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謎の少年と受験勉強

シンジへの熱が収まるとアイとタクマはシンジを連れ、2人の住む家へ向かった。

ギルドから20分ほど歩くとアイとタクマの住む小さな2階建の家が見えてきた。

一見すると小さな2階建の家だが、家の中は広く、2人暮らしでも部屋が余るほどの広さらしく、余っている部屋をシンジの部屋にするとアイは言い、タクマは何故か余った部屋の片付けをさせられている、明日からはシンジの部屋で勉強を行うらしいのだが、今日は片付けがひと段落するまで1階のリビングで勉強をしていた。


(それにしてもアイさんとタクマさんって一緒に住んでるんだ)


「シンジくん、ちゃんと聞いてる?」


「う、うん!」


アイは赤縁の眼鏡を掛け、シンジへ問題の解き方を教えている。


「それじゃ、この問題を解いてみて」


「え、えーっと・・・」


問題、冒険者とはギルド連盟に属する人々のことを指す、次のうち冒険者とは違う仕事をする人間を全て選べ。


①.自警団


②.国家を守る軍


③.暗殺などを行う闇ギルド


「②と③かな?」


「正解だよ!シンジくん」


「でも、軍と自警団の違いって何?」


「自警団ってのは治安を守る部隊のような感じの人の事、軍は国を守る為に戦う人の事だよ」


「でも、それって結局、お互い国を守ってるんじゃ?」


「うーん・・・説明し辛いけど、軍は国・・・つまり国王の事しか守らないって感じかな?」


アイは苦い顔をしてそう言った。


「アイさん?」


「ご、ごめんね!とにかくこの問題が出たら自警団は選んじゃダメだから!」


「分かった」


(アイさん何で軍の時は少し苦い顔をしたんだろ?)


「シンジ、お前の部屋片付け終わったぞ」


「タクマお疲れ様〜!」


「何で俺がこんな雑用しなきゃいけないんだよ、まぁいいや、飯作るからその間お前らはシンジの部屋に行ってろ」


「え?料理ってタクマさんが作るの?」


「まぁな、アイ(こいつ)に任せると俺らの命が危ないからな」


「そんな事言わないでよ!私の料理は世界一美味しんだから!」


「何言ってんだ、ポイズンクッキングの間違いだろ、アレ」


タクマは笑いながらそう言った。


(アイさんって料理出来ないのか)


「もういいよ!行こっ!シンジくん!」


アイは頰を膨らませ、シンジを引っ張るように階段を上がって行った。


「き、綺麗」


シンジの部屋はベッドが窓の近くに1つと何も入っていない本棚が1個、それと机1つと椅子が2個ある、それ以外は何もない・・・ホコリひとつ落ちてないのだ。


「タクマって意外と家庭的だからね、家事とか大好きなんだ♪」


シンジの感想を聞くとアイは自慢気にそう言った。


「さてと!勉強再開だね!」


勉強が再開すること実に30分、丁度ひと段落したタイミングで下の階からタクマの声がした。


「出来たみたいだね!タクマの手伝いしに行こっか!」


「うん!」


階段を降りると先ほどまで勉強した机が料理を乗せた皿でいっぱいになっていた。料理を見ていると自然と”ギュルル”とお腹が鳴った。


「さてと、食べるか」


そう言いタクマはシンジを席へ案内し、料理に手をつけた。


「美味しい・・・」


料理を食べると無意識にシンジは感想を言った。


「そう言ってくれると嬉しいよ、シンジは素直だな、アイと違って」


「わ、わらひは!いふほおいひいっていっふぇるほ!(わ、私は!いつも美味しいって言ってるよ!)」


「分かったから、とりあえず飲み込んでから喋ろ、行儀悪いぞ」


アイはゴクリと音を立て飲み込んだ。


「それにしてもよく食うな、お前ら」


「え?」


2人がテーブルを見ると沢山あった料理はもう無くなっていた。


(気づかないうちにこんなに食べてたの!?)


