ある少年の末路 1
これはとある才能開花者の少年と死んだ才能開花者の少年が出会う前、15年前の話・・・。
親はオレ達を捨てた。親戚もオレ達を毛嫌いする。オレの家族はたった一人の弟だけだった。
なのに、何で、どうして?
「弟君、残念ね。」
ある日、弟が血を流して帰ってきた。すぐ病院に行ったが、結果は手遅れ。しかも弟は何者かに襲われたらしい。
「本当だよ、彼には親も、頼れる親戚もいないんだから。」
「なんで親戚が?」
「それは彼の親が・・・。」
葬式に来た弟の学年の子の親が噂をしている。あることをないことを。
「人殺しだから。」
誰も信じられない。
オレの親は人殺しではない、なのに、何でこんな噂が?
「元気だせよ、氷上。弟は、その、・・・残念だったよ。」
お前に何がわかる?坂間田。
「何って、解るに決まってるじゃん。友達だろ?」
黙れ、嘘つき、嘘つき。俺も最初はお前を信用していた、だけどあの日お前は弟と一緒にいたのに弟は…
「だから気付かなかったんだって!」
黙れ
「分かった。じゃあな。」
失せろ、死ね。
坂間田健、オレの親友だった奴だ。アイツは嘘をついている、確信している。
アイツはあの日弟と一緒だった、だがアイツは傷一つ負っていない。何故?
何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故なんだ?
『知りたくない?真実を。』
?誰?
オレは辺りを見渡すが、葬式会場を一旦出たオレの周りには誰もいない。
『俺は、お前だ。お前の心の【欲望の才能だ】
欲望の才能?
『俺はお前に真実を教える。神のみぞ知る、真の真実をね。』
真の真実?
『混じり気の無い正しい真実だ。』
ホントに、教えてくれるの?
事件の真実を渇望していたオレはわらにもすがる思いだった。
『ああ、勿論。』
代償は?
『無い、強いて言うなら真実を知る者のみが知る苦痛。真実は時として残酷だ。』
どうでもいい。くれ、その力。
『但し忘れるな、神がお前に与えるのだ、お前は神では無い。汝神を騙りし時、汝、骸と成り果てる…』
そう言うとその声は消えていった。
何だこれ?
頭には疑問符が浮かんでいた。
そんなオレに、自分の携帯が一瞬だけ点滅した事など、気付けるわけなかった。