死者の導きと大会の勧誘
新たなヒロインが登場! 事件は何故、起こるのか? それが何のかは誰にもわからない 更に遅群の親族が登場! そして、悪魔と子供からあの二人が登場! 強い心とは? 死とは? 遺族は何を思えば良いのか?
死夢現間~死者の導きと大会の勧誘~
前回の次の日――
遅群がオートバイク(中古で購入)でドライブをしているととある信号機で交通事故が起きた。
(遅群)「こんな時に!」
遅群はオートバイクから降りて事故現場に急行した。
遅群が事故現場に着くと無残な有り様だった。見える範囲では死人は居なかったが重傷者が多数居た。
(遅群)「これは酷いな」
その時、遅群のペンダントの一つが光り出した。
(遅群)「これって――」
遅群の脳内に謎の女性が三途の川を渡っているのが一瞬だが見えた。
(遅群)(今の……探し出さないと!)
遅群は脳内に入った女性がこの交通事故で死んだ女性だと気付き探し始めた。
(遅群)(ペンダントが光っていたって事は救出できる筈だ! それに三途の川を渡りきる前に連れ戻せば助けられる筈!)
遅群は事故に遭った車を退かして探すが見つからずに居た。
(遅群)(見つからない……奥の手で行く!)
遅群は一度目を瞑り、目を開けると眼球が黄色に光り出した。
(遅群)(これで……)
黄色い光は透視能力が付加している。遅群は周りを見渡すと大型トラックの下敷きに一人の女性を見つけ出した。
(遅群)「見つけた!」
遅群は急いで大型トラックに近付き帯刀していた日本刀を鞘から抜いて大型トラックを二つに斬り下敷きになっていた女性を見つけて直ぐに脈を計った。
(遅群)(やっぱり、この女性が……だが、直ぐに病院に運ぶ準備をしても助けられない!だったら――)
遅群はトラックの中にあったボールペンと紙を使い次に発見した者への連絡を書いて女性の手に握らせた。
(遅群)「さてと――」
遅群は光っているペンダントを握ると気を失いその場に倒れた。
遅群は死後の世界に到着した。
(遅群)「取り敢えず、女性を――」
遅群の目の前には女性が三途の川の半分を渡り切っていた。
(遅群)「何で引き返そうとしない?」
遅群が目を凝らして女性の手を見ると女性の手を引っ張る手が見えた。
(遅群)「あの人、先祖に連れていかれているのか!?」
遅群は刀を鞘から取り出すと女性の近くに行き女性を引っ張る手を斬った。女性はその場に止まって虚ろな目をしていた。
(遅群)「先祖の霊か!?」
その時、目の前から現れたのは男性の姿だった。
(男性)「俺はそいつの彼氏だ」
(遅群)「何故、彼女を連れて行く!?」
(男性)「そいつは俺が死んだ事を悲しみ俺に会いたいと願った」
(遅群)「…だから、死を呼び死後の世界に来させて同じ場所……詰り天国に行かせようとしたのか?」
(男性)「そうだ。男性は女性の願いを叶えるのが重要だ!」
(遅群)「違う! 男性が一番に女性に叶えるべき事なのは現実で女性が幸せで居て欲しい事だ!」
(男性)「そいつは俺を望んだ。だったらこっちに来させるのが正論だ」
男性は手を伸ばして女性を引っ張ろうとするが遅群が日本刀で男性の手を斬ろうとしたが男性は手を引っ込めたのと同時に遅群は女性を男性とは反対側の川沿いに避難させた。
(男性)「彼女をこっちへ!」
(遅群)「そうは行きませんよ! 彼女の肉体は生きています。救えるかもしれない命を見捨てる事は出来ません!」
(男性)「何を言っている。此処は死後の世界、死んだ者が来る場所だ!」
その時、女性の左胸の所に綱が現れた。
(遅群)「間に合ったか」
(男性)「如何して……」
(遅群)「俺達に人間の肉体は残っていれば蘇生処置さえ行えば起動してくれる。今のこいつは現実の世界に戻れる!」
(男性)「戻っても俺への悲しみは変わらない」
(遅群)「……悲しいのは当然だ! …だが、それを乗り越える必要がある!」
(男性)「悲しみを乗り越える事など出来はしない!」
