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第七十三話 日米宇宙軍合同演習 その6

「『ミズーリ』の人工知能が自分で模擬弾の改造を判断したというのか!?人工知能にエラーが発生しているというより『進化』していると言うべきだぞ!」


 小川艦長の言葉にかぶさるように通信長が報告した。


「宇宙戦艦『ウィスコンシン』より発光信号で通信……これは!?」


「どうした!?通信長。通信文を読み上げろ!」




 数十分後、宇宙護衛艦「しなの」の戦闘指揮所は、艦内のあちこちからの報告で騒がしくなっていた。


「艦首主砲の一門に被弾!砲撃不能!」


「食糧保管庫が衝撃で一部破損!」


「副砲が一基被弾!旋回不能!」


「現在のところ負傷者無し!」


 小川艦長の手元にある小型モニターには悔しそうな細川副長の顔が映っていた。


「こちらからは砲撃できずに一方的に撃たれるだけというのは……」


「そう言うな副長。『ミズーリ』はアメリカ合衆国の国有財産だからな。『撃つな』と明確に言われたのでは攻撃はできん。それに『ミズーリ』の改造模擬弾では損害は受けるが致命傷にはならない」


「ですが、面白くはありません。こちらに『オトリ』になれというのは」


「私も『オトリ』になるのは愉快ではないが、作戦として打倒だ」


 戦艦「ウィスコンシン」からの通信は要約すると「『しなの』がオトリになって『ミズーリ』の攻撃を受けている隙に『ウィスコンシン』が『ミズーリ』に強制接舷して艦内に宇宙海兵隊を送り込み人工知能を強制停止する」という内容だった。


「『ウィスコンシン』が『ミズーリ』に強制接舷!宇宙海兵隊が乗り込んでいます!」


 観測長が報告した。


「やれやれ、これで人工知能を強制停止させればゲームオーバーだな」


「『ミズーリ』からの妨害電波が止まりました!通信回復します!宇宙戦艦『ウィスコンシン』からです!」


「通信長。つなげろ」


 戦闘指揮所の大型モニターにスキナヨニー准将が映った。


「ごめんね。ノブヨ。オトリをやらせちゃって」


「スキナヨニー准将。気にする必要はない。作戦は成功したようですね?」


「うん、『ミズーリ』に乗り込んだ宇宙海兵隊の隊員から連絡が来た。人工知能を強制停止させたって」


「『ミズーリ』の人工知能については詳しく調査をする予定なのですか?」


「地球の月のアームストロング宇宙軍基地まで『ミズーリ』を持っていって調査することになると思う。『しなの』も一緒に……ワシントン艦長。どうしたの!?えっ!?『ミズーリ』の艦内で宇宙海兵隊がアンドロイドに攻撃されている!?」

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