第五十四話 カグヤ・シティ その9
ノリオは目の前ある二つの豊かな膨らみを見て悩んでいた。
(当てたら揉み放題!?右か左かは確率は二分の一だ。今の僕なら確実に当てられる……いや、いや!待て!ここで当てたら、ますます深みにはまってしまう!よく考えろ僕!ノブヨさんは僕の母親の方が歳が近いんだぞ!彼女の色気に負けるな!)
ノリオは地球の日本列島の東北地方にある自分の実家を思い浮かべた。
そこで家事をする母親の姿をノブヨに置き換えてみることした。
(よし!こうすればノブヨさんに色気は感じないはず……)
ノリオはビキニ姿のノブヨが実家にいるところを想像してしまった!
(うわあああっ!エロ過ぎる!何を想像しているんだ!僕!)
「おい、ノリオ。何をしているんだ。さっさと選んでくれ」
「あっ!はい!」
ノリオは反射的に右手をノブヨに向かって差し出した。
右胸か左胸を指差すつもりだったが……
変な勢いがついて右の人差し指をノブヨの口に突っ込んでしまった!
「あっ!すいません。すく指を抜きます」
ノリオは人差し指を引き抜こうとした。
ノブヨは軽く噛んで指を止めた。
「あの、ノブヨさん。少し痛いです」
ノブヨは指を噛んだまま妖しげな笑みを浮かべた。
ノリオは人差し指を何かが這い回るのを感じた。
「ちょ!ちょっと!ノブヨさん!?」
ノブヨの舌がノリオの人差し指を舐めているのだ。
「あああっ!ああああっ!」
ノリオは初めて経験した快感に矯声を上げてしまった。
「気持ちいいか?今のは『当たり』のご褒美だ」
ノブヨは口から丸めたティッシュペーパーを吐き出した。
「えっ!?ビキニじゃなくて口の中に入れてたんですか!?」
「そうだ。それを当ててしまうとは君は本当に凄いな」
「今のは偶然手がすべっただけです」
「それが『ラッキーパーソン』としての君の能力なのだろう。さて、もっと気持ちいいことをしてやろうか?」
ノリオが肉食動物のターゲットになった草食動物の気持ちが分かった時、部屋のドアが破壊された。
破壊されたドアの方を見ると、一機の装甲機動服、いわゆるパワードスーツが部屋に侵入していた。
航宙自衛隊に入隊して記憶促進装置で強制的に記憶した知識でノリオにはそれが何かすぐに分かった。
「あっ!あれは!十式装甲機動服!跳躍暦百十年に陸上自衛隊と航宙自衛隊陸戦隊に制式配備されました。二十年前に全機が自衛隊からは退役。武装をはずして民間に作業用に払い下げられた機体があります!」
「その通りだ。ノリオ。このカグヤ・シティの建設会社が数機所有している。油断したな今の私は丸腰だ」
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