第13話 VSメデューサ
2度目の戦闘描写です。なかなかに苦労しました。誤字脱字はチェックしてから投稿していますが抜けもあるかとは思います。ご了承ください。感想、コメント、評価もお待ちしておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
リビングに戻り、二人を落ち着かせる。何度も言っているがまだ完全に呪いが解けた訳ではないので安心は出来ない。これからの対応を決めるのだが、これもほぼ決まっている。
「お礼はもういいです。呪いは解けていませんので、これからの事を話します」
族長、ミリアとも頷くと漸く先に進める。
「族長は何かご存知なんですか?」
「此処より西に魔王領との境目がある。その近くに住むメデューサという魔物の仕業じゃ。あやつはエリザが魔王様に気に入られているのが面白くないんじゃろう、人間を通じエルフ狩りを始めたのじゃ。エルフは散りじりに逃げたが、途中でワシとミリアルを庇いメデューサの使役する蛇に噛まれ呪いを受けてしまったのじゃ」
「魔王に気に入られていたなら、魔王が何とかしそうなんだが、そうしないのは?」
「メデューサが人間を通じてエルフ狩りを始めたのは、魔王様が代変わりしたからなのじゃよ。今の魔王様は強いものが生き残り、弱い者は淘汰される力史上主義なのじゃ」
成る程。それなら納得だ。ん?待てよ
「それなら、エルフって此処にいるだけじゃないんですか?」
「散りじりに逃げたからの。何処かで生き残っているだろうが、ワシはこの場所を守るのが精一杯じゃから他の者たちがどうなっているかはわからん。一部は人間に捕まり奴隷になっていると聞いたが、それでも生きているのなら……」
族長は目を瞑り首を振る。ある程度諦めもついているのか……
「では、そのメデューサを倒せば、呪いは解けると?」
「倒そうと思って倒せるならとっくに退治している、でも誰一人帰って来なかった。そういうことじゃ」
そこまで強いのか…だから村に若い男が多くないのか。まともに戦えるのはロズさんぐらいだから見張りを引き受けているのだろう。やはり一人で行くしかないか。
「あの結界があれば、呪いの進行はかなり緩やかになると思います。ですが、あのままにしておく訳にも行きません俺が行ってきます。報酬は結界とは別ですが、構いませんね?」
いきなり、若い女性が部屋に飛び込んできた、相当焦っている様子で声を出そうとするが息が切れていて上手く話せない。
「落ち着け、ミリアル、水を」
「は・・・はい。・・・・・・どうぞ、どうしたんですか?」
女性は水を一気に飲むと大きく息を吐き、ある程度落ち着いたようだ。
「族長、ヤツです!メデューサが現れました!」
「な・・・何じゃと!」
やはりか、あの結界内は時間流れを大幅に遅らせてある。呪いの対象を観察にも飽きたのだろう、一気に進行を早めたは良いが急激に呪いの効果が遅くなり反動が術者に返ったのだ、だから様子を見にきたと言ったところか。
「では何とかしてきましょう。報酬の話はその後で。後、エリザさんの部屋には入らないで下さい」
立ち上がり装備を確認する。魔力は結界で大部分を使ってしまいあまり残っていないが、身体強化位ならなんとかなる程度はある。部屋に入られると、なかに充満している魔力が逃げ出してしまい、敵に場所を教えてしまう。
「マコト、大丈夫なの?無理しないでね」
「多少無理をしないと倒せないかもね、ミリアはロズさんの所へ行って欲しい」
不思議そうに首を傾げるが、これも重要なのだ。
「ロズさんが動いて戦いに入ってきたら、守れる自信がないから頼むよ」
ミリアが頷きロズさんの元へ行く。
「判った。お願いマコト、私達を助けて!」
この言葉が出るほどは立ち直ったと言えるべきか。そろそろ向かわないと敵も待ってはくれない。
族長に部屋を任せ、鉄剣を借りて村の入り口へ向かう。
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「おや〜?見慣れない……エルフじゃないよね〜?人間かい?」
間延びした高い声で紫の髪をなびかせ、妖艶な女が立っている。瞳の色は黄色くまるで蛇そのものだ。髪と同じ紫のローブだが其処彼処にスリットが入っており、そこから覘く肌の色は病的に白い。
「そうだね。人間だ、一つお願いなんだが、女性にかけた呪いを解いてくれるとありがたい」
無駄だと判っているが、取り敢えず聞いて見た。
「この子の呪いは強力でね〜、対象が死ぬまで解けることはないよ〜残念☆」
髪を一房撫でると、巨大な蛇へと変貌する。愛おしそうに蛇を撫でながらそれを全身に巻き付ける。
「なら仕方ない、あんたを倒して止めるとするよ」
全身に魔力を伝え、一気に間を詰める。借りた鉄剣を袈裟斬り気味に振るうと
---------バキン---------
甲高い音と共に鉄剣が折れてしまった、体に巻き付いた蛇が異常に硬い。
「んん〜残念☆踏み込みが早いわね〜ちょっと驚いたじゃない〜」
また髪を撫でると蛇に変貌し、それを剣のように振るう。途中で蛇自体が軌道を変え噛み付いてくる。
何とか躱すと大きく後方へ跳ぶ。軌道がわからない剣と硬い蛇の鎧か、非常に厄介だ。ただでさえリーチが足りない。ならばと皮のマントを外しそのまま突っ込み正面からマントを投げ視界を塞ぐ。背後はありきたりなので、剣を持つ左に回り込み武器破壊を狙う。相手は正面のままだ、いける!
