間章 科学者の手記 3
わが娘の体の一部を研究したことによって完成した浄化装置は、私の肉体に強力な自浄作用を付随させることに成功した。
これは人類の希望たりえる。
だが、副作用もある。私は日々獣に近づいている……
娘を犯してしまった。ダメと思ってももう、止まらない。私は父親としてクズと言うしかないが、美しく成長した娘に、浄化装置によって増強された本能は勝つことが出来ない。
研究員たちを処分した。手はなかった。
浄化装置をコールドスリープしている人間たちの居る施設にどうにか取り付けられた。
彼らは夜明けの後の住人だ。以前の恨みで、数人分の生命維持装置を止めてしまったが、仕方ない。今の私にはどうしようもない。
そういえば道中、なぜか私だけは襲われなかった。不可解なこと、この上ない。
研究が進まない。日々娘は美しくなる。
食べて、娘を犯し、眠るだけの日々になりつつある。妻と間違って名を呼んでしまうことがあった。妻の顔が思いだせない……
私は彼らと何が違うんだろうか。人を食べないことだろうか。恨みに任せて生命維持装置を止めるようなことをしたのに、そこに差があるのだろうか。
人間である自信がない。助けてくれラヴィニア。私はもう生きている自信がない。そもそも生きているのか?
教えてくれ。幽霊でもなんでもいい。姿を一目見られれば、私は娘を犯すこともなくなるはずだろうに。
最近娘の独り言が増えてきた気がする。精神安定剤の量が増えたせいか眠っている時間が増えたせいだろうか。
私が気をしっかりもたなければ。娘にすがってでも、娘のために人間であろう。
いなくなった。
いなくなった。
いなくなったいなくなったいなくなったいなくいなくいなく――――




