玄海の来る8分前の部室
久しぶりの投稿です。
久しぶり過ぎて、キャラがぶれていないか少し不安ですが楽しんで読んでいただければ嬉しいです。
HRを終え仙太郎は1人部室へと歩を進めていた。
(みんな、もう集まっているかな?ウサはたぶん先に部室へ向かっただろうし、アヤとゲンカイも今日の放課後について用があるとも聞いていないから部室へ来るだろうし。)
HRが終わり教室から飛び出るように出て脱兎の如く廊下を駆けて行った宇佐の姿を仙太郎はふと思い出していた。
「あいつ、何をそんなに急いでいたんだ?まぁ、どうでも良いか。」
誰かに聞かせるわけでもない独り言を言いながら、仙太郎は部室の扉に手をかけ、いつも通り中へ入る為スライドした。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
仙太郎は自分がスライドして開けたドアをもう一度閉めた。
「何だ、今の?」
自分の目の前に広がっていた光景が信じれず、仙太郎は混乱しながら今日の部活動内容を確認した。
(確か今日は完成したビラを配る予定だったよな?)
自分自身がストレスにより疲れているせいで幻覚を見ていると判断し、仙太郎はもう一度部室の扉に手をかけ横へスライドさせた。
しかし、この光景は仙太郎に現実であることを知らせるようにさっきとほぼ変わらずに広がっていた。
その光景とは、赤いバニーガールの衣装を着た宇佐が無理矢理に綾の制服を脱がせている光景なのだ。
宇佐の左手には黒を基調としたミニの服に可愛らしい白のフリルがあしらわれており、仙太郎はそれがメイド服だと瞬時に気付いた。
綾本人は赤面させながら、可哀想に涙目で半脱ぎの制服で必死に淡い水色の下着を隠しているがほぼ見えている状態である。
「良い場面にきたね、センちゃん。センちゃんもアヤちゃんの制服を脱がすの手伝って!」
「せ、仙太郎君、見ないでぇ!」
仙太郎は着ていた制服の上着を脱ぎ、綾を直視しないよう赤面しつつ視線をそらしながら部室へ入ると半ば乱暴に綾の体へ掛けた。
そして宇佐の脳天へ空手の達人が瓦を割るように手刀の形へ似せた手をそのまま小指を中心にしながら縦へ降り下ろした。
「あうっ!・・・痛いんだけど、センちゃん。」
「当たり前だ。痛く感じるように、わざと強くしたんだ。・・・相変わらずの石頭だな、俺の手が痛い。」
「じゃあ、叩かなければ良いじゃん!」
「叩かなければいけない状態だったから叩かざるを得なかったんだろ発情ウサギ。」
仙太郎は自分が入ってきた部室の出入口である扉の方へ向かって歩き出し「3分だけ待つから」とだけ綾へ言い、中途半端に開いてある扉から廊下へ出ると素早く扉を閉めた。




