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11話:香夜ちゃんの相談事

 仮入部期間を終えたわけだが、我が料理研究同好会は1人の女子が入ってくれたというだけの成果に終わった。それに引き換え、天文部は恵につられて恵を含み5人ほど入部したそうです。男1、女4という比率らしいけど。

 うーむ。恵、イジメられないだろうか。


「その心配はないでしょう。天王洲先輩が直々に可愛がってるようなので」


「本当……あの人何者なんだろうな」


「調によれば現生徒会長です」


「さすがにそれぐらいは知ってるが……」


「すいません。妹以外に目がいかないシスコンかと」


「最近の俺は罵倒されることから会話が始まりますね。いい加減クセになりそうだぜ」


「へこたれないから、いいストレスの発散口にはなってますよ」


「なんだ?香夜ちゃん、ストレス溜まってたのか?」


「先日、出番がなかったのとか……」


「いや、ピックアップしてやってるだけだからさ。そういうメタいことは言わない方向で行こうぜ?」


「そもそも1日単位で進んでいくせいで中々本筋に入っていきませんよ。365話やる気ですか」


「だから、そういうメタな話は止めてくれ。誰に向けてなんだ。テコ入れか?香夜ちゃんが水着になろうとイラストがなければそれは妄想でしか保管されないんだぞ」


「あなたも、相当メタなことを言ってますから……」


「ちなみに、入ってくれた女子はあの場にいなかった香夜ちゃんです。持つべきは優しい後輩だね」


「あまりにも哀れだったので。1人停学でしたっけ?」


「聞いた話だともう少し上に兄貴がいるらしくて仕事がうまくいかなかった腹いせに入れられたらしい」


「同情するような……そうでもないような……」


「まあ、見た目はやさぐれ兄ちゃんだからな。致し方ない」


「そういう片付け方なんですね」


「まあ、キャラはいくらいても困らない」


「友人と言ってあげましょう。いつまでメタ発言してるつもりですか。それに多すぎても結局動かすのが面倒なのが出てきてフェードアウトしていくようなのもいるんですよ」


「……して、なぜ俺の部屋でこんな楽屋裏みたいな話してんだろうな?」


「一応、めぐちゃんの家にお泊まりで勉強会をするということで来てはいるんですが、予想外に早く片付いてめぐちゃんが寝てしまったからですね」


「学力の向上は見られてるのか?」


「そうすぐには出ないですよ。まあ、ノルマを達成するぐらいには出来るようになっていると考えてもらえば」


「あと香夜ちゃん」


「なんですか?」


「パジャマは?」


「先輩がいるのに不用心な格好はしないです。ジャージで十分です」


「俺ともパジャマパーティーしようよ!」


「嫌です。スケベです。邪な考えが溢れ出てます」


「パジャマ持ってないのか?」


「普通にあります。ピンク色でフリフリで可愛いですよ」


「リミットブレイク‼︎」


「……息絶えましたか」


 妄想でここまでいけるのは俺ぐらいのものだろう。女の子のパジャマ姿って絶対萌えると思うんだ。

 ただし、人によります。

 妹は別に見慣れたせいで特に感じないからな。


「ふ……ふふ。では、今度ぜひとも写真に撮って送ってもらおうか。待ち受けにする」


「すこぶる変態ですね。深夜テンションで拍車がかかってるんです?」


「大丈夫だ。妄想で終わらすから。行動には移さねえ」


「その妄想に私を登場させないでくださいね」


「ジーーーーーザス‼︎‼︎」


「叫ばないでください。迷惑です。家の人やらご近所さんに」


「しかし、香夜ちゃんも強いな。半分セクハラされてるようなものだぜ?」


「……まあ、直接手を出さないのなら、別に問題ないです」


「俺が香夜ちゃんがパンチラしてる写真を集めてるとしても?」


「今すぐ携帯をよこしてください。今この場で破壊します。もちろんSIMカードまで粉砕です」


「嘘です。香夜ちゃんをそんな目で見られない。俺が汚れちゃう。色んな意味で浄化されちゃう」


「もう十分に汚れてますから早く浄化してください。少しぐらい綺麗になってください」


