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超常現象研究部の活動記録  作者: 飛鷹 樹
9/14

久山 玄海

今回も更に長い話になりました。

まだまだ描写に自信がありません。

肩に付かず耳にかからない程の無造作に伸ばした金髪、前髪はオールバックにしており、その上には赤のカチューシャ。

それが彼、久山(ひさやま) 玄海(げんかい)の特徴だ。

学校指定のワイシャツをだらしなく着こなし制服の上着のボタンはせずに全開。

同じく学校指定の制服のズボンは腰まで軽く下ろされ、裾は(すね)まで折り曲げており、靴下を履かない生足には青と赤の混じった派手な運動靴。



「誰だ!てめぇ!」


自分の背後へいつの間にか立っていた仙太郎に玄海はしゃがんだまま向きを綾から仙太郎へ変え、まるで噛み付くように吠える。

玄海の足元近くには、おそらく玄海の物であろうと思われる赤を基調とした所々に黄色い線が入っている派手なスポーツバッグが転がるように置かれている。


「お、俺は八雲 仙太郎。」


玄海の迫力に見下ろしながらも仙太郎は答えた。

「君は?」と聞く仙太郎に「久山 玄海だ。」と低く怒りを含んだ様子で玄海も答えた。

立ち上がった玄海は、仙太郎の約頭1つ分は背が高く、背後から見て想像していた体型よりも筋肉質だった。


玄海が立ち上がった事により、さっきとは逆に仙太郎が見下ろされる状態へとなった。

仙太郎は玄海の首周りの筋肉を見て、彼が筋肉質な体型である事を改めて感じた。


(コイツは格闘家か何かか?滅茶苦茶図体がでかいんだけど!)


殴り合いをした時、こっちが勝てないと瞬時に判断した仙太郎は必死に脳内で相手を言葉で丸め込む方法を考えていた。

自慢ではないが、仙太郎は喧嘩があまり得意な方ではない。

相手を殴る事への不快感が特に強い仙太郎は、今日(こんにち)まで喧嘩をせずに話し合いを中心とする事でお互い納得させ和解し合う、そうやって生きてきたのだ。


(怖い・・・でも冷静に冷静に・・・落ち着くんだ、俺!)


仙太郎が口を開き「あのさ・・・」と言いかけた時、

玄海が先に口を開いた。


「センタロー、だっけ?てめぇは何をしてんだよ、あぁん?」


睨みながら玄海は仙太郎の胸ぐらを掴み、仙太郎を半ば両手で持ち上げるように聞く。


「アヤに、頼まれたか・・・ら・・・。」


恐怖と不安を全身に感じながら、仙太郎は唇を震わせながら答えた。


「アヤ?おい、センタロー・・・何でアヤさんを知ってんだ?」


「お、同じ部活で・・・。」


出会った時から変わらない相手を威嚇するような口調の玄海、対して仙太郎はどんどん青ざめた顔で玄海に胸ぐらを掴まれ続けている。

仙太郎の靴の爪先は、胸ぐらを掴まれてからずっと地面をまるでバレリーナがステップを踏むようにちょこちょこと動き続けている。


「仙太郎君!」

「センちゃん!」


通学用の茶色い学生らしい革の片手物の鞄を左手で揺らしながら必死の形相で駆け寄る綾と。

今では絶滅寸前の赤いランドセルのような鮮やかな赤さのリュックサックを背中でガタガタと揺らしながら駆け寄る宇佐。

2人はほぼ同時に、その場へ到着し仙太郎を呼んだ。


「ちょっ・・・おまっ・・・何で来るんだよ!」


仙太郎は驚きながら2人を見た。

しかし、驚いているのは仙太郎だけではなかった。


「あ・・・アヤさん・・・。」


玄海は驚き、力が一瞬抜けたのか仙太郎を地に降ろした。

久々の地面を足の裏全体で感じるように、仙太郎は足を着け息と胸元の制服を軽く正した。


「あ、アヤさん。オレ、アヤさんに危害を加えたり、怯えさせるつもりはないんス!ただ、アヤさんが心配で見守っていただけっス!!」


先ほどとは違い、やや早口で口調まで変わって自分を弁解しだす玄海。

その様子に超常現象研究部は、ポカンと見つめるだけしか出来なかった。


「アヤちゃん、知り合い?」と小声で綾へ確認するように聞く宇佐と「ううん。」と心当たりが全くない様子で答える綾。


「ねぇ、金髪。アヤちゃんは君を知らないみたいだよ。」


物怖じしない様子で宇佐は玄海へ綾の事を伝えた。

このような派手な人物が綾は苦手なのだろうか。

宇佐より数歩だけ後ろへ下がっている。


「自己紹介もせずに失礼しました!オレは久山 玄海っス。アヤさんと同じ学校に入学したての1年っス。よろしくお願いします!」


綾を中心とした空間へ体ごと向け、玄海は深々と頭を下げた。

綾は「よ、よろしくお願いします!」と頭を下げ返し、宇佐は「あたしはウサだよ!」と何故か右手でピースをしながら笑顔で自分の名を伝えた。


「っしゃあああああ!アヤさんと話せたああああ!!」


綾と言葉をいくつか交わしただけなのに、玄海はまるで子どものようにガッツポーズを両手でしながら喜んでいる。


「あの・・・ゲンカイ君。何故ここ最近アヤの後をついてきていたの?」


「ゲンカイでオッケーっス。」と仙太郎へ言った後にガッツポーズしていた両手を降ろして話し始めた。


「アヤさんの帰る時間が遅いので、変な奴がアヤさんを狙っていないか約1週間ボディーガードしてたんス。アヤさんて・・・そ、その・・・び、びび美人スから。」


仙太郎は玄海の言葉に「そうなのか?」と言い、アヤを見つめようとしたら「美人なんス!」と、玄海の大きめな声に遮られた。

仙太郎は「お、おう」と言いながら視線を玄海へ戻す。


「ゲンカイ、実は俺達はアヤから「誰かに帰り道、後をつけられている。」って言われて、アヤの後を学校からずっと尾行していたんだ。」


「誰か・・・って誰スか!?そいつを半殺しにしてやるっス!」


「まぁ、そいつがゲンカイ・・・(きみ)だったんだけど。」


仙太郎からの返答に玄海は、その場で「うぇっ!?」とふらつきながら驚いた。

そして顔を青ざめさせながら、玄海は綾の方を向き、その場で土下座をし深々とまるで頭を地面へ埋めるように下げた。


「すいません、アヤさん!良かれと思ってアヤさん知らずにアヤさんを困らせていたなんて!」


「そんな・・・頭を上げて。確かに少し困ったけれど私の為を思ってしてくれた玄海さんの気持ちがとても嬉しい。」


綾の暖かな優しい言葉に玄海は「アヤさん・・・。」と言い、綾をまるで聖母を見るような眼差しで見上げた。

一件落着、まさにそのような言葉が似合う場になり、仙太郎と宇佐は安堵した表情をお互い向け合い笑顔を交わし合った。


「なぁんだ。ストーカーお化けかと思ったら、ただの人だったのかぁ。」


宇佐は脱力感の混じった口調で、その様子を見た。

綾も大事にならなくて安心したのか、安堵した様子でいる。

宇佐は急に「あっ!」と何かを閃いたように両手をパンと叩くと未だに正座をしたまま立ち上がらない玄海へ近づいた。


「ねぇ、ゲンちゃん。あたし達の部活に入らない?」


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