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第五十二話 カグヤ・シティ その7

「ほー、だが、ノリオ。チラチラと私たちの方を見ているだろう。プールがあると聞いた時から私たちの水着姿は期待していたのではないか?」


「そ、それは……」


「別に遠慮しなくてもいいぞ。それとも他の二人と違って私のような『おばさん』の水着姿は魅力がないか?」


「い、いいえ!そんなことはありません!」


 ノリオは首を激しく横に振った。


「ノブヨさんのビキニは最高です!」


「そうか?私の鍛え上げた身体を見ると引いてしまう男も多かったのだが?」


「いいえ!そんなことはありません!ノブヨさんの身体はとても魅力的です!」


「具体的に私の身体のどこが魅力的か言ってくれないか?」


「確かにノブヨさんは筋肉質な身体をしていますけど、同時に女らしい身体もしています」


「私の身体のどこが『女らしい』のだ?」


「その……こんなこと言って軽蔑されませんか?」


「私は男に幻想を持つような歳ではない。男は誰であれ多かれ少なかれスケベだと知っている。遠慮なく正直に言ってくれ。軽蔑などしない」


「じゃあ!思い切って言います!オッパイです!大きくて触ると弾力がありそうで!」


「私が過去に付き合った男たちはみんなそんな風に私の胸を言ったな」


「あ、あの……ノブヨさんが過去に付き合った男の人たちって、どんな人だったんですか?」


「ほう、嫉妬か?」


「いいえ!そんなんじゃないです!」


「そうか、それなら……」


 ノリオとノブヨ二人の間に割り込む二つの影があった。


「もうっ!ノブヨおばさま!ノリオくんを一人占めしないでください!」


「そうだよ!ノブヨおばちゃん!ノリオお兄ちゃんは、あたしたち三人のものなんだからね!」


 サクラコとハナの二人は「おばさま」「おばちゃん」を強調するように言った。


 だが、ノブヨはそれに怯むような態度は見せなかった。


「ノリオが誰を選ぶかはノリオ自身の意思の問題だろう。ところで、誰を選ぶのだ?」


「だ、誰をとは?」


「まさか、私たち三人とも選ぶつもりか?一人を正妻にして他の二人を愛人にするつもりか?私はそれでも構わんが?」


「い、いえ……そんなつもりは……」


「はっきりしない男だな!よし!既成事実をつくるぞ!」


 ノブヨはノリオの身体を軽々と持ち上げた。


 お姫様抱っこで抱えると走り出した。


 ノブヨはベッドルームに飛び込むと、柔らかいベッドにノリオを放り投げてドアをロックした。


「さて、二人きりになったな。ノリオ。正直になってもらおうか。このベッドルームは盗聴されてないのは確認済みだ」


「正直にって、何ですか?」


「スクラッチくじのことだ。一枚目が当たった後、わざとはずしただろ?」

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