「だって美味しんだもん、ねっ!シンジくん!」


「う、うん」


「そうだ、シンジくんのその剣の事なんだけど、何か分かることってないの?」


(半月・・・)


「分かることと言われても・・・剣の名前くらいしか分からない」


「剣の名か、教えてくれるか?」


「暗剣・半月って教えてもらった」


「半月だと!?」


タクマは勢いよく立ち上がった。


「うん・・・知ってるの?」


「自体は思ったより深刻だな」


タクマはボソッとそう言った。


「え?」


「い、いや・・・なんでもない」


(深刻・・・って言ったよね?)


「教えて!半月の事!」


「そうだな・・・隠しても仕方がないか、暗剣・半月、それは光剣・半陽と対をなす闇の剣、闇の象徴と書かれてるのを前に本で読んだ」


「そう・・・なんだ」


(闇・・・そう言えば目覚める前に彼は僕のことをヤミって言ってた・・・けど、それってもしかして)


「まさか僕は闇の化身・・・みたいな感じなのかな?」


「な、何言ってるんだよシンジくん!」


「だって今のタクマさんの言い方は・・・それに」


「タクマも何か言ってよ!」


「・・・否定はしない、マスターもシンジには闇を感じるって言ってたしな」


「そんな!」


(やっぱり、僕は)


「でもな、闇=悪って訳じゃない、だから心配すんな」


そう言いタクマはリビングを出て行った。


「ちょ!タクマ!どこ行くの!?」


「ちょっとギルドに忘れもんしてきたから取ってくる、皿は流し台に置いといてくれ!」


「変なタクマだな〜」


「でも良い人ですね、タクマさんって」


「でしょ?だって私の・・・いや、なんでもない」


「どうしたのアイさん」


「だからお姉ちゃんってつけてよ〜!」

場所は変わってギルドの酒場


「よう、遅かったのタクマ」


「そんなに待たせたか?」


そう言いタクマは懐中時計を見た。


「タクマさん、何飲みます?」


バーカウンターの奥からシンジくらいの背丈の子が出てきて注文を聞いてきた


「メイちゃん、いつもの頼む」


「分かりました!」


「メイちゃんも良く働くよな」


「私もあの子に負けてられませんから!」


そう言いメイは酒瓶を出した。


(そういや、メイちゃんも今度の入学試験受けるんだっけか)


「なぁマスター、前から言いたかったんだが自分の孫が可愛いのは分かるが未成年に酒を運ばせるんじゃねぇよ!」


「何言っとるんじゃメイは18、とっくに成人しとる」


「メイちゃん18だったのかよ!」


「知らなかったの?」


「ま、まぁな・・・」


(この見た目で俺と3つしか変わらんのか)


「で、マスター、例の書類は出来たのか?」


「おう、出来ておる」


そう言いタクマに封筒を渡した。


(相変わらず手際がいいな、こっちが身分証明書で、これが入学手続き書だな)


タクマは封筒を開けると書類に目を通した。


「それとこれは診断書じゃ、持っていけ」


「サンキュー」


シンジ・マキリス

年齢:推定16歳 性別:男

体に傷害は無いため、記憶喪失となった原因は分からない診断としては脳へのダメージと見ているため近く診断が必要


「成る程な、ありがと」


「それで、アイの方はどうじゃ」


「今の所大丈夫だ、でもいつまた再発するか分からんって事だけは分かる」


「そうなのか?」


「あぁ、あいつとはいつも仕事で組んでるから分かるんだ・・・時折寂しそうな顔すんだよ」


「はぁ、シンジとアイか、今のお前は彼奴らの父親代わりでもある、体には十分気をつけるんじゃぞ」


「そんくらい分かってる」


「それにシンジ・・・あの子の力をどうするかによって世界の運命もまた変わるじゃろうからな」


「それってどういう事だ?」


「暗剣・半月、アレはお前の思っておるような生易しい代物じゃないって事じゃ」


(生易しい・・・俺の思っていた最悪の事態より酷いってことか)


「マスター、教えてくれないか」


「そうじゃの・・・・・」

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