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第五十七話 カグヤ・シティ その12

 ノリオは驚いた。


「五人の拳銃が全部不発!?そんなことありえるのですか!?」


 ノブヨは首をゆっくりと横に振った。


「まず、ありえん。一丁ぐらいなら不発はありえるだろうが、五丁とも不発になるなど、かなり低い確率だ」


 そして、ノブヨは五人との戦いの詳細を話し始めた。


 話しているノブヨの姿にノリオは違和感があったが、それが何かは分からなかった。


 いきなりノリオが男の一人に体当たりをしたのに、ノブヨは驚いたが、鍛え上げられた身体は考えるより前に動いていた。


 一番近くにいた男に殴りかかって気絶させると、拳銃を奪い二人目を撃とうとした。


 だが、いくらトリガーを引いても弾は発射されなかった。


 ニヤニヤと笑いながら四人の男たちは拳銃をノブヨに向けた。


「不発のようですな。運が悪かったですな。小川艦長。『ラッキーパーソン』を部下にお持ちなので残念なことで。あなたを人質にしてノリオ・大原を連れていくつもりでしたが、彼は気絶してしまいました。あなたを殺してしまった方が手間がはぶける」


 四人は拳銃のトリガーを引いた。


 だが、弾は発射されなかった。


 四丁とも不発だったことに戸惑った男たちの隙をついてノブヨは拳銃を鈍器として使い、男たちを倒した。


「拳銃は警察に証拠品として押収されたが、あの場で私が見た限りでは五丁とも何も異常はなかった。不発になる方が変だ」


「そうだったんですか、僕はノブヨさんは銃がなければ男五人相手でも勝てると思ったから体当たりしたんですが、あまり意味はなかったですかね?」


「ん?ノリオ。お前はあの時、『銃がなければ私が五人に勝てる』と思ったのか?」


「は、はい」


「確かに素手での戦いなら一対五でも私は勝てる。ああ、なるほど私が奪った拳銃も不発だったのもそれで説明がつく。ノリオが『銃がなければ』と思ったからだ。だから、あの場にあった拳銃が全部不発になったんだ」


「ノブヨさんは僕の『ラッキーパーソン』としての能力で拳銃が不発になったと思っているんですか?」


「それが一番説明がつく」


「『ラッキーパーソン』だと、そんなことが起きるんですか?」


「そんな前例はない。何度も言っているが、過去に『ラッキーパーソン』になった人の幸運は『リング』に関してだけだ」


 ノリオはノブヨの姿の違和感の理由にようやく気づいた。


「あの、ノブヨさん。話は変わりますけど、ここはあのホテルの部屋じゃなくて、『しなの』の艦長室ですよね?」


「そうだ」


「なぜ、ノブヨさんは裸のままなんです?」


 ノブヨは全裸であった。


 ノリオが気絶する前に見たノブヨは全裸だったので、違和感になかなか気づかなかった。


「もちろん、私は裸のままホテルからここに移動してはいないぞ。ホテルでちゃんと服を着た。この艦長室でお前と二人きりになってから服を脱いだんだ」

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