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第百五話 ニュー・フロンティアでの暴動 その12

 監査局はポケットマネーで武装した探偵を雇い、未調査地域に送り込んだ。


 それに対抗するために、惑星調査員たちは最初は本格的に武装しようという考えもあった。


 キャンピングカーの屋根に機関銃を搭載して、簡易装甲車にするようなアイデアもあった。


 しかし、不毛な武力闘争の泥沼に嵌まり込む可能性があるので、武装化路線は放棄された。


 惑星調査員たちは自分たちが調査した地域の一部をわざとニュー・フロンティア星系政府には報告しないことにしたのだ。


 今までも、「隠れ家」に使う洞窟などを報告しないことはあったが、地球の日本列島の北海道ぐらいの面積を報告しなかったのだ。


 調査したデータを星系政府に報告しなければ、報酬は受け取れない。


 しかし、その地域に自分たちのための「村」をつくったのだ。


 今までの洞窟などの「小さな隠れ家」ではなく、自分たちのための「共同体」をつくろうとしたのだ。


 村の周りは城壁で囲われている。


 現地の土や石を盛ってつくったもので、人工知能の小型重機で簡単につくれる。


 城壁の中には、キャンピングカーをそのまま家にすることも多いが、簡易的な家を建てたりもする。


 城壁は地球では中世の小さな町にあったレベルだが、監査局の武装探偵が見つけても攻略は難しい。


 武器探偵が装備しているのはライフル銃ぐらいなので、中世レベルの城壁でも破壊はできない。


 それに、惑星調査員たちは、そこで籠城するつもりなない。


 武装探偵に見つかったら、放棄して別の場所に新たな村をつくればいいだけだからだ。


 武装探偵がいったん引き返して仲間を引き連れて戻っても、そこには放棄されて、元の原野になった土地を目にするだけなのだ。


 武装探偵たちは機動力強化・武装強化をしようとした。


 武装探偵たちも惑星調査員と同じく未調査地域ではキャンピングカーで移動している。


 屋根に機関銃を搭載して、さらに野砲を牽引したのだ。


 牽引式野砲は30ミリ口径だったが、土と石の城壁を破壊するには充分な威力だった。


 しかし、惑星調査員の方は武装探偵に村が発見されれば、放棄して場所を移動するだけなので、武装探偵にとっては問題解決の方法にはならなかった。


 そこで、武装探偵たちは考えた。


 自分たちも未調査地域に村をつくることにしたのだ。


 未調査地域が広大でも地形や水源などから村がつくれる場所は限られている。


 限られた場所を村をつくることで先に占拠して、惑星調査員たちの行動を封じ込めようとしたのだった。

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