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第八十三話 小川艦長対アンドロイド その2

「小川艦長、失礼しました。大変申し訳ありませんでした」


 小川艦長は笑顔になった。


「分かってくれればいい。さて、そろそろ始めるとするか」


 小川艦長は航宙自衛隊の制服を脱ぎ始めた。


「小川艦長、何をしているんですか!?」


「見て分かるだろう。服を脱いでいるんだ」


「何で服を脱いでいるんですか!?」


「基本的に相撲ルールでやると言ったろ。服を着て相撲はやらないだろう。アンドロイド、お前も服を脱げ。それとも服を脱ぐのは恥ずかしいか?」


「私はアンドロイドです。『恥ずかしい』という感情はありません」


 アンドロイドもメイド服を脱ぎ始めた。


 小川艦長とアンドロイドは全裸になった。


「アンドロイド、裸になって分かったが、顔だけでなく、身体も私にそっくりだな。細かい所で違いがあるが」


「私の身体も小川艦長の画像データを参考にしています。もちろん、小川艦長の裸の画像は私の所有者は手に入らなかったので服を着た画像を参考にしています。ですから違いがあります」


「なるほど、じゃあ始めよう。ノリオ、審判を頼む」


「ちょっと!ちょっと!待ってください!」


「どうした?ノリオ」


「お二人とも裸だと見た目がそっくりで区別できないんです。これでは審判ができません」


「ほー、ノリオ、私の裸とアンドロイドの裸が区別できないのか?私の裸は以前見ているだろ」


「確かによく見ると細かい違いがありますけど、お二人がこれから組み合ったりするんですよね?とっさにどちらか分からないことがあると思うんです」


「ふむ、それなら区別できるようにするか」


 小川艦長はたたんで床に置いてあった制服のポケットからヒモを取り出して、自分の髪を結わえてポニーテールにした。


「ノリオ、これでいいか?」


「はい、ありがとうございます」


 小川艦長とアンドロイドは立ったまま向き合って試合を始めることにした。


「で、では!始め!」


 ノリオが試合開始の合図をした。


 試合が始まったが、小川艦長もアンドロイドもすぐには動こうとしなかった。


 お互いにらみ合いをして隙を探りあっているようだ。


 先に動いたのは小川艦長だった。


 突進すると両腕でアンドロイドを抱きかかえるようにした。


 そのまま力任せにアンドロイドを押し倒そうとしている。


 力が拮抗しているようでアンドロイドは倒れない。


「アンドロイド、パワーも私と同じくらいのようだな。私は人間なのだから、人間ではありえないパワーに設定すれば簡単に私に勝てるのではないか?」


「それでは意味が無いのです。私の所有者は私をできるだけ小川艦長と同じに再現することを望んでいましたから」

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