(遅群)「いや、悲しみは超えられる! どんな状態に陥っても信念が……いや、絆の糸がある限り!」
(男性)「だったら、俺に勝って証明してみろ!」
(遅群)「良いでしょう」
遅群と男性は攻撃の構えを取った。
(謎の声)「その勝負、待った!」
その時、声と共に三途の川の海中から灰色の翼を生やした人が現れた。
(遅群)「誰だ!?」
(灰色の翼を持った人)「我は異天使のヤトエル。無駄な戦を良策に変える者」
(遅群)(異天使……ヤトエル)
(遅群)「それで何の用だ?」
(ヤトエル)「今回の勝負を明後日に開かれている【光武祭】で決めては如何でしょう?」
(遅群)「光武祭?」
(ヤトエル)「はい、死夢現間で行なわれる大会の一つで最強の武士を探し出す祭りです」
(遅群)「……仕方ない、そこで決着をつけよう」
(男性)「…分かった。その時はお前を完膚なきまで叩きのめす!」
そう言って男性は死後の世界の先に行ってしまった。
(ヤトエル)「さてと、私も――」
(遅群)「お前は待て」
(ヤトエル)「何でしょうか?」
(遅群)「光武祭の目的は何だ?」
(ヤトエル)「…私も詳しい事は分かりません。ですが、【何かあった時の為に行われる】としか聞かされておりません」
(遅群)「そうか ……後もう一つある。ヤトエル、お前は一体何者だ!?」
(ヤトエル)「…異天使と言った筈ですが?」
(遅群)「それ自体は知っている。そもそも、異天使とは何だ!?」
(ヤトエル)「…私達は元々、人間です。其れが神と仏によって異天使として任命されただけですよ」
(遅群)「お前らは何のために居る?」
(ヤトエル)「…我々は【世界のバランス】を保つ為に動いています」
(遅群)「世界のバランス――」
(ヤトエル)「そう言えば前回の現実と夢の融合を回避した事は我々も感謝しています」
(遅群)「そりゃ、どうも」
(ヤトエル)「勝つ事を祈っていますよ」
そう言ってヤトエルは川の中に消えた。
(遅群)「…さてと、女性を現実の世界に帰還させないと」
遅群は女性に声を掛けたが反応が無かった。
(遅群)「これは、完璧に意識が無いな」
遅群は持っている日本刀で女性の腕を軽く突いた。すると、女性は意識がはっきりしてきた。
(遅群)「やっと、戻って来た」
(女性)「此処は? それに貴方は?」
(遅群)「俺の名前は遅群 暁 此処は死後の世界ですよ」
(女性)「私は死んだの?」
(遅群)「まぁ、おおむねは」
(女性)「……」
(遅群)「貴女は交通事故に巻き込まれ、大型トラックの下敷きになったんです」
(女性)「じゃぁ、私の体は――」
(遅群)「心配しなくて良いですよ、肉体の方は無事です。貴女から出ている糸は肉体と魂を繋げる糸……まだ、肉体に戻るチャンスがあります」
女性は遅群の言葉を聴いて少し考え込むが遅群は行き成りビンタを放った。
(遅群)「交通事故を起こしたのは貴女の心に原因があります」
(女性)「……」
(遅群)「貴女は彼氏に会いたいと心の底で思った! その為に彼氏は交通事故を起こして貴女を死なせて死後の世界に来させた。そして――」
遅群は三途の川の方を向いた。
(遅群)「貴女は彼氏に連れて行かれる所だった」
(遅群)(俺にも似た経験はある)
(遅群)「――そして、貴女は心の奥底で『彼氏に会いたい』と強く願った。それが交通事故の大元です。事故って言うのは事故に巻き込まれた人の誰かが強く願うか複数の願いが合わさる場所で起きるんです。今回の交通事故で亡くなったのは貴女一人だけです。そして、貴女は帰還すべきです」
(女性)「…私は彼の元に行けるのなら――」
遅群は女性の頬にビンタを当てた。
(遅群)「貴女は彼の事を思うなら生きるべきだ!」
(女性)「遅群さんが覚えていられるでしょ――」
