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第六十七話 スキナヨニー その3

 恥ずかしそうに上半身裸で胸を両腕で隠すスキナヨニーは妙に色っぽかった。


 だが、ノリオはそれを正直に言ってしまうと「負け」のような気がしたので口に出してはこう言った。


「スキナヨニー准将。男同士で恥ずかしいことはないでしょう?」


「な、なんて言うのか、ノリオ。君に見つめられると妙に恥ずかしいと言うか……」


「でも、スキナヨニー准将。あなたは、こういうことには慣れているでしょう?」


「慣れているって、どういう意味?」


「以前、小川艦長のベッドに裸で潜り込んだことがあるのでしょう?他にも数え切れない人たちに似たようなことをしたことがあるんじゃないですか?男だろうと女だろうと構わずに手当たりしだいに」


 スキナヨニーはうつ向いて黙り込んだ。


(あれ!?怒らせちゃったか?)


 スキナヨニーは顔を上げると笑顔をノリオに向けた。


 人を馬鹿にするような笑顔ではなく純粋無垢な少年のような笑顔だった。


「ノリオ。俺がハニートラップを任務としているのは公然の秘密になっているが、真正面からそれを俺に向かって言ったのは君が初めてだ」


「あ、あの失礼でしたか?」


 スキナヨニーは首を軽く横に振った。


「いや、むしろ気持ちがいい。君が真正面から正直に言ってくれたから。俺も正直に言おう。俺が上層部から受けた任務は『ノリオ・大原をハニートラップに引っ掛ける』ことだ。もっと、はっきりと言うと、俺が君の『愛人』『恋人』になることが目的だ」


「あの……僕は同性愛者じゃないですよ。何で男のスキナヨニー准将が任務を受けるんですか?」


「『自分は同性愛者じゃない』と思っているターゲットでも、俺が誘惑すると『新たな道』に目覚めることが多いんだ。ノリオもそういう可能性があると思われたんだよ。事実、ノリオは俺に対してぐらついただろ?」


「それは認めます」


「でも、俺はノリオの『愛人』『恋人』にはなりたくない。何と言ったらいいのかな……別の関係……もっと純粋な関係で……」


「それって『友達』じゃないですか?」


 スキナヨニーは本当に嬉しそうな笑顔になった。


「そうだ!やっと分かった!友達だ!俺はノリオと友達になりたいんだ!ノリオ。俺と友達になってくれる?」




 数分後、応接室からスキナヨニーは退室し、宇宙戦艦「ウィスコンシン」に戻り、応接室にはノリオと小川艦長の二人だけになった。


「小川艦長。僕がスキナヨニー准将と友達になったのは不味かったですかね?」


 ノブヨは首を横に振った。


「いや、どうやっても無関係ではいられないからな。『友達』という関係になれたのは、むしろ上出来だ」

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