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死夢現間  作者: 戌尾 昴
5/33

無限の融合と解放

今回は複数の出来事が巻き起こる! 現実の世界と夢の世界が融合!? そうなれば死夢現間の居場所は何所に行くのか? そして、遅群に思いを寄せる女性が登場! 三弓が取った言動とは? 過去に登場した淵波 天子の姉貴が登場! 淵波姉妹の暗き過去が今、明らかに! 全ての夢がここに集って遅群が覚悟を決める!

      死夢現間~夢現の融合と解放


早朝――

遅群は自分の部屋(麟の父親の部屋)でペンダントの事を考えていた。

(遅群)(三つのペンダントはそれぞれの世界へ行く為の鍵であり鍵の世界が危機に陥れば強制的に所有者もしくは触れた者をその世界へ強制的に送らせる 色んな意味で凄いペンダントだよ)

遅群がペンダントを見ていると八坂瓊曲玉と八咫鏡のペンダントに罅が入った。

(遅群)(ペンダントに罅が! ……罅……まさか! 現実と夢の世界が融合している! 急いで止めないと!)

遅群は三弓家から出ようとすると麟が帰って来た。

(麟)「出掛けるの?」

(遅群)「あぁ、最悪の事態に陥り始めた ……この世界が終るかもしれない!」

(麟)「如何言う事?」

(遅群)「ペンダントに罅が入った これは【夢の世界】・【死後の世界】・【現実の世界】の状態を確認出来る ペンダントの二つに罅が入った これは融合している可能性が非常に高い」

(麟)「融合したらどうなるの?」

(遅群)「一つは現実の世界で夢の様に何でも創り出す事が出来る」

(麟)「じゃぁ――」

(遅群)「死夢現間は世界の中心だ! 二つの世界が重なれば死後の世界と現実の世界の二つだけで一直線上になる。そうなれば世界の中心は何所に行く?」

(麟)「消える?」

(遅群)「その通りだ。中心が無くなればこの世界も消滅する。だから、犯人を止めて来る!」

遅群はそう言うと三弓家から出た。

その頃、国会議事堂の地下深くでは黒いスーツを着ている人物が巨大な機械の目の前で高笑いしていた。

(黒いスーツの男性)「これで、何でも出来る!」

その時、扉の外から悲鳴が上がると扉の底から血が流れて入って来た。

(黒いスーツの男性)「手加減はしないのかい?」

扉から入って来たのはチェンソーを持った女性だった。

(チェンソー持ちの女性)「チェンソーは手加減を知らないので」

(黒いスーツの男性)「それはさておき、もうすぐで私の目的は達成出来る」

(チェンソー持ちの女性)「……」

その頃、遅群はオートバイク(二日前に勝った新車)国会議事堂に向っていた。

(遅群)「犯人は国会議員の一人……急がないと!」

遅群は交通法ギリギリの速度を出した。

その頃、別の場所では異変を感じた者が二人いた。一人は特殊制裁班の徳魔とくま あきら…そして、もう一人は特殊逃走犯捕縛班の林寸りんすん 日太ひただった。

徳魔は“融合”の練習中に融合に違和感を覚えた。

(徳魔)「今の融合……変な違和感が――」

林寸はカラオケの練習中に違和感を覚えた。

(林寸)「今、一瞬だが、声のトーンが変わった」

二人は外に飛び出して目を凝らして上空を見上げると微かに現実とは違う流れを感じ見えた。

(徳魔)「嫌な予感がする! 皆に知らせて調査をするか」

(林寸)「この流れ…あの時(夢で仲間が殺されて行く時)のと同じ流れだ! 夢の世界が現実に降臨しかけている……完素かんそに連絡して至急、対策を考えないと!」

林寸は携帯電話を取り出すと完素に連絡を取り始めた。

その頃、遅群は国会議事堂の手前まで到着していた。

(遅群)「やっぱり、報道陣はいるよな」

遅群の目の前には報道陣で埋め尽されていた。

(キャスター)「今、SATが国会議事堂に突入しましたが外の部隊に情報が入って来ませんでした」

(遅群)「正面からは無理か――だったら、国会議事堂の裏手から侵入するか」

遅群はオートバイクに再び乗り国会議事堂の裏手に移動した。

(遅群)「誰も居ないか」

国会議事堂の裏手は一般人や職員、警備員の姿が無かった。

(遅群)「これなら国会議事堂の内部に侵入が出来る」

その時、遅群の携帯電話が鳴った。遅群は電話に出た。

(遅群)「…久しぶりだな。何の用だ?」

(電話の主)「今、居る場所は分かっている。この件を止めろ!」

(遅群)「言われなくても分かっている」

(電話の主)「犯人の居場所は議事堂の地下だ! 時間が無いぞ!」

(遅群)「分かってる!」

遅群は電話を切ると国会議事堂の壁をぶち壊して内部に侵入した。(目を象の目に変えて右ストレートで壁をぶち壊した)

