表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/106

第六十一話 宇宙戦艦「ウィスコンシン」 その2

 日本国航宙自衛隊宇宙護衛艦「しなの」は、ノリオが選択した「リング」を通過した。


 一瞬の後、「しなの」はニュー・フロンティア星系にあった。


 アメリカ合衆国宇宙軍宇宙戦艦「ウィスコンシン」が「しなの」の前方に見えた。


「艦長。『ウィスコンシン』より通信です」


「通信長。繋げ。情報を全員で共有できるように大画面に映せ」


「了解」


 艦橋の前方にある大型モニターに、アメリカ宇宙軍の制服を着た人物が映った。


 階級章は大佐であることを示している


 浅黒い肌のアフリカ系アメリカ人であった。


「アメリカ合衆国宇宙軍宇宙戦艦『ウィスコンシン』艦長、エリザベス・ワシントン大佐です」


 ワシントン大佐はふくよかな感じのする女性であり、軍服を着ていなければ保育園の園長に見えるような人物であった。


「日本国航宙自衛隊宇宙護衛艦『しなの』艦長、ノブヨ・小川一等宙佐です。ワシントン大佐。さっそくの質問を失礼しますが、『ウィスコンシン』には『ラッキーパーソン』が乗っているのですか?」


 ノブヨの質問に画面の中のワシントン大佐はかすかに表情を歪めた。


「その質問には答えられない」


「まさか、『ラッキーパーソン』なしで、ここニュー・フロンティア星系に一回目で辿り着いたのですか?そうだとしたら本当にラッキーですね」


「その質問にも答えられない」


「まさか……『ラッキーパーソン』なしで『リング』を一回目で当てる方法をアメリカは見つけたのですか?そうだとしたら歴史を変えるようなことですよ?」


 ワシントン大佐は首を激しく横に振った。


「いや、いや、いや、そんな方法は私たちは発見していないよ」


「アメリカもいまだに『ラッキーパーソン』でしか『リング』を一回目で当てることができないということですか?」


「その通りです」


「それなら、『ウィスコンシン』には『ラッキーパーソン』が乗っていることになりませんか?」


「その質問には答えられない」


「肝心なところの質問に答えることを禁じているのは、ワシントン大佐。あなたの上官ですか?」


 ノブヨは「その質問には答えられない」と返事がくると予想した。


「その通りです」


 予想に反してワシントン大佐はあっさりと答えた。


「その上官は『ウィスコンシン』に乗っていますか?」


「その通りです」


「ひょっとして、その上官は私の古い知り合いですか?」


「その通りです」


「それなら、その上官にイタズラみたいなことはやめて、私の前に堂々と出なさいと伝えてください」


「ワシントン艦長、俺と変わろう」


 モニターにはワシントン艦長に変わって、金髪碧眼の中学生ぐらいに見える白人の少年が映った。

ご感想・評価をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