---------壱式 龍!?
技を出そうとした瞬間、髪の一部が蛇の群れに変わり口を大きく開けて飛び掛かってくる!
「そんなのありかよ!」
急ぎ技を中断し、またもや後方へ跳ぶ。
「うふふ☆またしても残念ね〜。死角はないわよ〜さあ次はどんな感じで攻めてくれるのかしら?」
髪の毛がそれぞれ大小の蛇に変わり蠢めいている様子は気持ち悪くて仕方がない。
メデューサはあまり動いていない、まさか反撃特化?相手からは攻め手に欠けるのか?と考えるが読まれたようだ。
「で も ね〜、今度は私からね〜」
メデューサも一気に距離を詰めると左手の蛇を振るう。上段から振り下ろされた蛇は途中で不自然に左に曲がりそのまま噛み付いてくる。バックステップで飛び退いたのが悪手だった。体に巻き付いて蛇が右側より鞭のように打撃を繰り出す。小手を間に入れガードするが吹っ飛んでしまう。
「うふふ☆またまた残念☆ね〜」
非常に痛い。小手越しでも腕が痺れている。
「つ ぎ いくわよ〜」
今度は蛇剣の突きだ、これなら躱せるとまたもバックステップが悪手となった、蛇剣は目測よりも伸びてきたのだ。更に再度右側の鞭蛇の連撃をまともに食らってしまう。
「がはっ」
思い切り鳩尾に受けてしまい、一瞬息が止まる。急いで立ち上がると目の前には上段に蛇剣を構えたメデューサが待ち構えていた。
「さようなら〜人間さん☆」
間延びした声は何処までも不愉快だ。上段ばかり気を取られフェイントに物の見事に引っかかりまたも鞭蛇に脇腹を殴打される。
「あはははははは、良く引っ掛かってくれるわね〜面白い☆」
「ぐあああ、グホッガハッ」
まずいまずいまずい、こちらは血を吐いてるっていうのにメデューサは腹を抱えて笑っている。だいたいゴブリン以来まともに戦っていない。もう少し雑魚敵で経験を積ませてくれよ、雑魚戦後に中ボスとか何のイジメだ!漸く立ち上がるが、足はガクガク震えているし、頭の何処かを切ったようで血が視界を奪っていく。
早めの決着をつけたいが、非常に不利な事は明白、メデューサの足元には先程のマントがある。これを使うか、ここまで追い詰められると使える物も決まってくる。魔力はあるが魔法が出るかはわからない。何せ知識が無い。右手の上に炎をイメージする、それを徐々に大きく……出来た!
「ファイアボール」
「あはははは届かない魔法しか撃てないのかい〜」
火の魔法はメデューサの少々手前に着弾し、軽く爆笑すると足元のマントを浮かび上がらせる。
「また〜同じ攻撃は通じないわよ〜」
先程と同じく、左側に周り込むが待ち構えていた蛇が一斉に口を開け飛び掛かってくる。身体を噛まれるとどんな副作用があるか判らない、ならば小手を外し蛇供に噛ませてやる。幸い小手が破壊される事もなくメデューサの脇腹への道が見えた。
-------参式 龍壊-------
ズドン!と轟音を響かせてメデューサが吹き飛ぶ。




