表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/106

第五十九話 カグヤ・シティ その14

 ノリオに言葉にノブヨは答えた。


「君の階級はそうだが、君は『ラッキーパーソン』だ。かけがえのない人物だ」


「ノブヨさん。前にも似たようなこと言ったことがあると思いますけど、僕の実力じゃなくて、たまたま宝くじの一等に当たったようなものです」


「たが、宝くじの一等に当たったばかりに身を持ち崩した者もいる。君はそうじゃないだろ?」


「買いかぶりです。これから僕はそうなるかもしれませんよ?」


「ノリオ。例え話をするぞ。少し長くなるが最後まで聞いてくれるか?」


「はい、ノブヨさん」


「君が私に『今の姿のまま艦内を歩き回れ』と言ったとする」


「えっ!?それって裸のまま艦内を歩き回れってことですか?僕はそんなことは言いませんよ」


「例え話だと言ったろ。もし、そう言われたら私はそうするしかない」


「えっ!?やっぱり、ノブヨさんにはそういう趣味が……」


「馬鹿!私に大勢の前で裸になる趣味は無い!裸になるのは好きな男の前だけだ!」


「それならどうして……」


「君が『ラッキーパーソン』だからだ。殺人と放火以外ならたいていのことは許される。例えば私を『性奴隷』にしてさんざんもてあそんだ後捨てたとしても君は何も責任は問われることはない」


「えっ!?『性奴隷』なんて、僕はそんなことは……」


「ああ、君はそんなことをしないと今では確信を持てる。だが、『ラッキーパーソン』になった最初の頃は分からなかった。だから、私は常に君の近くにいるようにしたんだ。この宇宙護衛艦『しなの』には女性乗組員も多いからな。君が手を出して彼女たちが被害にあわないようにだ」


「えっ!?じゃあ、ノブヨさんが僕のことを好きだというのは……」


「誤解するな。私が君のことを好きなことは今では本当だ」


「それじゃあ……」


 艦内通話のアラームが鳴った。


 ノブヨは音声のみの設定にして通話に出た。


「どうした?」


「副長です。航宙艦隊司令部より命令です。宇宙護衛艦『しなの』はただちに出港。アメリカ合衆国宇宙軍宇宙戦艦『ウィスコンシン』と合流し、ニュー・フロンティア星系へ向かえとのことです」




 数時間後、宇宙護衛艦「しなの」は十二個のリングの近くにいた。


 艦橋の艦長席にノブヨは座り、その隣にノリオが座っている。


 宇宙戦艦「ウィスコンシン」が来るのを待っている。


「もともと、アメリカ宇宙軍とのニュー・フロンティア星系での合同演習は予定にあった。それが少し早まったな。さて、アメリカさんは何を企んでいるのか?」


「ノブヨさ……じゃなくて、小川艦長。アメリカは同盟国ですよね?」

ご感想・評価をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いつまでも同盟関係であるとは限らない 1900年代から約20年で 日英同盟は消えましたし 宇宙リング技術 もし、あの時 宇宙人が日本じゃなく、アメリカや中国(フード目的)にリングを渡して…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