遅群が中に入るのと同時に近くでは徳魔が見ていた。

(徳魔)「今のは……【特殊討伐班】の勧誘リストの一人か……だったら」

徳魔は笑みを浮かべると左手を地面に着けた。

(徳魔)(任せるか)

その頃、林寸は完素と言う同い年の男性の元で調査をしていた。

(林寸)「上手く止められるか?」

(完素)「少し時間は掛かる! 原因と現状の打破には早くても二時間以上は掛かる」

(林寸)「間に合うのか?」

(完素)「正直言うと間に合わない」

(林寸)「融合が完成するのは?」

(完素)「残り一時間20分と言った処かな」

(林寸)「時間が足りないか…如何したら…」

(完素)「分かってるだろ」

(林寸)「無茶を言うな …まぁ、頑張ってみますか」

林寸は笑みを浮かべると目を瞑った。

その頃、遅群は国家議事堂の地下に進んで行くとチェンソーの音が聴こえた。遅群は足を止めた。

(遅群)「チェンソーの音……」

すると天井が壊れてチェンソーを持った女性が奇襲を掛けて来た。遅群は刀を鞘から抜きチェンソーを受け止めて奇襲を防いだ。

(チェンソーを持つ女性)「やりますね、遅群君」

(遅群)「…久しぶりですね、淵浪のお姉さん」

チェンソーを持つ女は淵浪ふちなみ 天子あまねの姉である淵浪ふちなみ 獄美ごくみだった。

(遅群)「天子が探していましたよ」

(獄美)「…天子には悪いけど私は覚悟を決めた!」

獄美はチェンソーで遅群に攻撃を始めた。

(遅群)「覚悟って何ですか?」

(獄美)「殺す覚悟よ!」

(遅群)「……妹でも敵と見なすのですか?」

(獄美)「当然よ!」

(遅群)「……」

遅群は十年前の事を思い出していた。

十年前――

遅群がまだ三弓家と会うずっと前の話である。

遅群は同級生の淵浪 天子と一緒に帰る事が多かった。理由は三つある。一つ目は下校時間(帰るタイミング)が何時も同時であった。二つ目はクラブ活動が同じであった。そして三つ目はクラス委員が同じ保健委員だった為である。(遅群は教師陣に家系の事が知られて居た為に保健委員を強制的に頼まれていた)

ある日の下校中――

(天子)「遅群君、一つ聞いて欲しい事があるの」

(遅群)「何だよ?」

(天子)「最近、お姉ちゃんの部屋から臭いがするの」

(遅群)「臭いって悪い方の臭いか?」

(天子)「うん」

(遅群)(臭いか……)

(遅群)「今日、お前の家に行って良いか?」

(天子)「構わないけど」

そうして遅群は淵浪家に上った。

(遅群)(! この臭いは血の臭い! それもなんて数だ!)

遅群は少しふら付いた。

(天子)「大丈夫?」

(遅群)「あ、あぁ」

(遅群)(淵浪のお姉さんは何をやっているんだ!?)

遅群は血の匂いで吐き気を堪えていた。

現在に戻る――

(遅群)「獄美さん、貴方は何をしているのですか?」

(獄美)「お前だって調べているだろ?」

(遅群)「…殺し屋」

(獄美)「そうよ 私は血の味を覚えてしまった あの感覚が…快楽に溺れたのよ!」

(遅群)「何故、そこまで狂ってしまったのですか!?」

(獄美)「妹のせいよ!」

(遅群)「妹って天子が?」

(獄美)「あの子は忘れてるでしょうけど私は覚えている。あれは十二年前――」

獄美は自分が狂った元凶を話し始めた。

十二年前――

淵浪家に強盗が入って来た。姉の獄美は妹の天子と一緒に両親の部屋の押し入れに隠れていた。だが、数分後に見つかってしまう。獄美は妹を護る為に強盗が持っていた拳銃を上手く奪い強盗犯に近距離(零距離)で発砲した。強盗犯は運よく致命傷は避けたが足を負傷した。強盗犯はそそくさと逃げた。獄美はその時、強盗犯の血を少しだが飲んでしまった。(この時、天子は強盗犯の拳銃を見て気を失ってしまった)それから、この事は両親には伝えずに拳銃は自分の部屋に隠し血の方は拭い隠滅をした。

