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第八話 リングの授業 その1

黒板にチョークを走らす音がする。


「さて、一般的に『リング』と呼ばれているのは正式名称は黒板に書いた通り『国際連合管理環状恒星間跳躍装置』だ。ここ次のテストにでるぞ。おいっ!ノリオ!教科書を忘れて隣の席のサクラコに見せてもらっているのは仕方ないが、もっと授業に集中しろ!」


ノリオが座る席の隣には仮想現実でセーラー服姿の「サクラコ」が再現されている。


ノリオの視線は教科書だけではなく、サクラコの身体のあちこちに向けられている。


小川艦長は、ノリオの「美人教師と美少女同級生に囲まれて授業を受けたい」という願いを「美女と美少女二人の方が女慣れする訓練になるだろう」と受け入れた。


「小川先生、美少女を至近距離で好きなだけジロジロ見れるチャンスなんて普通無いんです。見逃してください」


「まあ、いい。授業を続けるぞ。リングとは……」


「リング」は「異星人の置き土産」とも呼ばれているように、地球人類が製造した物ではない。


異星人からもたらされた物である。


地球人類は「リング」については複製することはできず。原理・仕組みについてもいまだに分からず。使用法だけが分かっているだけである。


「リング」を地球人類が手に入れたのは、後に跳躍暦一年となる西暦最後の年のことであった。


月面にある日本の観測・実験施設カグヤ・ベース(当時は十人ほどが滞在する月面基地にすぎなかったが、現在では数十万人が生活する月面都市カグヤ・シティになっている)の近くに一隻の宇宙船が着陸した。


月面にある日本以外のアメリカ・ロシア・中国などの月面基地も、その宇宙船の存在を月面に着陸する前から発見していた。


太陽系の外に突然現れて、地球の最新型の宇宙船でも不可能な高速で月に向かって航行していたその宇宙船は、「異星人」の物としか考えられなかった。


異星人による「侵略」か「友好」か?


ファーストコンタクトに備えてさまざまな準備がされた。


その宇宙船は、月面に着陸してから電波による映像と音声をカグヤ・ベースに送って来た。


それまで地球側の通信に一切答えなかったので、異星人からの初めての通信にカグヤ・ベースは色めき立った。


しかし、モニターに映った姿は意外なものだった。


日本人なら誰もが知る国民的人気アニメのキャラクターだったのだ。


流暢な日本語で、そのキャラクターの声で異星人側は説明した。


異星人は、地球のテレビ放送などの電波を受信して、地球の文化をある程度理解したが、異星人の容姿が地球人には嫌悪感を持たれることが分かったのだ。


それで、地球のアニメのキャラクターを拝借して、キャラクターの姿と声で地球側と交信することにしたのだった。


カグヤ・ベースでは、子供の頃から慣れ親しんだ姿と声を借りている異星人に違和感を持ちながらもファーストコンタクトに挑んだ。

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