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超常現象研究部の活動記録  作者: 飛鷹 樹
7/14

友達の為に出来る事

長めになってしまいました。

相変わらず会話のテンポが苦手です。

「さてと、どうするか。」


仙太郎は椅子の背もたれに再び体を預けるように座り天井を仰ぎながら呟く。


「とりあえず早く解決してアヤちゃんが帰り道を怖がらないようにしてあげたい。」


宇佐は綾をチラリと横目で見ながら、まるで自分と仙太郎に言い聞かせるように言う。


「部活動生の帰宅時間は19時。でも俺らの帰宅時間は18時くらい。アヤが帰る時間帯も18時・・・。」


独り言を言い唸るように「うーん・・・」と考える仙太郎を見て、宇佐は何かを思い付いたように「あっ!」と大声を出した。

綾もビクリと体を一瞬強張らせたが、興奮気味の自分の体を落ち着かせるように手を胸元へ起き宇佐を見つめた。


「今日からアヤちゃんをあたし達が尾行して、アヤちゃんをストーカーするお化けが出たら、あたしとセンちゃんで何とかする!」


「無駄に時間をかけ考えるよりも、そっちの方が早く解決しそうだな。・・・いくつかの危険が少しあるけど。」


「危険?」


自分の案への賛否両論を唱える仙太郎へ宇佐は、きょとんとした顔で案への否定の意見の理由を聞いた。


「1つ、もしストーカーお化けが人間だった場合。ストーカーする人間は、お化けなんかとは比べ物にならないくらい怖い時がある。その時どうするか・・・。」


「その時はセンちゃんとあたしでアヤちゃんを守る!そしてアヤちゃんをストーカーしてた理由を聞く!」


不安を感じている仙太郎とは対照的に宇佐は凛として、まるで何かに宣言するように言う。

そんな宇佐を見て、仙太郎は呆れ顔になりながら2つ目の危険を話す事にした。


「2つ、もし怨霊や生き霊等の怨みから生まれた悪霊タイプだった場合はどうするか?」


「悪霊・・・。」


「それは考えてなかった!ってか、意外とセンちゃん悪霊等詳しかったりするの?」


「この部に入ってから個人的に軽く勉強してた程度だから、子どもの知識程度しかないぞ。こういう事は俺よりもアヤが詳しそうだし。」


仙太郎は話の途中から「悪霊・・・。」とだけ呟き何かを考えている綾をチラリと見る。

綾も自分に何か出来る事はないか、一生懸命考えているようだ。


「あの・・・あ、悪霊ならば王道かもだけど、塩が効くと思う。それとお経。お父さん程の読経は出来ないから上手く唱えられないけど・・・。」


「おお!寺の住職さんの娘だったもんね、アヤちゃんは。」


自信なさげに発言した綾を尊敬するような眼差しで見る宇佐。

自分も何か出来る事はないか考えた宇佐は、勢い良く椅子から立ち上がると窓際の棚へ向かい、置かれている自分の鞄をガサガサと漁りだした。

そして先ほどとは真逆のシュンとした様子で自分の座っていた椅子へ戻り、椅子の上で体育座りをしながら溜め息をついた。


「どうした?」


「ウサちゃん、何かあったの?」


仙太郎と綾は心配そうに宇佐へ問う。

2人からの問いかけに宇佐はオレンジ色のツインテールと装飾品のリボンをブンブンと激しく無言で揺らした。


「何か使える物があるかも、なんて思って鞄を開けたら空のお弁当箱と水筒、飴やクッキーとかのお菓子しか入ってなかった。自分なりに出来る事はないか、なんて思ってやる気を出していたのに~!部長なのに無力で恥ずかしいよ~!!」


「俺はウサが勉強道具を鞄へ入れずに帰宅しようとしていた事が恥ずかしいよ。」


仙太郎は宇佐へ冷静にツッコミを入れた。


「ウサちゃんのその気持ちだけで私は、とても嬉しいよ。」


宇佐は「アヤちゃーん!」と言いながら、自分をフォローしてくれた綾の胸元へ癒しを求めるように抱きついた。

その様子は、まるで高校生の姉に小学生の妹が抱きついて甘えているようである。

綾へ抱きついて数秒過ぎ、落ち着いた宇佐は綾の胸をむにむにと小さな掌で揉んだ。

大きめのカーディガンを着ているせいか、あまり胸が強調されずにいたが意外と綾は胸が大きめなようだ。

着ているカーディガンの色が水色なせいかまるで水風船のように見え、それが形を変えているように宇佐の小さな掌からはみ出している。

急な事に驚いた綾は「ひゃっ!?」と間抜けなような色っぽいような声を赤面しながら出した。

宇佐は「えへへ~♪」と癒されているような笑みをして綾の胸元へ顔を埋めた。

そんな宇佐を可愛く感じたのか綾は、宇佐を優しく抱き締めた。


「私なんかの為に一生懸命、考えてくれてありがとう。」


「いやいや、何で自分をセクハラした相手にお礼を言ってんだよ。」


綾の言葉に、今までやや置いて行かれ気味だった仙太郎は我に帰ったようにツッコミを入れた。


「でもウサちゃんは、私なんかの為に一生懸命してくれて・・・自分が無力で恥ずかしく情けなく思って私にこうして甘えたのだと思う。」


「セクハラされてもそう言えるなんて女神か!」


仙太郎のツッコミに綾は「そんなつもりは・・・」と困惑したように言う。


「そして、そこのセクハラ発情ウサギいい加減離れろ!!」


綾の胸元でアホ面をしながら「えへへ~♪」と癒されている宇佐を仙太郎は椅子から立ち右手で剥がした。

剥がされた宇佐は「あーん!」と、まるで母親から無理矢理剥がされた子どものように手をバタバタと綾の胸元へ向け軽く暴れた。

そして諦めたのか大人しくなった宇佐を見て、仙太郎は宇佐を掴んでいた右手を離そうとした。


「百合百合はっじまるよー!」


「反省してねぇだろ、発情ウサギ!」


誰かに言うよう両手でピースをしながら笑顔で言う宇佐へ、ツッコミを入れた仙太郎の右手に再び握力が入った。

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