(遅群)「確かに今回の事で彼の事を覚えていられるでしょう……ですが、貴女と彼との付き合いは永久に貴方達二人の物だ! 俺はその事は知らない。貴女と彼との思い出は君だけしか知らない。其れを消すのですか!? それに……亡くなった者よりも長く生き続けると思った事は無いのですか!? 貴女は生き続けるべきだ! 彼氏の先を見る為にも!」
(女性)「……分かったわ、貴方の言う通りに生き続けるわ。そして、これを日記に記すわ」
(遅群)「そうですか」
遅群は笑みを浮かべると女性の胸元を押した。すると女性は穴に落ちた。
(遅群)「さてと、俺も戻るか」
(遅群)(ヤトエル…奴は何かを考えている)
遅群は自分の後ろにある穴に落ちた。
現実の世界――
遅群は目が覚めると麟と天子がベッドの横で眠っていた。
(遅群)「二人とも心配していたのか」
その時、病室の扉の近くの壁に背を掛けよっている女性が居た。
(女性)「暁は相変わらず無茶をするわね」
(遅群)「何で姉貴が!?」
女性の正体は遅群の従姉の遅群 霊狐だった。
(霊狐)「私が久々に日本に帰って来たと思ったら家が無くなっていて驚いたわよ」
(暁)「それは……」
(霊狐)「事情は大体分かっているわ。あの先祖霊に頼むほどの超大事件だったのでしょ?」
(暁)(まぁ、あの時、姉貴は外国で仕事だったからな)
(暁)「詳しい事情は何時か話すよ」
(霊狐)「そう。 それはそうとしてあの刀を使うとはね」
(暁)「……」
(霊狐)「あれは強力だけどその分、あんたの力を吸収して成長し続ける凶悪な刀でもあるのよ」
(暁)「分かってる。だから、折り紙を使って補充している」
(霊狐)「それ位、分かってるわよ。私を誰だと思っているの?」
(暁)「最強の姉貴」
(霊狐)「…少し違うけど…そうね、私は先祖返り、それも普通の先祖返りじゃ無い、私は陰陽師と霊能者の二つの血を受け継いでいる」
(暁)「俺は眼力のみを引き継いだ」
(霊狐)「そうね、力で言えば無限だからね」
(暁)「…それで、今日は何日だ?」
(霊狐)「あんたが搬送された日よ」
(暁)(まだ、一日も経って居なかったか)
(霊狐)「何か用事でも?」
(暁)「まぁ、在る大会に参加しようと……それが明後日に開かれると聴いて」
(霊狐)「それは何処で行なわれる?」
(暁)「此処では無い別の世界」
(霊狐)「そのペンダントと関係があると考えていいのかしら?」
(暁)「…まぁ」
(霊狐)「そう、私は帰るわね」
(暁)「帰るって何所に?」
(霊狐)「淵浪家に居候する事になったから」
(暁)(そう言えば、天子のお姉さんと姉貴って幼馴染だったか)
(暁)「そうか」
そうして霊狐は病室を後にした。
(暁)「あの馬鹿は帰って来ない方が良いけど」
その時、天井が開いてそこから幼い少女が回転しながら飛び降りて来て遅群の腹に強烈なボディブローをかました。
(幼い少女)「馬鹿って何よ!?」
(遅群)「お前なぁ、従兄に全力のボディブローとかやめろ!」
幼い少女は双澤 隴美と言う遅群の従妹だった。
(双澤)「お兄ちゃんは何時も不意打ちに弱いわね♪」
(遅群)「最小限で動くのがポリシーだ。それにお前の動きは何時も無駄が多い。ボディブローをかますまでに十回以上回転していただろ」
(双澤)「カッコいい登場がしたいだけよ」
(遅群)(お前は小五だって言うのに少しは少女らしく居ろよ……特に服装が男の服なのがちょっと――)
(遅群)「それで、何しに来た?」
(双澤)「見舞いに決まっているでしょ」
(遅群)「いや、それだけじゃ無いだろ?」
(双澤)「……ちょっと気になる事が在るのよ」
(遅群)「何だよ?」
(双澤)「今回の交通事故でお兄ちゃんは女性を助けようとしたでしょ。でも、あの交通事故の裏って国会議員が関わっているらしいの」
(遅群)(やっぱりか ……あの事故は女性の彼氏だけの力であそこまでの事は出来ない。最低でも傷を負わせるのが限界だ。だとすれば人外と人内の両方が偶然にも一致した為に起きた交通事故か――)
