男子高校生の会話
仙太郎と玄海しか出ない誰得かわからない話になりました。
珍しい組み合わせなので微妙な空気になってしまいました。
「何でオレは、もっと早くに教室を出なかったんだぁ。何でオレはダチと明日の授業の話をしていたんだぁ。何でオレは・・・うっ・・・オレはぁ・・・。」
仙太郎の隣で玄海は丸いパイプ椅子にうなだれるように背を丸めながら、まるで親友を半殺しにされたヤンキーのように悔やんでいた。
仙太郎は、そんな玄海の様子を眉を潜めるようなドン引きした表情で自分の椅子へ座り見つめていた。
「その・・・まぁ、うん。元気出せよ。」
「センタローさんは良いっスよね。アヤさんの下着が見れたんスから・・・。」
玄海は仙太郎へと呟くように言った。
玄海の気持ちを仙太郎は全て理解することは出来ないが、大体ならば理解することは出来る。
高校生という性への興味がある時期、男女関係なく誰でもそれはある。
恋人として付き合わずにいる想いを寄せる異性、その異性の下着姿を見れたらきっと天にも昇る気持ちだろう。
しかもそれが事故や偶然で見る機会があったならば尚更だ。
玄海が部室へ入った時、玄海以外のメンバーは揃って各々自分の椅子へ座っていた。
しかし、その時の宇佐の格好はバニーガールだったのだ。
制服を着用している仙太郎と綾の2人より浮いている宇佐の格好に当然、玄海は疑問を持つわけで仙太郎は宇佐と綾に自分が作成したビラのコピーを頼み教室から追い出すと、約10分前の出来事を話始めた。
宇佐がそばにいると説明がやりにくく、綾も気まずいだろうと思った仙太郎なりの配慮のつもりなのだ。
説明をするよう問う玄海へ仙太郎は自分が部室へ来た時の状況を話した。
話の途中で綾が無理矢理脱がされかけていたことを包み隠さずにうっかり仙太郎は話してしまい、玄海はそれを聞いて今のテンションに至るのである。
(バカ正直に話さずに、アヤの部分は隠しておくべきだったか?でもウサがバカ正直に話したら・・・。どっちにしろ知ることになるなら、早めに知っていた方がゲンカイの心のダメージは少ないだろうし。)
「元気出せよ、今度ラーメン奢るから。」
仙太郎の本日2回目の「元気出せよ」は部室の空間に虚しく響くだけで「うっス。」と玄海はそれに対し生返事をするだけだった。
仙太郎は窓から聴こえる吹奏楽部のホルンやトランペットの音色に耳を傾けながら、ラッキースケベに合う事が出来ずにいたタイミングの悪い玄海をぼんやりと見ていた。