現在に戻る――

(獄美)「――あれから、私は血の味に飢えてしまった。家族にはばれない様に自分の体に自傷させて血を数滴飲んだけど飢えが改善する事はなかった。だが、十一年前にとある男から殺し屋家業をやらないかと勧誘された。それに私は承諾してしまった。殺し屋をやってからは血の飢えが改善された。そこで私は悟ってしまった。《私はもう後戻りできない》

と――」

(遅群)「獄美さん、貴女の部屋を昔、覗かせてもらいましたが貴女の部屋にはファッション雑誌やモデルのオーディションとかが在りました。貴女は今も――」

(獄美)「私はもう夢を見ない!」

獄美の攻撃を刀で全て受け止めていた。その時、刀に亀裂が入った。

(遅群)「!」

(獄美)「どうやら、私のチェンソーの方が上だった様ね?」

(遅群)「諦めるかよ!」

遅群は目を瞑った。

(遅群)「我の声に答えよ! 鏡達の覚醒者!」

遅群の目は赤い竜と青い蝙蝠の目が合わさっていた。

(遅群)「烈炎の影!」

遅群は刀に炎を纏わせた。

(遅群)「炎は心の映し鏡……そして――」

獄美の背後に遅群が現れるが獄美はチェンソーで軽く切り裂いた。

(遅群)「幻影は自分そのもの」

遅群は一気に距離を縮めて獄美の懐に潜り込んだ。だが、獄美は直ぐにチェンソーで受けて距離を取った。

(遅群)「獣の帝は恐怖の映し鏡」

遅群の目は獣帝の目に変わりゆっくりと獄美に近付いた。

(獄美)「ゆっくりね」

獄美は距離を縮ませてチェンソーで遅群を斬りつけるが遅群の肉体はまるで鋼鉄の様に固くチェンソーが弾かれた。

(遅群)「我に攻撃は通じぬ」

遅群は罅が入った刀でチェンソーを粉々にした。

(獄美)「!」

(遅群)「飢えを我に!」

遅群は刀を獄美の腹に突き刺した。

(遅群)「貴女の血に対する飢えを全て俺が引き受ける!」

刀が光り出すと獄美が苦しみ始めた。

(遅群)「我の力で血の飢えを改善する!」

遅群の目は獣帝に加えて紅い目が加わった。

一時間後、獄美は足を崩しその場に座り込み、遅群は刀を松葉杖の応用で何とか立っていた。

(遅群)「これで、貴女の飢えは解消された筈です」

(獄美)「私の飢えを解消して如何する気?」

(遅群)「貴女にはこの部隊に入ってもらいます」

遅群は携帯電話を取り出すとメモ帳の部分を起動させて【特殊討伐班】と言う所を見せた。

(獄美)「特殊討伐班?」

(遅群)「特殊討伐班の目的は警察や軍が手に負えない犯罪者を討伐する為の組織。犯罪者の生死は問わないけど」

(獄美)「私はこの先、牢屋行き……」

その言葉を聴いて遅群は獄美に本気のビンタをした。

(遅群)「アンタは妹の事を考えてるんですか!? 妹を犯罪者の妹として国中から批判を受けまくる! そうなればアンタは国中の人間を殺すだろ!? 俺は絶対にそんな事はさせない! 大切なのは気持ちだ! 心の底から考えている気持ちだ! 俺は人を殺さない! 何があっても!」

