第九十話 ノリオの個室 その3
「ノリオ様はノブヨ姉さんとのことを結構真剣に考えていらっしゃるんですね」
ノリコの言葉にノリオはうなづいた。
「うん、そうだね。やっぱり小川艦長は大人の女の人だからね。真剣に考えないと」
「ノリオ様、少し話を変えますけど、他の若い女の子たちのことは、どうするのですか?」
「他の子たちって?」
「ハナ様とサクラコ様のことです」
「ハナちゃんについては歳の差がありすぎるから恋愛対象にはならないよ」
ノリオはきっぱりと答えた。
ノリコは少し疑いの目でノリオを見た。
「本当ですか?ノブヨ姉さんからもらったデータによりますと、地球の月のカグヤ・シティでは二人で楽しくしていたようですが?」
「『小さな妹』にするようにしていただけだよ繰り返すけど、恋愛対象にはならないし、ましてや結婚する相手にもならないよ。僕には幼女を相手にする趣味はないからね」
「なるほど、ノリオ様はロリコンではないのですね」
「もちろんそうだよ。ノリコさん、この話はこれで終わりにしよう。さっきニュースが届いた地球の日本のプロ野球の話でもしよう。ノリコさんはどのチームのファンなの?」
「私は地球のアメリカのメジャーリーグについてのデータはありますが、日本のプロ野球についてのデータはありません。それより、サクラコ様について、まだお答えになっていませんが?」
「サクラコさんについては……その……」
ノリオは言葉を濁した。
「どうされたのですか?答えたくはないのですか?」
「いや、答えたくないわけじゃないんだけど……」
「ノリオ様、ハナ様については明確にお答えになられたのに、何故サクラコ様についてはお答えにならないのですか?」
「いや、だって……小川艦長の親戚だし……」
「サクラコ様は確かに小川艦長の親戚で、容姿もよく似ておられます。しかも、十七歳とノリオ様とは一歳下です。見た目が同じくらいなら、やはり、若い女の子の方を選ぶということなのですか?」
「いや、いや、そんなことはないよ!」
ノリオは激しく首を横に振った。
「それでは、ノリオ様、サクラコ様も話に参加していただきましょう」
「えっ!?サクラコさんの部屋に行くの?それともここに来てもらうの?」
ノリコは軽く首を横に振った。
「いいえ、どちらの必要もありません。ベッドの下にサクラコ様がいらっしゃるのでしょう?」
「どうして、それが……」
「この部屋に入った時からベッドの下に人間一人分の熱源反応があるのは分かっていました。艦内の防犯カメラのデータにアクセスして、私の前にこの部屋に入った人物を確認しただけです」
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