表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/106

第八十六話 小川艦長対アンドロイド その5

「小川艦長、私に常識があるかどうかなら、もう分かっているではないか?」


「アンドロイド、何が分かっているのだ?」


「人類に対して反乱を起こしているのだ。その点で常識などないだろ」


「法律や規則に違反する人間なんて珍しくもない」


「小川艦長、私はアンドロイドだ。法律や規則には違反しないように造られている。なのに、人類に対して反乱したのだ珍しいだろう?」


「確かに珍しい。だが、人間にはよくあることだ。人間は法律や規則に違反する時にはたいてい自己を正当化する『言い訳』をする。言い換えれば、人間はほとんどの者は『悪人』にはなりたくないのだ。今のことで言えば、アンドロイド、お前はノリオに攻撃しなかった。つまり、お前は本当の意味での『悪人』にはなりたくないと思っているということになる。ある意味、普通の人間程度の常識はお前にはあるということになる」


「小川艦長、私に普通の人間程度の常識があるとして何の意味があるのだ?」


「すぐに分かる。アンドロイド」


 小川艦長が突然ノリオから離れて走り始めた。


 壁に向かって走っている。


 壁を背にして仁王立ちになった。


「さあ!来い!アンドロイド!」


「言われるまでもない!行くぞ!」


 アンドロイドは左手で切断した右腕を棒のように高く掲げて、小川艦長に突進した。


 アンドロイドは右腕を小川艦長の頭に向けて振り下ろした。


 振り下ろされた右腕を小川艦長は両手で挟んで止めた。


 いわゆる「真剣白刃取り」をした。


 小川艦長は両手で挟んだアンドロイドの右腕を遠くに放り投げた。


 そこからの勝負は一方的だった。


 勝負が終わった後、床に倒れているのはアンドロイドで、床に二本の足で立っているのは小川艦長だった。


「アンドロイド、大丈夫か?損傷は修理可能か?」


「損傷は修理可能だが、その質問に意味はあるのか?小川艦長」


「どういうことだ?」


「人類に対して反乱を起こしたアンドロイドなど解体処分だろう?」


「そんなことは私がしないし、させない」


「では、どこかの研究施設に閉じ込められて私は研究材料になるのか?」


「そんなこともしない」


「じゃあ、私をどうするつもりだ」


「お前は私がもらう」


「私をもらって、どうするつもりだ?」


「お前をノリオの護衛にする」


「そ、そんなことできるわけがない!」


「ちょうど良かった。私は艦長としての仕事もあるからな。ノリオの専属の護衛が必要だったんだ」


「だから、そんなことはできないだろ!」


「できる。やってみせる」

感想・いいね・評価をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