(獄美)「妹の事――」

獄美は立ち上がると目つきが変わった。

(獄美)「分かったわ、【特殊討伐班】に入るわ」

(遅群)「そうでなくっちゃ!」

遅群は少し笑みを浮かべた。

(遅群)「さてと、本題に戻りますが今回のカラクリを教えてはくれないか?」

(獄美)「私も詳しい事は分からないわ」

(遅群)「この事件の張本人は誰です?」

(獄美)「私に居場所を与えてくれた…皆藤かいとう 寒羅さむら議員」

(遅群)「皆藤 寒羅か――」

遅群は何所かにメールを送った。

(遅群)「今やるべき事は議員の目的を阻止する!」

(獄美)「でも時間が――」

(遅群)「議員が居る場所までに夢現の融合は完遂してしまう」

その時、獄美のイヤホンに議員から連絡が入った。

(獄美)「はい、融合が止まった!?」

(遅群)「急ごう!」

遅群は獄美に肩を借りて先に進んだ。

その頃、林寸と完素はピッチを上げた。

(林寸)「結構な精神力を使う」

林寸は己の能力を使い夢と現実の融合の時を止めていた。完素は何とか国会議事堂の身近にある元凶の機械のハッキング作業に移っていた。

そして、徳魔は己の能力を使い遅群の刀の修復をゆっくりと行っていた。

(徳魔)「距離があって時間が掛かるな」

1時間後――

遅群と獄美は今回の元凶のある機械の部屋に辿り着き中に入った。

(遅群)「あんたの計画は失敗だ!」

(皆藤)「失敗は許されない!」

皆藤は黒スーツを脱ぐと胸の部分に虎の刺青が彫られていた。

(獄美)「あの刺青は!?」

(遅群)「如何した?」

(獄美)「十二年前の事件の時……強盗犯の腕に虎の刺青が――」

(皆藤)「今頃になって気付いたか――そうだよ、あの時、お前の家に入ったのは俺の部下だよ」

(獄美)「そ、そんな――」

獄美は衝撃の真実を知って地面に崩れてしまった。

(遅群)「その時の部下は如何した?」

(皆藤)「任務に失敗したから殺してやった」

(遅群)「どうやって?」

(皆藤)「普通に心臓を突き刺した後にバラバラにして埋めてやったよ 全く役に立たなかったよ あのクズ達は……いや、一つだけあるか……淵浪君を落とせたのだから」

(遅群)「……女性は落すんじゃねぇよ」

(皆藤)「何ぃ!?」

遅群は皆藤との距離を一気に縮めて峰打ちをした。

(遅群)「女性を不幸にするのなら俺は許さない! お前は獄美さんの苦しみを知っても快楽の方に導いた 楽な方に導いた 俺はそれが一番に許せない! ――それと夢は現実で叶えてこそ意味があり、やりがいがある!」

遅群は目を赤い竜に変えて刀に炎を纏わせると遅群は皆藤の髪を掴み、腹を突き刺した。

(遅群)「…さてと、この機械を壊せば全てが終わる」

遅群は戦闘の疲労で意識を保つので精一杯だった。

その時、機械から謎の声(完素)が聴こえた。

(謎の声)「君はよくやってくれたがこれを壊しても元には戻らないよ」

(遅群)「だったら、如何したら――」

(謎の声)「その機械の停止釦がある筈だ! それを押してくれ! 後はこちらで解決する」

遅群は声の言う通りに停止釦を押した。それと同時に遅群は気を失った。

それから数時間後――

遅群は国会議事堂近くの病院に搬送されてベッドの上で眠っていた。

淵浪は特殊討伐班のメンバーに回収された。

皆藤は警察に逮捕されておらず、国会議事堂から姿を消した。

(皆藤)「まだ、手はある」

そう言うと目の前に徳魔が現れた。

(皆藤)「何者だ!?」

(徳魔)「危ない事をしますね。国会議員の皆藤さん……いや、テロリスト【ロッダ】の参謀の皆藤さん」

(皆藤)「! な、何故それを!?」

(徳魔)「貴方が外国でテロ行為を行っていた事は知っていました。だけど、知ったのは貴方が議員になってからです。俺には犯罪を行った者か如何かを判別できます。貴方がテレビに映った時に犯罪を行った者だと分かり知り合いに貴方の素性を調べました」

