表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/106

第五十三話 カグヤ・シティ その8

「監視していたんですか?僕がハナちゃんと二人で遊んでいるところを」


「『監視』ではなく『保護』と言って欲しいな。君はあらゆる勢力に狙われている立場なんだ」


「『ラッキーパーソン』なんか成るものじゃないですね」


「それで、質問を繰り返すが、ノリオ。二枚目からはスクラッチくじをわざとはずしたのか?」


「はい、そうです。一枚目が当たったら二枚目から後が当たるのが何だか怖くなったので」


「ふーむ、一枚目の時は『当てよう』としたのか『はずそう』としたのか?」


「当てようともはずそうとも考えていませんでした。何も考えずにただくじを削っただけです」


「ふーむ、なるほど、ノリオ。私はちょっと考え事をしたい。考えがまとまるまで静かにしていてくれ」


「分かりました」


 ノブヨは黙り込んだ。


 ノリオはノブヨに話し掛けることはできず。


 勝手に部屋を出ていけない雰囲気でもあった。


(まいったな。部屋にあるテレビはつけちゃいけない雰囲気だし、携帯端末はプールサイドに置いてきたから暇を潰す方法が無い)


 ノリオはベッドに隣り合って座っているノブヨを見つめた。


(あらためて落ち着いて見ると、ノブヨさんは本当に美女だよな。サクラコさんやハナちゃんには無い『大人の色気』がいっぱいという感じだ)


 ノリオはさらに考えた。


(もしも、将来、結婚するならノブヨさんみたいな人がいいのかな?彼女のような『大人の女』なら僕のことを導いてくれて……)


 ノリオは首を激しく横に振った。


(おっと!危ない!危ない!ノブヨさんが僕との結婚の話を何度もしているのは、僕が『ラッキーパーソン』だからだろ!僕自身に好意を持っているわけじゃないんだ!)


「うん、やっぱり、実際にやってみて検証してみるしかないか」


 ノブヨは考えがまとまったようだった。


「ノリオ。君のくじ運を試したい」


 ノブヨは部屋にあったティッシュペーパーを小さく丸めた。


 両手を握りこぶしにしてノリオに向かって突き出した。


「ノリオ。右手と左手どちらに丸めたティッシュペーパーが入っていると思う?」


「嫌です。やりたくありません。拒否します」


「ノリオ・大原二等宙士。これは命令だ」


「今はプライベートな時間ですよね?ノブヨさんに命令する権限はありません」


 ノブヨは怒らずに笑顔になった。


「状況に流されるだけかと思っていたが、自分の意思を貫こうとするようになったな。それならこれはどうだ?」


 ノブヨはビキニの胸に丸めたティッシュペーパーを入れた。


「ノリオ。私の右胸と左胸どちらだと思う?当てたら私の胸を揉み放題だ」

ご感想・評価をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 論理的に かなり強引な 危ないやり方 当ててしまって、やってしまったら 即、錠になりかねないと思うが 果たしてノリオは断れるのか、それとも
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