるべく行動している。執事の真似事だって彼女に足りない部分を埋めて行けそうな気になってやっているだけだ。それが本当に彼女の求めていることだと思って・・・

だが、本当に彼女が求めている事は全く違うことなのだ。


「そうですね、そうでした。私たちが揃っているのです。負けるなんて有り得ませんね。魔王様に捧げる勝利を掴んで見せましょう」

「そうそう。シューちゃんは自信なさ過ぎだよ?もっと自信を持って!私が出来ないこと沢山出来るし、いっぱい知っているでしょう?何でも言って、貴方の言うとおり動いて見せるから!」


自分にあるのは力ではない。知識と技法(スキル)量、これが自分が誇れる事。ならばこれを使って魔王様に勝利を捧げるのだ。

得意な技法(スキル)は転移、でも移動するだけでは意味が無い。避ける事も後ろを考えれば出来ない。受け止める……どうやって?……魔王様に受けてもらって……そこからどうする?半端な攻撃では固有魔法は打ち消せない。……打ち消す?なぜ?……そうか!では何処に……あそこしかない。


「魔王様、故郷が吹き飛びますが構いませんね?」

「うん。大丈夫。私の故郷はシュベルトの隣(あなたのそば)だから」

「では、お願いします。龍王の固有魔法を数秒で構いません。受け止めてください。そこからは私が!」



「覚悟ハ決マッタヨウダナ!隕石群の急襲(メテオ・ライド)!!!」


龍王の背後に異空間が広がり、そこから数百もの隕石が襲ってくる。いくら固有魔法とはいえ異空間を長い時間維持は出来ないはずだ。目論見通り異空間が閉じていく。転移の魔法は基本個人や4,5人の単位で行うが、もっと大きな、それこそ場所そのものを転移させてしまえばいい。転移させるのは魔王様と龍王の間。異空間が閉じきったその瞬間だ。


「フフッ……フハハッ!アーーーーーハッハッハッハッハ!!!」

アデーレ急に笑い出す。大小様々な隕石の礫を魔力で作った大きな結界として防いでいるが、大変な作業のはずだが……


「これだよ、私が望んでいたのは!隣にシュベルトがいる!だがそれだけで力が溢れて来るのだ、負ける気がしない。まだまだ出来るぞ!今の私は龍王すら凌ぐ、神でさえブン殴れるな!勇者ですら塵に変えてやれる!何なら一人で全てを破壊してやろうか!」


とても楽しそうに闘う彼女は見ていて飽きない。本心を見せてくれた、いや、最初から彼女は本心から私を必要としてくれた。だがそれは彼女だけでない。自分だってそうなのだ。役に立ちたい、その気持ちは嘘じゃない。だがいつからか役に立ちたいと気持ちばかりが優先してしまい、本来の目的見失っていたようだ。


「魔王様、それでは私の見せ場が無くなってしまいます。貴女が傍に居てくれさえすれば私も強くなれます。今度は私の番ですね。見て居てください、愛しの魔王様。」


異空間は完全に閉じた。魔法は一つ放つと次に魔法を放つまでに準備時間がある。つまりは連続して放てない。何度も失敗した。出来ないと勝手に諦めていたが彼女に見せるのだ。隣に居るだけで強くなれるのは彼女だけではないのだ!


「いきますよ。ニ重連続魔法(ダブルコンティアム)事象強制転移フェナム・クラウス・メタスサイズ!!」


事象を固定させる魔法、強制転移させる魔法を同時に放つ。アデーレとジルクの間にあった隕石群がかき消える。転移先は自分達の故郷の魔界だが、その全てが破壊されるわけでもない。もはや故郷は必要ないのだ。連続して魔法を放つと身体への負担が懸念されたが今は特に問題ないようだ。


アデーレやジルク、他の王も何故か自分を見ている。顔を撫でても血が出ている訳じゃない。髪も抜けてないし、色も変わってない。服……も大丈夫だ、破けていない。では何だ?後ろに何があるわけでもない。


「な……何あれ?え?シュベルト?何したの?龍王の魔法は?」

アデーレは矢継ぎに聞いて来る。


「我が魔法を……あんな簡単に?」

ジルクは人型になって両手、両膝を地につけている。


「おい……シュベルトさ……ん何した?俺にもわかるようにな?説明をだな」

デュオンは口開けたまま呆けている。


「まさかこんな事が出来るとは……恐れ入りました。シュベルト君」

執事の礼の如く、リグハルトが腰を折り今の魔法について解説を行う。


「魔法を連続で放つ事自体が非常に難しいのですが、シュベルト君はやってのけた。これはある意味革命ですね。ジルクさんの隕石群一つ一つにその場に留まらせる固定化の魔法。ですがこの魔法の効果時間は長くないし難易度はかなり高い魔法です。続いては空間そのものを転移させる魔法ですね。転移先はわかりませんが、かなり遠くなのでしょう。衝突音が聞こえませんでした、この魔法もかなり高度なので、それを連続して使うとは・・ひょっとすればシュベルト君が最強なのかも知れませんね。」


悪魔王の言葉に一番反応したのは、言うまでもなくアデーレだった。満面の笑みでシュベルトに抱きつく。

「さすがは、私の側近だ!だから言ったじゃないか!自身を持てと!シュベルト、君が魔王だ!」

「やめて下さい。魔王は貴女でしょうに、私は貴女のサポートが良いんですよ……少し……横になり……疲れまし……」

「シュベルト!しっかりしろ!おい!」


急に倒れてしまったシュベルトにアデーレが覆いかぶさる。横からリグハルトが様子を伺う。


「魔王様、側近殿は少々魔力を使い過ぎたようです。暫く横になっていれば大丈夫でしょう。」


「私が彼を運ぶ。何人たりとも邪魔をすることは許さない。これが魔王として最初の命令だ。詳細は追って彼から知らせよう。それと、後ろの倒れた者共だが、死んでないから安心しろ。私は戻る。」



この一件で魔王の元一枚岩となった魔国は国名変える。代々魔王の名前を国名に冠しており、

正式名称、魔国アデーレとなる。魔王、龍王、獣王の武力と側近、悪魔王の知力がしっかりと噛み合い、大陸史上最強国家として名を馳せる事となる。更に近い将来、ある部族が合流しその地盤はより強固となるが、当然それを阻止する動きも出てきている。


動き出した運命の歯車は止まらない。ゆっくりと確実に戦乱の世へ向かっている。


幼き勇者は何を思うのか

最強魔王は何を望むのか

この世界の異物がどう関わっていくのか、今は誰も答えを知らない。

お楽しみ頂けましたでしょうか。これからも頑張っていきますので、感想、コメント、評価、ブックマークなどなどお待ちしております

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