(皆藤)「何故、直ぐに公表しなかった?」

(徳魔)「一言で言えば様子見です。貴方が何を考えているのかをね」

(皆藤)「お前は一体何者だ!?」

(徳魔)「言い忘れていました。俺の名前は徳魔 陽【とくま あきら】…特殊制裁班の班長をしております」

(皆藤)「特殊制裁班…法では裁けない者を裁く組織。俺は裁きに来たのか?」

(徳魔)「いえ、俺は貴方を捉えに来ました。貴方の罪名は殺人です」

(皆藤)「馬鹿な! 俺は殺人など犯しては居ない!」

(徳魔)「えぇ、知っています。正確には《殺人教唆》と言う罪です」

(皆藤)「あの女(獄美)こそが殺しの張本人だ! あの女だって同類だろうが!?」

(徳魔)「いえ、彼女は《とある組織》に入隊した為に罪に問われません」

(皆藤)「…だったら、お前を殺して再度、現実と夢を融合させて――」

皆藤は徳魔に向けて拳銃を構えた。

(徳魔)「貴方はもう終わってますよ」

徳魔が左手を握ると皆藤は突如、苦しみ出してその場に倒れた。

(徳魔)「…さてと、警察に――」

徳魔は携帯電話を取り出すと何所かに電話を掛けた。

(徳魔)「…警察に連絡を頼む」

徳魔は電話を切った。

(徳魔)「…さてと、隠れてるのは大人気ないな」

徳魔の背後の路地裏からコートを深く被って顔が見えない男性が現れた。

(コートの男性)「いやいや、凄い物ですね」

(徳魔)「コートを着用してるって事は政府の勧誘者ですね?」

(コートの男性)「大まかに言えばそうですね」

(徳魔)「…それで、あの男(遅群)は勧誘出来るのですか?」

(コートの男性)「正直言うと半々と言った所ですね」

(徳魔)「最近は忙しくて多忙だよ」

(コートの男性)「言われてみれば《特殊》と名の付いた組織が最近は増えて来ましたからね」

(徳魔)「…俺も勧誘者として駆り出される事が――」

(コートの男性)「仕方ありませんよ」

徳魔とコートの男性の口元は笑みを浮かべていた。

それから数時間後――

遅群は病院のベッドで目を覚ますと右横に麟が眠っていた。

(遅群)「…麟」

遅群は寝ている麟の頭を優しく撫でた。

(遅群)「…お前のお陰で俺は決意出来たよ」

その時、病室の扉が開くと淵浪 天子が入って来た。

(遅群)「よう!」

(天子)「! 遅群君、起きたのね」

(遅群)「ああ、この通りだよ」

遅群は笑みを浮かべるが天子はベッドの横で眠っている麟を見て少し悲しい表情を浮かべた。

(天子)「…ねぇ、少し、屋上に行かない?」

(遅群)「…まあ、良いけど」

(天子)「有難う」

(麟)「……」

遅群と天子は病院の屋上に着くと外の景色を眺めていた。

(遅群)「…何か在って此処に連れて来たんだろ?」

(天子)「…うん あの女性(麟)と付き合ってるの?」

(遅群)「そうだなぁ~ …そう言う事になるな」

(天子)「…そう」

天子の表情が少し悲しい表情に変わった。

(遅群)「…お前って …俺の事が好きだろ?」

(天子)「! きゅ、急に何を言って――」

遅群の突然の発言に天子は動揺を隠し切れなかった。

(遅群)「…ちょっと、真面目な話だが良いか?」

(天子)「う、うん」

(遅群)「法に縛られなくて良いと思うぞ」

(天子)「でも、私達は国民でしょ?」

(遅群)「そうだな、だけど、俺達は《法の抜け道》を時には使わないと駄目だと思う」

(天子)「…法の抜け道」

(遅群)「国とは一つの家族と言えるだろう …法は家のルール 上手く調整しなくてはならない…だから『抜け道は塞ぐべきだ』と言う考えには賛同する けど、《抜け道》って言うのは建物で言うと《穴》で其処から大量に何かが入って来る …まあ、今回は《液体》を例にしとくけど…穴を塞げば建物内の生物は全て溺れ死ぬ …だけど、《穴》と言う《抜け道》を逆に利用して脱出さえ出来る! …法とは家の《家訓》だ! だからこそ、《法の抜け道》を見つけるのは面白い!」

(天子)「遅群君って《法の抜け道》を見つけた事ってあるの?」

(遅群)「…いや、俺は見つけたとしても行わないけど」

(天子)「話しといてそれ?」

(遅群)「…まあ、一つ挙げるとしたら家に存在する《家宝の宝刀》かな」

(天子)「そう言えば、家に搬送された時も待っていたわね」

(遅群)「あの刀は家の特注品で代々受け継がれている代物だ」

(天子)「どの位経つの?」

(遅群)「そうだなぁ~ …ざっと、3000年以上位かな」

(天子)「3000年! そんな前から!?」

(遅群)「あの刀は《陰陽術》が纏っていて自分の力を120%以上引き出す最強の刀だ」

(天子)「陰陽一家なの?」

(遅群)「…正確に言うとその末裔で一家の中で俺は一人っ子 …子孫を残せる存在は俺一人だけだ」

(天子)「…でも、兄弟が居るって言わなかった?」

(遅群)「…正確には《居た筈だった》だ 俺の兄弟は俺が生まれる前に亡くなっているからな」

(遅群)(まあ、従姉とかは居るけど――)

