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花の宴-2 (エピローグ)

こんなに書くつもりは無かったんだけどなぁ……



前回のあらすじ。

博麗神社の花見宴会。幻想郷中の人妖が集う日。

台所から、賑やかな声と美味しそうな香りが漂ってきた。

サニーミルク―光の妖精―は、光の屈折で姿を隠すと、そっと中を覗き込んだ。


鍋やフライパンが並び、幾つかは湯気が立ち上っている。


思わず駆け寄りたい衝動に駆られたが、我慢しなきゃ、と小さく呟いて押さえる。

いくら見えないようになっているとはいえ、実体はあるわけで、触れられたら気づかれるのであって。

目で人影を追う。



三人。



「すまないが、砂糖と醤油を頼む。ここに置いてあるので構わない。」

ハクタク(?)のけーね(慧音)。人里にいる妖怪なんだって。寺子屋の先生だね。


「……はーい。目分量で入れますね。」

秋姉妹だっけね。なんか秋の神様。その姉の方。秋は、頭に紅葉がついてるけど、春でもついてるね。


「……冬の間に感覚が鈍ったわね……」

鍋とにらめっこしてるのが、妹の方。髪飾りはブドウなんだね。美味しそう。



サニーミルクは深呼吸をすると、台所に一歩踏み出した。

狙いは一本に定めて、筑前煮。



第一の関門、けーね。

こっちの姿は見えてないはずなのに、目が合うとびっくりするよぉ。

特に問題なくすれ違う。チルノちゃんが言う『らくしょーね!』ってやつだね。



第二の関門。姉の方。

いくつもの鍋を同時に使ってるから、止まってくれない。これは、動きを読むしかないね。

鍋の前で立ち止まって香りを見ている間に、ささっと通りすぎる。『すにーきんぐ』だね!違う?



第三の関門。妹の方。

味見をしてるみたい。じゃあ気づかれないね!もくひょーにとーたつしました!

妹の方の横から、台の上に手を伸ばす。


……あぅう、手が届かない。


こんなところで諦めたら、魔理沙の言う『てきぜんとーぼー』だよね!違うかな?

悔しいけど、ちょっと背中の羽で浮き上がって、奥の皿に手を伸ばす。


おぉ……おいしそうな筑前煮。早速いただきまーす。

ちょっとお行儀が悪いけど、指でつまんで口に入れる。


ホロホロっとほぐれる鶏肉。たまらないね!醤油がしっかりと染みて、ジューシーなのにあっさりとした後味だね。

それから、タケノコ。春の筑前煮は、旬のタケノコがコリコリした歯ごたえで、こんにゃくの柔らかさと好対照だね。


う~ん、止まらなくなりそう!


もうひとつタケノコをつまんだところで、誰かに腕を捕まれた。誰だろ?



振り返ったサニーミルクの瞳に、静葉―秋姉妹の姉の方―が映った。


「姿を隠してつまみ食いに来た、悪い子はだーれだ?」


少量の弾幕とともに、視界が暗転した。









「ん……ぁれ?」

サニーミルクは、固い板の上で目を覚ました。


なんだか美味しい夢を見ていたような気がする。


「……サニー?起きたなら食べる?」

やりとりに、スターサファイア―星の妖精―が、サニーミルクの鼻先におにぎりを差し出した。

「……うん」

サニーミルクは素直に受けとると、寝そべったまま、おにぎりを口に持っていった。



爽やかに苦い、菜の花の香り。舌に広がった小宇宙に、脳が再起動された。



「あぁっ!サニー!起きた!」

ルナチャイルド―月の妖精―が、体を起こしたサニーミルクに駆け寄る。

「大丈夫?怪我してない?」

「全然。いつもどーり大丈夫だよ。」

サニーミルクは、体をぽんぽん、と叩いて見せた。


「えーと、そこの太陽みたいな妖精!」

チルノ―氷の精―が、なおも心配するルナチャを押し退けて、サニーミルクに指を突きつけた。

「わたし?」

小首をかしげたサニーミルクに、チルノは満足そうに頷いた。



「あんたは、あたいが倒すんだから、他の人に倒されたらあたいが困る!」



「えっ……えっ?」

うろたえるサニーミルクに、チルノの後ろからひょこっと顔を出した大妖精が笑いかける。


「ありがとうって言えばいいんだよ、サニーちゃん。チルノちゃんはこう見えてすっごく心配してたんだから。」


「っ……あたいは心配してない。大ちゃんは……」

「でも、でも、チルノちゃんが一番、心配してたでしょ。チラチラ見たりとか」

「あたいはそんなことしない。しないったらしない。」


大妖精の反対側から、リグル―ホタルの妖怪―がチルノの頬をつつく。

「私も見てたよ?目を回してるサニーちゃんに抱きつくチルノちゃん。」

「……あたいをバカにするなぁ!」

思わぬ所からの援護射撃に、顔を真っ赤にしたチルノが肘を入れた。


繰り広げられる微笑ましいやりとりに、サニーミルクの口からくふふっ、と笑いが漏れた。

「チルノちゃん。」

「……あたいに、用?」


赤くなった頬を隠そうと、必死で明後日の方を向くチルノの目を、サニーミルクの瞳が捕らえた。



「心配してくれてありがとう。友達でいてくれてありがとう。もう大丈夫。チルノちゃんが心配してくれたお陰だよ。ありがとう。」



そう言うサニーミルクのほうも、頬が少し赤くなったけれど、目線はチルノの瞳から離れることはなかった。


春の暖かい風が、二人を包んでふわりと――





「……サニー、感動的なシーンのところ悪いんだけど、ご飯粒ついてるよ。」

「えっ!?ホント!?よく気づいたね!?」

「えへへ」

スターサファイアは、サニーミルクの口元に指を伸ばすと、米粒を取って自分の口に入れた。


「そのお握りは、慧音先生が作ってくれたの♪」

ミスティア―歌う夜雀―が言うと、それを受けるようにルナチャイルドも小さく首を縦に振った。

「サニーは後でお礼とお詫びをしないとね。」

「……そうだね。」


「とぉっ。春ですよー。」

考え始めたサニーミルクに、後ろから飛びかかる影。

「あ!リリーちゃん!もう来てたんだ!」

「ううん、さっき来たばっかり。」

お馴染み、リリーホワイト―春の妖精―である。


「チルノちゃんが、サニーちゃんが起きたら段幕鬼ごっこって言ってたから、ちょっと挨拶回りに行ってたの。」

「べ、別に、あたいはそんな……」

狼狽するチルノに、サニーミルクは微笑みを向けた。




「待っててくれてありがと。早速やろっか。じゃーんけーんぽん!」


何故だか分からないが、予定では500字ぐらいの小話だったはずなのに、ここだけで2500字に迫る勢い。解せぬ。

サニーミルクとスターサファイアは、個人的には動かしやすいキャラクターではあります。


次は予定通り霊夢が出てくる……はず。気長にお待ちください。



外界は桜吹雪も見納めですね。新年度を噛み締めています。昨年度の自分と後輩の姿が重なって見える今日この頃。

終わってみれば馬鹿馬鹿しい事も多かったなぁ……


遅ればせながら、今年度もよろしくお願いします。

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