「でも、綺麗になった俺ってそれはそれで嫌じゃね?」


「確かに気持ち悪いですね。でも、あまりオープンにしすぎるのもどうかと思います」


「香夜ちゃんの前だけだって」


「自重しろ」


「香夜ちゃんから敬語がなくなった……」


「すいません。本音が出ました。一応、敬意だけは払ってるので」


 敬意だけって、他に払うものはあるのだろうか。


「ま、まさかお友達料⁉︎香夜ちゃんと友達でいる間は月一回お友達料金を払わなくちゃいけないのか⁉︎」


「? 何を言ってるんです?そんなのいりませんけど」


「だ、だよな。焦ったぜ」


「それで……その。明日、部長さんが来るんですよね?私、いていいんですか?」


「そりゃ、いいに決まってるだろ。先に客としてきているのは香夜ちゃんだしな。千客万来、俺、ハーレム状態」


「料理作ってる間……いや、すべての作業が終わるまで先輩は家にいないでください」


「まさかの家主追い出し⁉︎」


「先輩は家長ではないでしょう。先輩のお父さんが家主ですので、先輩に権限はないのです」


「そういや、香夜ちゃん。俺の部屋に香夜ちゃん以外の女の人は入れないって言ってたよね?」


「……先輩の部屋じゃなければいいです」


「はたして、それが通じるかね?」


「どういう意味です?」


「さてな。俺も寝ようかな」


「とか言いつつなんでパソコンをいそいそと開いているんですか」


「ゲームは1日1時間!」


「どこの高橋名人ですか……もっと据え置き型のとか、携帯型ゲーム機もあるのに……」


「抜いてから寝る」


「最低ですね」


「だが一時間で到達するか分からん。到達しなかったら香夜ちゃん想像しながら寝る」


「止めてください。そして、私の前でそれを起動しようとするのやめてください」


「なぜだ!マイハニー!」


「誰も先輩の妻になんてなってません」


「おかしいな?」


「おかしくないです」


「しかし、エロネタも微妙なところだよな。どこまで言っていいのか」


「先輩のはソフトなのでまだセーフだと思います。アカウントもBANされないぐらいかと」


「香夜ちゃんが言ってくれるとより妄想が捗るんだが」


「言いませんよ」


「香夜ちゃん……もしかして、俺じゃなくて恵を狙ってるのか」


「すごく語弊を生む二択をかけないでください。私だって恋愛するなら男の人がいいです。いいですけど……」


「けど?」


「先輩の前ではこのように饒舌ですが、普段あまり喋らない子なのです。ゆえに、友達自体がそんなにいません。だから、料理研究同好会に入りました」


「いや、先輩と話せても同級生と話せなきゃ意味なくね?」


「それはそうですけど……」


「ははは。相手いなけりゃ、俺が付き合うよ」


「……そうですね。先輩。その言葉忘れないでくださいよ?」


「え?ああ」


「もう、夜も遅いです。……その止めはしないですけど、エッチなゲームも程々にしておいてください」


 パソコンを破壊しに来ないあたりはやっぱり優しいと思う。

 人の趣味云々には口を出さない子なのかな?よいことである。セクハラを働いていい理由にはならないけど。

 え?パンチラ写真は本当にないのかって?

 俺に抜かりはない。ちゃんとロックかけて保存して……。


「あれ?ない⁉︎ロック解かれた⁉︎そんなバカなー‼︎」


 妹の友達はそんじょそこらの探偵なんかよりよほど有能そうな気がします。

 自分のことは許せないんですね。

 ご慈悲はなかったようです。


「しかし、残念だったな。分かりやすくフォルダに分けられてるもの以外にも、分かりにくく混ぜてたりするんだなこれが」


 消されてました。

 ちくしょう……やっぱり、あの子鬼畜です。どうやって探し当てたんだ。

 え?写真?そんなものはなくなりましたとさ。

 どうやって撮ったかって、大体制服で家に来るから多少なりとも隙はあるのさ。

 その隙をかいくぐって撮っていたが……。ダメでしたね。

 盗撮はダメだよ。ちゃんと許可を得て撮ってね。お兄さんとの約束です。

 ……あの子は許可をもらえそうにないなあ。

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