第8章 車の中で・・・・
手分けして車を探し始めて1時間が経過した。いまだに、誰からも連絡がない。今の時刻は11時30分。
あと30分であのメールが送られてくる。今、何人の人たちが生きているだろうか・・・・。
俺はそんなことを考えながら1台の車に鍵を差し込んでまわした。 カチッ!
車からロックが外れた音がした。俺はドアノブに手をかけて引いてドアを開けた。
「開いた!」
開いた車はワゴン車で5人全員が十分に乗れる車だった。さっそく、携帯を開いて、みんなにこのことを一斉メールで伝える。すると、すぐに吹雪からメールの返事が返ってきた。
(龍軌、お前にしてはよく頑張ったな。今、俺たち全員は集まっているだ。場所はみんなと分かれた所にいる。だから車でこっちまで来てくれないか。免許の事は、ここは現実世界じゃないし大丈夫だろ。それに、無免許運転は高校生の特権だろ!それじゃ、あとはよろしく。)
そこで、メールは終わっていた。
嘘だろ!俺、車運転できないし!それに無免許運転は高校生の特権ってふざけんな!
俺はそんな文句を呟きながら仕方なく車に乗る。初めての車の運転。事故らなかったら奇跡に等しい。
まずは、鍵を差し込みエンジンをかける。レバーを回しアクセルを踏んだ。車が走り始める。まずまずのすべりだ。何とかなりそうだ。
そして吹雪の所にやっとの思いでついた。付いた時にはもう車はボロボロだった。
「龍軌、ここまで来る10分間の間になにがあった?」
吹雪が車を見て聞いてきた。
「まぁ、いろいろあって。たとえばブレーキとアクセルを踏み間違えるとか」
「なるほど、だからこんな悲惨な光景になったのか・・・。それにしても何回ぶつければこんなことになるのやら」
「まぁまぁ、吹雪。何とか車は動くようだからいいじゃないの」
「そうよ、さっそく車に乗りましょう」
蓮と香が吹雪を止めてくれた。俺はちいさく蓮と香に頭を下げたのだった。
さっそく俺たちは俺がボロボロにしてしまった車に乗る。もちろん、運転は蓮がすることになった。
車が動き出し、運転してる蓮を除いて俺たちはこれからの行動について話し合うことにした。
「これからどうするの?車のガソリンも無限にないし、行き先も決まってないんでしょ」
「たしかに、ちゃんとした目的が必要だな。龍軌、どうする?」
「まずは、少しでも安心ができる場所に移動したい。みんな、どう思う?」
俺がみんなに問いかけたとき、携帯がメールを受信した。遂に来た、中間報告のメールが・・・。これで何人生きているかわかる。
そして、俺は携帯を開きメールを確認した。
ーー中間報告ーー
前回までの生存者 23万8526人
死者 15万5426人
残りの生存者 8万3100人
ーーーー中間報告 終わりーーー
静かに俺はメールを閉じた。
2日目に入りいっきに15万人の人たちが死んだ。敵のレベルが上がり、相手が団体行動をとるようになってさらに1人だけ能力を使うことができるようになったせいだった。
能力を見つけられなかった人はもちろん団体行動を取ってなかった人たちが死んでいったのだろう。
俺たちは死ぬところを見ていることしかできないのだろうか?助けることはできないのだろか?
でも、そんなこと考えても無駄だった。
俺たちもこの人たちと同じで追われている。そんな中助けながら生き抜くことは難しいだろう。
だったら、死んでいった人たちのために生き抜くことが責めての償いだと思う。弱気になってどうする。俺は誓ったんだ絶対生き抜くと・・・・。
みんなもメールを見て俺と同じ決意をしたようだった。
「みんな分かっているよな。これからは生き抜くことに専念しよう。」
みんなが静かに頷いた。
そして俺たちは安心できる場所を探すために車を走らせたのである。
みんなの決意が一つになる時、それは大きな力となる。
・・・・第9章に 続く