(双澤)「…私もあの現場の近くに居てね、野次馬に紛れこんで傍観していたの。そこにお兄ちゃんが現れた。そして、在る女性を助ける為に死後の世界に行った。私はその時、違和感を覚えた」
(遅群)「違和感?」
(双澤)「あの時、女性の上に乗っていた大型トラックを斬ったでしょ?」
(遅群)「あぁ」
(双澤)「事故が起きてまだ数分だったのよ、救急車も来ていなかった。それに救助作業だって行われて居なかったわ。加えて大型トラックの運転手が野次馬の方に来た記憶だって無いの。私は逆の方に行くと一人の男性が何所かに連絡していたから後を着けると議員の事務所に着いたの。私は隠れて聞いているとどうやらお兄ちゃんが助けた女性の彼氏の父親が国会議員だった」
(遅群)「…そうか、ありがとな」
遅群は双澤の頭を撫でた。
次の日の早朝――
遅群は退院となった。遅群が助けた女性が退院祝いに花を届けに来た。
(女性)「有難う御座います。貴方のお陰で私は生きる決意が出来ました」
(遅群)「そうですか、俺は役に立てるのなら何だってしますよ」
その言葉に麟は思いっ切り蹴りを入れた。(軽やかに――)
(遅群)「貴女はもう少し入院でしたっけ?」
(女性)「はい、体がまだ思う様に動きませんから」
(遅群)「退院する時はお伝え下さい。祝いに来ますよ」
そう言うと遅群は去って行った。
(女性)「……」
その時、看護服を着た天子が女性の元に駆け寄って来た。
(天子)「…若しかして、貴女も彼(遅群)の事がLOVEと言う意味で好意を持ち始めたのかしら?」
(女性)「彼では無く…女性の方に」
(天子)「麟ちゃんに?」
(女性)「あの蹴りの身のこなし…美しいわ」
(天子)(若しかしてこの人――)
その頃、特殊討伐班では交通事故の件を考えていた。
(青村)「俺達が出る程の一件か?」
(墓道)「相手は国会議員だ。圧力を掛けて来るのは間違いないだろうからな」
(獄美)「上に立つ者としては外道ね」
(朱亥)(獄美さん、貴女だって――)
(玄蛇)「遅群が救助した女性の彼氏の親父さんだ。そう簡単には行かないと思うが」
(墓道)「だとすれば――」
墓道が策を労していると特殊討伐班の建物に誰か入って来た警報が鳴った。
(青村)「敵!」
墓道以外の全員は攻撃態勢で侵入者を待ち構えた。
(墓道)(このタイミングで来ると言う事は読まれていたか)
(獄美)(何かしら、扉の外から強烈な気配が――)
扉が開くのと同時に全員が襲い掛かったが侵入者は見えない何かで青村達の攻撃を受け止めた。更に冷気が全員に襲い掛かる。
(侵入者)「お前の部下……いや、仲間は容赦が無いな」
(墓道)「落ち着け、敵では無い」
(青村)「墓道、警報が鳴ったのは味方では無いと言う事だぞ!」
(墓道)「相手のハッカーがした事だろう」
(侵入者)「その通りだよ」
(墓道)「皆、改めて紹介する。この人は特殊制裁班・班長の徳魔 陽だ。味方だ」
侵入者は徳魔だった。
(徳魔)「それと、さっきの冷気はこいつの仕業だ」
そう言って徳魔は後ろに居る女性を全員に見せた。
(墓道)「その子は?」
(徳魔)「俺の彼女、天雲 雪だよ」
(墓道)「彼女ねぇ」
(天雲)「さっきの攻撃のお返しを――」
天雲は青村達に向けて殺気を向けた。だが、徳魔は天雲の頭を撫でた。
(徳魔)「雪、味方に何する気だよ、それに気にするなよ」
(天雲)「うん♡ 分かったわよ♡」
天雲は青村達に向けた殺気を消した。
(徳魔)「さてと、本題だが今回の交通事故の解決は少しだが延期にさせるべきだ」
(青村)「徳魔さん、今回の件は負傷者が多い、解決を延期にすれば被害者は不満するのでは?」
(徳魔)「大丈夫ですよ、殆どの被害者は唯の《トカゲの尻尾》だと思いますよ」
(青村)「蜥蜴の尻尾――」
(徳魔)「今回の件は一人を殺す為に議員が知り合い達に向けさせた事故ですよ」
(墓道)「詰り、女性一人を狙った犯行だと?」
(徳魔)「えぇ、ですから延期すべきだとね」
