第六十六話 スキナヨニー その2
ノリオの視線は小川艦長の裸になった上半身に釘付けになった。
視線が主に向けられているのは胸部だ。
二つ並んだ山……いや、山脈というべき物だ。
ノリオは小川艦長の裸の胸は何度か見ている。
だが、何度見ても飽きることはないように思える。
ただ大きいだけではなく形も良い。
山で言えば「名山」だ。
例えるならば、地球の日本列島で一番高く美しい山である「富士山」が二つ並んでいるようなものだ。
ノリオは実物の富士山は修学旅行の時に一度見ただけだが、そう思った。
「ノリオ。本当に立派な胸だと思わないか?」
「はい、そう思います」
いつの間にかスキナヨニーがノリオの隣にいて、並んで小川艦長の胸部に視線を向けていた。
小川艦長は両腕で胸を隠した。
「スキナヨニー准将。見ないでくれませんか?」
「何で?上半身裸になったのはノブヨが自分でしたんじゃないか?」
「大原二等宙士に見せるために脱いだのです。スキナヨニー准将。あなたに見せるためではありません」
「ノリオだけじゃなくて、俺もいるんだから脱いだら俺にも見られるのは当然だろう?」
「それはそうですけど、そこまで考えがいたりませんでした」
「ノブヨにしては珍しく焦ったみたいだね。俺がノリオを誘惑しているのを見て危機を感じたの?」
「はい、そうです」
「ノブヨの作戦は成功だよ。ノリオの視線は君の大山脈に釘付けだもの。ところで、ノリオ」
「はい、なんでしょうか?」
「俺の胸にはもちろん山はなくて平原だけど、どう思う?」
スキナヨニーは服を脱いで上半身裸になった。
スキナヨニーの裸の胸は彼自身の言う通り膨らみはなく平らだ。
誰が見たとしても男の胸だ。
なのにノリオの視線はスキナヨニーの胸に釘付けになった。
(綺麗だ……ペッタンコで明らかに男の胸なのに何でこんな風に思うんだ!?)
ノリオは考えた。
学校での水泳の授業での男子生徒の水着姿や男性アイドルの水着映像を思い出した。
(うん!過去、僕は男の胸を綺麗だなんて思ったことはなかった!それなのに何でスキナヨニー准将に対しては……)
ノリオはさらに考えた。
(現実の男の胸は何とも思わなくても、マンガ・アニメの『男の娘キャラ』は確かに僕の好みだけど……僕の好みは女装が似合うけど、女装趣味は無いキャラが女装することから起きるアクシデントの連続のようなストーリーが好みだけど……)
ノリオはスキナヨニーに向ける視線を強くした。
「ノリオ。そんなにジロジロ見ないでくれ恥ずかしい」
スキナヨニーは両腕で胸を隠した。
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