第6章 厳しさ
駐車場に向かった俺たちは今、昇降口の前で止まっていた。
「おい、吹雪。なんで動こうとしないんだ?」
「やっぱりお前は馬鹿だよな、龍軌」
「馬鹿で悪いか馬鹿で!」
「まぁまぁ、落ち着いて龍軌。なぜ、動かないか聞きたいんでしょ」
切れかけた龍軌を香が止めた。
「わかったよ、おとなしくするよ。それで吹雪、なぜ動かないんだ?」
「なぜ動かないと言うと、簡単な理由だよ。あまり、敵に見つかりたくないから外の様子をうかがっているだけ」
吹雪が俺に簡単な返答をした。そんな簡単な答えを導き出せないなんて、俺は本当に馬鹿なんかも知れない。
「さてと、俺が見た限りでは、敵はいないようだし行きましょうか」
吹雪が昇降口の扉を開けて外に出る。
「おい、待てよ吹雪!俺、思ったけどなんでお前が仕切ってんだ?リーダーは俺だろ!」
「何でお前がリーダーなんだ。馬鹿のくせに!」
「なんだとーーーー!」
「ちょっとやめなさい。そんな喧嘩する暇があったら敵をたおしなさい!」
そう香に言われた俺たちは周りを見る。そこには、俺たちの喧嘩していた声に気付いたのか敵が3人こちらに向かってきていた。たしか2日目に入って相手は団体行動をしてその1人だけ能力を持っていると言っていたな。ちょっと厳しい戦いになるかも。
「よし決めた。龍軌、リーダーはお前に譲る。だからこの状況をどうにかしろ」
「こんな時だけ譲りやがって、ふざけるな」
「なに。せっかく人が親切に譲っているのに」
「もう!龍軌と吹雪いい加減にしなさい。さっさと、あなたたちも斑と蓮の援護をしなさいよ!」
そう怒られた俺たちは反省をして敵を倒すことにした。今の状況は斑と蓮が相手2人を倒し残り1人になっていた。でも、相手が能力者なのでとてもてこずっているようだ。
蓮が相手に火の玉を投げているが相手が軽々と避けている。いや、瞬間移動してかわしている。
「どうやら相手の能力は瞬間移動のようだな。」
吹雪が俺にいってきた。相手の能力が瞬間移動としたらとても厄介な敵だ。攻撃をしても瞬間移動をしてすぐに避けられてしまうからだ。
さてどうする?相手に1発でも攻撃が当たればいいのだが?よし、まずは相手を探ってみよう。
「吹雪!相手に向かって氷の玉を投げてくれ。相手の動きを見てみたい」
「分かった」
そう軽く返事をすると手に集中してすぐに氷の玉を出し相手に投げつけた。相手はそれを瞬間移動をして軽々と避ける。んっ?何で相手は・・・・・そうゆうこと,そうゆうことだったのか!相手の弱点を見つけた。
「吹雪、今から作戦を伝えるから耳を貸してくれ!」
そして俺は吹雪に相手の弱点と作戦を伝えた。
「お前が考えそうな作戦だな。いいだろう、その作戦に乗ってやる」
そう告げると吹雪は手に力を込めていつもより大きい氷の玉を出した。
「準備はいいか?龍軌」
「ああ、いいぜ」
そして、吹雪が相手に向かって玉を投げた。それと同時に俺は相手に向かって走った。相手はまず氷の玉を瞬間移動で避けた。そして俺は相手が移動した瞬間を狙って思いっきり相手にパンチをした。俺が放ったパンチは相手の顔面に当たる。そして相手は倒れた。
「倒したのか?龍軌?」
斑が心配そうに聞いてくる。
「あぁ、何とかな」
それにしても危なかったな、ほとんど賭けに等しかったからな。
「でも龍軌。どうやって相手に攻撃を当てた?どんなに攻撃しても当てられなかったのに」
斑が俺に聞いてくる。
「それは簡単なことさ、相手が能力を使ったすぐに攻撃したらあたるんだ。俺は相手を見ていて疑問に思ったことがあったんだ。それは、なぜ瞬間移動をして攻撃しないのかって・・・。そして俺は1つの答えが導きだすことができた。相手は多分、移動する距離が決まっているんだと・・・。さらに、相手の弱点も見つけることもできたんだ。相手は移動する距離も短くさらに移動する時にはすこしの空白があることに俺は気付いただから相手に攻撃を当てることができたんだ」
「そうだったのか、だからお前たちはあんな行動をとったのか」
「そろそろここから移動しよう。さっきの戦いで結構、音を響いてしまった。」
「そうだな」
そして俺たちは厳しい戦いを乗り越えてまた駐車場に向けて歩き出したのである。
・・・・第7章に 続く
なにかありましたら、感想よろしくお願いします>w<