(玄蛇)「だが、延期して何時に決着を着けると?」
(徳魔)「一週間後位で良いと思うよ」
(獄美)「だが、女性の方は如何する気だ?」
(徳魔)「雪の親父さんに頼んで権力を利用する」
(天雲)「お父さんの権力を使って女性の生死を偽って葬儀を行わせる」
(徳魔)「雪の考えの通りだ」
(朱亥)「だけど、葬儀自体は如何する気? 本人を棺桶に入れるのは流石に――」
(徳魔)「その辺はこっちで行なう」
(墓道)「それから、如何する気だ?」
(徳魔)「お前らには俺の仲間と共に行動をして葬儀の中で怪しい奴……と言っても交通事故の被害者を探し出して交通事故の真意を訊き出すだけの簡単な仕事だ」
(墓道)「だが、そう簡単に行くか?」
(徳魔)「お前らは如何言う組織だ?」
(墓道)「……! 成程ね、そう言う事か!」
(徳魔)「葬儀は出来る限り早い方が良い。 ……6日後にでも行うとするか」
(墓道)「そうですか」
(徳魔)「じゃぁ、俺達は戻るから」
そう言うと天雲が袖を突いた。
(徳魔)「雪?」
(天雲)「さっき、彼等の攻撃を防いだ時に徳ちゃんは女性二人の胸を見・た・わ・よ・ね?」
(徳魔)「やべっ!」
(天雲)「帰ったらお仕置きね」
天雲は優しい笑みで言った。
(徳魔)「因みに今回は如何言う……」
(天雲)「前よりはマシな方だと思うわよ」
そう言って天雲は徳魔を強引に連れて行った。
(墓道)「さてと、交通事故の方は良いとしてこっちはパトロールに行って下さい」
(全員)『了解!』
青村達はパトロールの為に特殊討伐班を出て行った。
その頃、死夢現間では大会の準備が行われていた。
死夢現間の中央では天雲と女性の二体が準備の看視を行っていた。
(天雲)「今回の大会は中止するべきです」
(女性)「何故かしら?」
(天雲)「八玉が今回の大会に胸騒ぎがすると言っていました 彼の勘は何時も当たる」
(女性)「私は大丈夫だと思いますよ だって、彼が来ると思いますから」
女性は笑みを浮かべた。
(天雲)「あの人間(遅群)ですか?」
(女性)「そうね」
(天雲)「貴女は何故、そこまで彼に御執心なのですか?」
(女性)「…それ、教える義務があるのかしら?」
女性の顔から笑みが消えて威圧的な目に変わった。
(天雲)「…いえ」
天雲はその場を去って行った。
(女性)「…彼の力で世界は変えられる」
女性は死夢現間の境界線を見ていた。
その頃、現実の世界では――
遅群は三弓家の庭で剣術の特訓をしていた。そこに麟がお茶を持って来て一度、休憩する事になった。
(麟)「何時も以上に張り切っているわね」
(遅群)「まぁな、明日は負けられない勝負があるからな」
(麟)「あの女性の事?」
(遅群)「あの女性の彼氏は結構ムカついた」
(麟)「どんな人だったの?」
(遅群)「一言で言えば甘えん坊だ」
(麟)「甘えん坊ねぇ」
(遅群)「当然、甘えん坊自体に罪は無い! だが恋人まで甘えん坊を入れるのは流石に駄目だろ」
(麟)「そうね、私的には悪くないと思うけど…死なせるまで至らしめる甘えん坊は駄目ね」
(遅群)「それで、明日は殆ど寝ているから」
(麟)「死後の世界に行くのかしら?」
(遅群)「いや、死夢現間に行って在る大会に出場してあいつを叩きのめす!」
(麟)「…分かったわ …でも、無理はしないでね」
(遅群)「分かってるよ、お前に心配させたくは無いからな」
遅群は立ち上がり再度、剣技の練習をした。
次回、大会の裏で大きな事件が巻き起こる。そして、遅群は上位に食い込めるのか!? そして、男性との勝負は如何なる!?
死夢現間~死者の導きと大会の勧誘~ 完
死夢現間~夢想の猛者と超えるべき壁~ 続く――
事件はまだ、解決せずに保留となった! 徳魔の策とは? 助かった女性はこの先、生きていけるのか? そして、女性が三弓に秘める思いとは? それは明かされるのか!? 次回は死夢現間へ! そこで遅群は大会に出場する!