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第九十二話 ノリオの個室 その5

「サクラコさんは、僕の彼女でもないのにそういうことをしてはいけないですよ」


 ノリオの言葉にサクラコは少し頬を膨らませた。


「私はノリオくんの彼女になりたいの!」


「小川艦長たちが来る前に言いましたけど、僕は小川艦長と真剣にお付き合いをするつもりです」


「そう、じゃあ、ノリオくんのこと諦めるわ」


「えっ!?そんなにあっさりと諦めちゃうんですか!?」


「ん?なに?諦めて欲しくないの?ノリオくんはノブヨおば様とお付き合いするんでしょう?」


「も、もちろんです!」


「それで、私とも付き合いたいの?二股するの?」


「そんなことはしません!」


 ノリオは激しく首を横に振った。


「じゃあ、ノブヨおば様が『正妻』で私を『愛人』にするつもりなの?」


「そんなこともしません!」


 ノリオはさらに激しく首を横に振った。


「じゃあ、私とノリオくんはこれでお別れね。二度と会うことはないと思うわ」


 サクラコはベッドから立ち上がると、ノリオに背を向けて部屋から出るためにドアに向かった。


「ちょっと待ってください!サクラコさん!」


「ん?なに?ノリオくん?」


 サクラコは振り返らずに背を向けたまま返事をした。


「そ、その……サクラコさん、もう少し話しませんか?」


 サクラコは振り向いた。


 その顔は勝ち誇った表情をしていた。


「ふーん、やっぱり、ノリオくん私を失うのは『惜しい!』と思っているんでしょ?」


「は、はい!」


「もー、しょうがないなあ。もう少し付き合ってあげる」


 サクラコはベッドに戻り、ノリオの右隣に座った。


 そして、ノリオの右腕に抱きついた。


「サクラコさん!胸が!胸が当たっています!」


「当ててるんです!」


「僕とサクラコさんは恋人同士でもないのにこんなことをしちゃいけません!」


「あら、ノリオくんはノブヨおば様の裸を何度も見たりしているでしょ?女の体には慣れてるんじゃないの?」


「サクラコさんと小川艦長とは違いますよ!」


「どこが違うの?」


「その……小川艦長は僕の母親ぐらい年が離れています。だからこそ、僕の身も心も人生も全部を小川艦長に委ねて安心できるんです。でも……」


 ノリオはいったん言葉を切って、真剣な眼差しをサクラコに向けた。


「サクラコさんは僕より年下です。サクラコさんの人生に僕が責任を持たなければならない立場になります。男として情けないですが、その責任を負う自信が僕にはありません」


「ふーん、世の中のたいていの男は私みたいな『美少女』とは付き合うことだけ考えていて、その後の『責任』なんて考えてないみたいだけど」

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