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2話:ポンコツ妹とその友達

 ポンコツ、ポンコツと揶揄されようとも妹にも友達は存在する。

 さすがに小学生から付き合いがあるからな。同じ高校に通ってて知らん顔というのもなかなかないだろう。


「問題はお前がその友達が同じ高校に通ってることを知らなかったことだな」


「クラス違ったから分からなかった」


「どうしてわかったんだ?」


「今日クラス間違えて朝行ってね。そしたらいたから」


「それよりも前に中学も一緒だったんだから情報が回ってると思うんだけどな……」


「……わ、私がハブにされてたことはないよ!」


「誰も言ってないし」


「というわけで、友達を家に連れてきたよ!」


「会話の脈絡ないし、それ以前にさっきからいるからそれは分かってるし、一番の問題はなぜお前の部屋じゃなくて俺の部屋にいるのか、ということだ」


「細かいことは置いておいて、そもそもお兄ちゃんもなんで部活やらずにこんな時間に家にいるの?」


「俺は部活を転部したからもう顔を出す必要はないんだ」


「転部?」


 一応、運動部に入っていた。

 が、運動部に入っていては妹の改造計画は出来ないので、とっとと止めてきた。特に執着する必要はなかったからである。

 勉強やっとけば、大学には行けるからな。親が金を出してくれるかどうかはともかく。

 ただ、妹が出来ない子でなければそんなことはする必要はまったくなかったのだが、これから社会に巣立とうとも何もできないじゃ話にならないからな。

 いわば、これは俺による妹の育成計画だ。


「という計画を立ててみたんだが、いかがだろう?」


「達成する前にめぐちゃんのボロが出ると思います」


「やっぱりか……いっそ、最初だけは最底辺であることをたらしめるか」


「そもそも何年もかかって今のめぐちゃんが形成されてるんですから例えば一ヶ月そこらで直るものでもないと思うんですけど」


「大丈夫。一年設計だ。そのために部活も転部したんだ」


「転部、転部言ってますけど、何部に入ったんですか?」


「まあ、それは内緒だ」


「どうせ、帰宅部なんですね。分かりました」


 ため息をついた妹の友達である東雲しののめ 香夜かやちゃん。小学校時代なので名簿が前後のこともあって仲良くなったようだ。


「あの……お兄さんの部屋落ち着かないんで移っていいですか?」


「最初からそういうつもりで俺は言ってたんだけどなあ。この妹はとても頭が残念なのでそこまで気が使えんのだ」


「わ、私だって気ぐらい使えるよ!」


「じゃあ、今この状況で取るべき行動をしてみろ」


「みんな!オラに元気を分けてくれ!」


「出てけ。香夜ちゃんと遊んでろ」


 妹の場合、これはボケでなく本気でやってるのでタチが悪い。

 天然、といえばいいし、ムードメーカーとして計算してそういう役をやっているのなら何も文句は言うまい。

 ただ、これを素でやってのけるから心配なのだ。


「香夜ちゃんも協力してくれないか?とても俺一人の力でどうにかなるものじゃないと思うんだ」


「私が言うのもなんですけど、手遅れではないかと」


「香夜ちゃんはあいつがあのまま大人になってもいいって言うのか」


「…………」


 扉の向こうで壁に顔を埋めたままの妹の姿を見る。

 格好から間抜けだな。あいつはそういう星の下にでも生まれてきたのか?


「さすがに心配です。めぐちゃん、本性さえバレなければ可愛いので」


 その本性が致命的すぎるのもなんなんですけど、この子も結構毒吐くな。


「仕方ないですね。お兄さんに協力しましょう。今日のところはめぐちゃんを回収だけしていきますので、詳しいことは後日に」


「うん……まあ、頼むよ」


 足をひっつかんで、廊下をひきづっていった。

 2回ほどガンガンとぶつかったような音が聞こえたけど、部屋の段差にでもぶつけたのだろう。

 しかし、あいつはあれで目覚めないのか。

 そして、香夜ちゃんもよく付き合ってんなあれと。

 そういや、あまり香夜ちゃんのことを俺は知らないな。

 妹の友達のことをよく知ってる兄と言うのもなかなか気持ち悪いが、次は妹より先に香夜ちゃんのことを調べることにしよう。


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