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第百六話 ニュー・フロンティアでの暴動 その13

 惑星調査員グループと武装探偵グループは、未調査地域で自分達の村をつくるようになった。


 惑星調査員グループは、武装探偵グループの村を見つけても攻撃することはなかった。


 攻撃して泥沼の武力闘争に陥ることを避けたのだった。


 その内、武装探偵グループも惑星調査員グループの村を攻撃しなくなった。


 どちらのグループも、自分達の村を増やすことで、相手を包囲しようとしたのだ。


 ある日系アメリカ人は、この状況を「将棋ではなく囲碁だ」と評しました。


 陣取り合戦で、相手を封じ込めようとしたのでした。


 その内、武装探偵グループの中で奇妙な副業を始めた者があらわれるようになった。


 武装探偵グループの村に住む「探偵助手」が増加したのだ。


 ニュー・フロンティアの法律では、武装探偵は免許制である。


 重火器の所有や捜査権を許されるため、審査は厳格である。


 しかし、その助手については規制はかなりゆるい。


 武装探偵個人が、「助手に任命する」だけなのである。


 助手個人には重火器の所有や捜査権は無いが、「武装探偵の管理下」では許されている。


 つまり、表向きは「助手」として武装探偵グループの村の住人を増やしているのだ。


 わざわざ、未調査地域の住人になるような人間はほとんどが真っ当な人間ではなく、犯罪者に近いような人間であった。


 武装探偵グループの方が住人を増やせるので、武装探偵グループの勢力が有利になった。


 ここで、ニュー・フロンティア州議会が動いた。


 議員の一部が、惑星調査員グループと武装探偵グループが、未調査地域で村を開拓しているのを問題視したのだ。


 本来、未調査地域は、惑星調査員による調査が終わった土地を「調査完了地」として、州政府による土地開発が計画される。


 しかし、現状は、惑星調査員グループと武装探偵グループが勝手に無秩序に村を開拓している。


 将来の土地開発の障害になるので、惑星調査員グループ・武装探偵グループの両方に「未調査地域にある村の解体」を議会で決議したのだった。


 しかし、惑星調査員グループ・武装探偵グループどちらも議会の決議には従わなかった。


 どちらも「村を開拓などしていない」と主張したのだ。


 惑星調査員グループは、「未調査地域の調査のための一時的な拠点であり、恒久的な村ではない」と主張した。


 武装探偵グループは、「惑星調査員グループの違法行為を取り締まるための一時的な拠点であり、恒久的な村ではない」と主張した。


 皮肉にも、敵対する二つのグループは似たような主張をしたのだ。

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