静岡県伊東市長の「学歴詐称」 その「重さ」はいかほどか?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「政治家の学歴詐称」として話題になっている伊東市の田久保市長について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
学歴詐称は公職選挙法で違反とされるぐらいなのですが……仕事をキッチリとしていれば問題ないような気もしますけど……。
筆者:
現実の一般人の入社の際の経歴や学歴詐称が発覚すれば「文章偽装」の罪、
それをもとに利益を得ていれば「不当利得」や「詐欺罪」、それに伴い給与返還、懲戒解雇にもなりかねません(高卒と大卒で初任給が違うこともあるためそれを理由に出来る)。
ただ、とりわけ仕事が周りよりも出来ていれば、もしかしたら“お咎めなし”でクビや減給にはならないかもしれません。
しかし、政治家ともなれば話はさらに重くなってきます。
質問者:
どういうことなんでしょうか?
筆者:
やはり政治家にとって経歴を詐称するということは「人格そのものに疑問が持たれる」ということになります。
勿論、学歴がその人間の全てを表しているわけではありません。
政治家の方の中には早慶、東大、ハーバード大を卒業していても「浅い」と思える方はいくらでもいますからね。
しかし、大学卒業の経歴が「努力と成果の基盤」であることは間違いなく、学歴が高ければ高いほど発言に「説得力」が出て、有権者の大きな判断材料となります。
令和に入って定員割れの大学も多く、どこの大学を卒業したかよりも、
どちらかというと、卒業できたかできていない(除籍)かは雲泥の差だと感じます。
そのために今回問題になっている田久保氏については「除籍か? 卒業か?」は大きな争点になっても不思議では無いと感じます。
※一方で学歴が無いことを「ウリ」に(例えば下克上的な要素)出来ることもありますので、あまり聞いたことはありませんが「逆サバ」も良くないことだと思います。
質問者:
そもそも、嘘を吐くだけで人間として信頼できなくなりますよね……。
しかも卒業しているかどうかは流石に認識できていると思えることですからね……。
記者会見の際に卒業証書と思われる文章を「チラ見せ」したにもかかわらず、25年6月28日には「東洋大学から除籍を確認」したというのはどういうことなんでしょうか……。
「卒業証書」とは一体……。
筆者:
まぁ、端的に言えば「文章偽装(有印私文書偽造罪・同行使罪)」ですよ。大学が除籍をしているのに卒業証書だけ“歩いてくる“とかはあり得ないですからね。
どう考えても「意図してやった」としか思えません。原本提出要請をしても頑なに拒否し続けていますからね。
確実にアウトだと思います。
これをまた、中国の業者が偽の卒業証書を作っているという週刊誌の記事(マネーポストWEB 8月12日の記事)もあるぐらいですから、恐ろしいことです。
質問者:
中々、卒業証書を提出されればそのまま信じる他ありませんからね……。
わざわざ学校に問い合わせることも無いでしょうし……。
筆者:
一部の選挙の配布資料では「東洋大学法学部入学」としかなかったので「卒業できませんでした」で済んだことだったと思うんですけどね。なぜか途中から妙なプライドを持ってしまったようで「卒業」に代わったみたいなんですよね。
話はちょっと違う方向になりますけど、こうした学歴や、職歴、資格などのデータに関してもマイナンバーと紐づけて管理していく方向になるのではないかと思います。
それがハッキングされて大騒動になるんじゃないかと危惧していますけど……。
◇なぜ田久保市長は粘っているのか?
質問者:
話は戻りますけど、
今回の静岡県伊東市の田久保さんは去年の兵庫県の斎藤さんの時と違って「完全ブラック」な気もしますし、リコールされたら市民も投票するとは思えず、再選の望みも限りなくゼロな気もします。
それなのにどうして、粘っているんでしょうか? 1日でも在職日数を増やしたいんですか?
8月13日の100条委員会の答弁だって卒業証書を会見で見せたのが10秒なのか……19.2秒なのか……なんて正直言ってどうでもいいことじゃありませんか?
筆者:
見せる秒数などは、全く持って無意味な議論で「論点ずらし」でしょうね。
どうしてこんな無意味なことをしているのか?
ここからはソースは無く、僕の憶測だということを前提に話を聞いて欲しいのですが、
この田久保市長というのは25年5月25日に伊東市長に当選したばかりなんですね。
それもその前の職は市議だったのですが、ギリギリで市議に当選(最下位)するようなレベルだったために、「反自民票が入った」だけです。
田久保氏の実力というよりも「風」で当選したに過ぎないのです。
質問者:
確かに、ここのところは自公に対する不満が爆発しつつあるので、「反自民」でまとまるだけで当選しそうな機運すらもありますよね……。
筆者:
そして注目して欲しいのは「日付」なのですが、3カ月以内に「当選無効」になりますと次点の方が繰り上がることになります。
有権者としては選挙が無い方が政治停滞も無ければ、選挙費用もかけなくて良いというメリットがあるわけです。
ここで「当選無効」となるには「3カ月以内の裁判による当選無効訴訟」のみなのですが(議会の不信任決議や辞職では失職にはなるが当選無効にはならない)、「事実が確定」しなければこの裁判を凌げる可能性があります。
既にこの件で刑事告訴はされているので超スピードで判決が出れば当選無効の可能性はあります。
このために「田久保氏を応援していた勢力」というのからしたら、当選無効になればあっという間に伊東市で野党に逆戻りするために、「のらりくらりと田久保市長かわしてくれ!」と思っている可能性が高いということです。
勿論、表では否定するでしょうけどね。
8月26日以降に味気なく辞任したらこの説はかなりの精度で高いと思いますけどね。
質問者:
うわぁ……なんだかとてもセコイ話に聞こえてきました。
今の現伊東市長与党側が下野したくないから権力にしがみついているかもしれないだなんて……。
筆者:
もっとも、次点だった方は前職で2回連続自公推薦を受けて伊東市長に当選された方で、メガソーラーを推進していたので、
選挙をやり直して選びなおした方が良いのかどうかは地域住民の感覚次第だと思いますけどね。
僕は伊東市民ではないのでその辺りの“空気感”は全く分からないんですけど……。
質問者:
いずれにせよ何だか悲しくなってきますね……。
「政治を変える」と思って投票しに行ったのに、当選無効にしろリコールにしろたちまち失職してしまうだなんて……。
筆者:
日本の民主主義最大の脅威は「野党があまりにもしょぼすぎる」ことにあると感じています。
野党がしょぼい分、自民党が胡坐をかいて好き勝手に政治を行うことが出来ました。
今ようやく、国民の怒りが爆発して衆参過半数割れと言う事態になりましたが、
12年ほどは「やりたい放題」やっていたわけです。
質問者:
伊東市みたいなことが起きると政治を変えたいと思っている方々も投票に行く気をなくしかねないですね……。
筆者:
伊東市民が政治不信に陥らないことを心の底から願いたいですね。
国民側としては選挙にひたすら行って、日ごろから意見を発信することぐらいしか出来ることは無いです。
しかし、政治について国民が諦めた瞬間そこで既得権益側の思う壺になります。
彼らとしてみれば組織票を全開にして「無風選挙」になった方が「その他の国民」の意見を無視出来てやりやすくなるわけですからね。
「どんな悲惨な候補者同士の選挙」だったとしても投票所に足を運ばない選択肢はありません。
これからも投票や情報発信に際して参考になる情報を僕なりの視点で発信していきますのでどうぞご覧ください。