表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/24

古道具屋の推察-1 (香霖堂、ヤマメ)

舞台

香霖堂…魔法の森の入り口にある古道具屋。


登場人物

森近霖之助…香霖堂の店主。道具の名前と用途が判る程度の能力。

ヤマメ…地底への入り口付近に住む土蜘蛛。



冬の香霖堂には、時折、予期せぬ来訪者がある。


香霖堂の主人、森近霖之助(もりちかりんのすけ)は、朝の訪れとともに、店の方に出てきたところ、ストーブの前の文机に見慣れない少女がいるのに気がついた。


「誰だい?」

「あら、お邪魔してます。」

茶色のふんわりしたスカートに、黄色のリボン様のアクセント。セミロングの髪を赤黒いリボンで纏めた少女は、驚く霖之助に、優雅に一礼する。


黒谷(くろたに)ヤマメ、地底に住む土蜘蛛よ。能力は、病気、主に感染症を操る程度の能力。貴方の日記、勝手に面白く読んだわ。」


「おいおい、勝手に上がり込んで、酷いじゃぁないかい。」


「鍵を掛けない方が悪いでしょう?」

悪びれもせず微笑むヤマメに、霖之助は肩を落とす。


「普段から魔理沙とか霊夢とかが上がり込んでいるからね。朝からだとは思わなかったけれど」

「気になることがあってね」


ヤマメは、また日記に目を滑らせた。


「いいだろう?……幻想郷は、皆の寿命が長いから、掻い摘んで話すと、歴史が無いんだ。全ての出来事は、最近の、つまり『今』というわけだ。僕がここでこうして書き留めることで、始めて『今』が歴史に――」

得意気に語り始めた霖之助の目線を遮るように、日記のノートと、挟んであった新聞記事が差し出される。


「概念の話じゃあ無くてね。これだよ、これ。」

「ああ、永遠亭の診療休止の新聞と、新しい風邪が出始めた頃の日記だね。関係がありそうだと思って挟んだままにしているんだ。」


「何か知っているんじゃないか?」

「さあ、誰が僕を紹介したんだい?」


霖之助の目が光り、鋭い視線を受けたヤマメはすっと目を細めた。

「誰だっていいだろう?まあ、ネズミから聞いたんだ。」


「ナズーリンか。命蓮寺について聞いたりしているかい?」

「さあね。小傘とぬえが罹ったみたいだよ」

「やはり、といった所だね。」


霖之助が両手の指を立てる。

「これまでの感染者。僕の回りだと、村人。主に子供だね。大人の感染者は少数で、小さな子供がいる家庭が多い。」


指を一本折る。


「それから、妖精。三月精やチルノ、といった力のある妖精の方が感染が多い。ただ、力のない妖精は誰も数を数えたことがないし、そもそも風邪を引くのかどうかも不透明ではある。」


指をまた折る。


「妖怪。先程ヤマメから聞いたぬえと小傘、それから下級妖怪、ルーミア。紅魔館の妹、フランドール・スカーレット。図書館の魔女、パチュリー・ノーレッジ。真偽は定かではないが、いたずらウサギ、てゐ。妖怪の山では、河童や天狗の一部にも広まっているようだ。」


指が次々と折られ、立てられていく。


「幻想郷には多い、神々。今のところは諏訪子以外は聞いたことはない。」


霖之助は、半分聞き流し始めたヤマメを指差す。


「最後に、人間。少なすぎてよくわからないが、ここ数日、魔理沙も霊夢も来ていないから、可能性はあるわけだ。」


「それで?」

やる気の無さそうな声のヤマメに対し、霖之助の勢いは止まらない。


「そして今朝の君の襲来。朝御飯はいかがかな?」

「そうね。頂くわ。」

「あいにく、白いご飯に漬け菜しかないんだ。」

「構わないでしょう?」

「どうして疑問形なんだ……」


霖之助は、二人分の飯をよそり、漬け物と共にヤマメの前に出す。


「ありがとうさん」

「それで、だ。今回の風邪について少し考察を加えてみようかと思う。」

霖之助は、躊躇なく食べ始めたヤマメに対し、語り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