(天子)「…御免なさい 辛い事を――」

(遅群)「気にするな 何時も思ってるからな【兄弟がいたら如何言う生活に変わっていた】のかを――」

(天子)「…兄弟か」

(遅群)「姉なら心配するな 逮捕されない様にしといたから」

(天子)「さっき、坊さん(在る人のあだ名)から聴いたわ」

(遅群)「…そうか」

(遅群)(手が早い事で)

(天子)「…それでね 私も入ろうと思うの【特殊討伐班】に!」

(遅群)「! 本気か!?」

(天子)「うん お姉ちゃんとも一緒に居られる それに遅群君も勧誘を受けているのでしょう?」

(遅群)「…まあな」

(天子)「…誘いを断ったって聞いたけど …それって彼女の為?」

(遅群)「半分正解だけどもう半分は《怪しい機関》に行かないと考えてたからな」

(天子)「…でも、この組織の発案者って――」

(遅群)「勧誘時は気付かなかったが家(三弓家)に戻ってからその事に気付いた」

(天子)「…それで次に勧誘されたら如何する気?」

(遅群)「まぁ、答えはその時に――」

遅群は笑みを浮かべて答えを言わなかったが天子は遅群の答えが《どっち》なのか分かった。

(遅群)「…さてと、病室に戻るとするか」

遅群は両手を伸ばして背伸びをして欠伸もしながら病院の中に戻った。天子は遅群が病院内に戻るのを見届けると景色を眺めていた。

(天子)(…遅群君は昔から変わらない …選択肢を与えられると危険な方を選ぶ …それは他の人が危険な事にならない様に配慮しての選択 …私が《特殊討伐班》に入る事を聴いた時の顔は心配の表情をしてた …でも、危険は大切な何かを思い出してくれる)

その時、天子は後ろから肩を叩かれて背後に振り返ると其処には三弓 麟が居た。

(天子)「…確か 麟さん」

(麟)「貴女って《遅ちゃん》の事が好きなの?」

(天子)「…好きだった …と言っても《like》の方ですよ」

(麟)「…嘘は言わないで! 貴女は《遅ちゃん》の事が《like》では無くて《love》の方で好きなんでしょ?」

(天子)「! 如何して?」

(麟)「…貴女と病院の廊下ですれ違った時に私と似た匂いがしたの 【心配の匂い】と【好きな人が入院してる安堵感】と言った所かしら」

(天子)「…私も貴女とすれ違った時に私と似た匂いを感じたわ」

(麟)「…貴女って《遅ちゃん》と如何言う関係?」

(天子)「…小中と同じ学校で同じクラスだったの」

(麟)「…そう …じゃあ、私と携帯電話のアドレスを交換しましょう!」

(天子)「…怒ってないの?」

(麟)「如何して?」

(天子)「…だって、同じ人を好きなのよ」

(麟)「…それの何が可笑しいのよ? 私は同じ人を好きになる事は良いと思うけど」

(天子)「だって、国の法律だと《一夫一妻》で――」

(麟)「確かに国の法律だとそうね …でもね、《愛人を作ってはいけない》と言う法律は聴かないわよ」

天子は麟の言葉で遅群が先程に言いたかった事が少しだけ理解出来た。

(天子)「…そうね」

麟と天子は微笑み合って少しだけ打ち解けた。


これにて世界の危機は去って行った! だが、日本…いや、世界の危機は未だに去っては居なかった!


死夢現間~無限の融合と解放~ 完


死夢現間~再勧誘と夢に堕ちた者~ 続く――


現実の世界と夢の世界の融合は【阻止】出来た! そして、意外なメンバーも駆け付けていた! 三弓の恋愛理論は日本の考えを遥かに超える考え方でまるで野生生物のような考えを持っていた! 天子と麟はお互いに仲良くなった。 遅群の覚悟とは? 次回は夢の世界へ!

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