✒ 事情聴取
◎ 読者の皆さん、御早う御座います。
「 」の会話の書き方を少し変えてみました。
読み易いかは分かりません。
「 えぇっと──君! もしかして、槌鳳霙逝虎さんで良いかな? 」
「 違いますけど…… 」
「 えっ!? 違う?? でも先輩から貰った写真には── 」
「 ふはっ(////)
知らない人に名前を聞かれて『 そうです 』って答える不用心な現代っ子は居ませんよ? 防犯ブサーを押しても良いですか? 」
「 えぇ!? 防犯ブサーは困るな……。僕は刑事だよ 」
「 刑事さん? 警察手帳も見てくれないのに “ 信じろ ” って言うんですか? 」
「 あっ──。そうだよね 」
自称 “ 刑事さん ” は警察手帳を出して見せてくれる。
「 それって本当に本物の警察手帳なんですか?? 最近は本物と見間違えるくらい良く出来た精巧な偽物の警察手帳を見せて、子供を誘拐するコスプレ犯罪者も居るんですよね? 本当に信じても大丈夫なんですか?? 」
「 疑り深いんだね、今の子は── 」
「 色んな誘拐犯が居るってニュースで見ますし、バラエティ番組の再現ドラマとかでも見ますから……。疑って警戒しちゃうのは自然な反応だと思いますけど? 」
「 確かにね……。ごもっともです…… 」
「 ふふっ──。刑事さん、私が “ 槌鳳霙逝虎 ” ですよ。学校の校門前で何してたんですか? 」
「 槌鳳霙逝虎さん、君を探していたんだ。えぇと──井夫間智恵理さん,戸髙萠果さん,谷岡陽世美さんの3人を知っているかな? 」
「 知っているも何もクラスメイトですけど……。今日は3人仲良く欠席していましたよ 」
「 だろうね 」
「 その仲良し3人組が、補導でもされたんですか? 」
「 補導か……。そうだったら良かったんだけどね…… 」
「 補導しようとしたら逃げられちゃいました? 」
「 そういう訳じゃないんだ。槌鳳霙逝虎さんは3人と出掛けていたよね? 」
「 土曜日の事ですか? 確に3人と細江君と他所のクラスの男子3人の8人で出掛けましたけど…… 」
「 その話を詳しく聞かせてほしいんだ。
井夫間智恵理さん,戸髙萠果さん,谷岡陽世美さんの事も詳しく教えてくれないかな 」
「 私は構いませんけど……。
私は井夫間さん達と親しい訳じゃないですよ 」
「 えっ? そうなのかい? 」
「 それでも良ければ話しますけど…… 」
「 助かるよ。じゃあ、パトカーに乗ってくれるかな? 警察署で話を聞かせてほしいんだ 」
「 ………………。なんか、私が悪い事して連行されるみたい…… 」
「 あ…はは……。話を聞く場所は[ 取り調べ室 ]じゃなくて、[ 応接室 ]だよ。紅茶と茶菓子を出すし、安心してほしいな 」
「 ………………誤認逮捕されない?? 」
「 しないよっ!! 槌鳳霙家の御嬢さまを誤認逮捕なんてしたら、此方の首が飛ぶだけじゃ済まないからね 」
──*──*──*── パトカー
刑事さんに促されてパトカーに乗り込む。
私は後部座席に座って、刑事さんは助手席に座る。
パトカーを運転するのは別の刑事さんみたい。
「 私は分家の末端だから、“ 御嬢さま ” じゃなくて、“ お嬢さん ” の方かな…… 」
「 警察組織からすれば、分家も本家と同じだよ 」
「 私は一般の私立高校に通っている落ちこぼれ…なんです。小学生の時に事故で式神を失ってしまったから……。その日から私は何の力も無い役立たずな小娘なんです……。そんな私に本家が私立の教育費と交通費を全額出してくれるのか不思議なくらいで…… 」
「 凄いよね! 教育費と交通費を全額出してもらえるなんて! 本家から期待されてるんじゃないのかな? 」
「 違うと思いますけど……。刑事さん、どうして本家が分家の小娘に其処迄してくれるのか調べてもらえませんか? 」
「 えぇ?! それはかなり難しいかな……。槌鳳霙本家には下っ派の刑事が関わる事は出来ないからね 」
「 そうなんですか……。事件が起きないと警察は動いてくれない──って本当なんですか? 」
「 そ…そうだね……。実際に事件が起きないと動けないのは事実だね…… 」
「 優秀な探偵さんの知り合いとか居ませんか? 」
「 あはは…。ドラマや映画じゃ有るまいし、そうそう名探偵と知り合いって事はないよ 」
「 そうなんですね…… 」
車内で刑事さんと色々な話している間に《 警察署 》へ到着した。
──*──*──*── 警察署
──*──*──*── 駐車場
《 警察署 》の[ 駐車場 ]にパトカーが停まる。
パトカーから降りて、歩いていると《 警察署 》の中から陰陽師の格好をした人が出て来た。
まるで平安時代からタイムスリップをして来た様な人で──、男性なのか女性なのか話してみないと判らない感じ。
沢山の警察官が頭を深々と下げては丁寧に挨拶をしている。
凄い人なのかな?
「 刑事さん、あの人は誰ですか? 」
「 えっ?! あの方を知らないのかい!? 有名な陰陽師で水墨画を嗜んでおられる方だよ。槌鳳霙家は獅聖幻夢さんとの面識は無いのかな? 」
「 獅聖幻夢?? 分家の末端だからかな……聞いた事の無い名前です。陰陽師なら本家の人なら面識は有るかも──。沢山の警察官に挨拶されてますね 」
「 実際に凄い人だからね。《 警察署 》で偉い方々が挨拶をされているね。僕達も挨拶しないと── 」
2人の刑事さんは私を置いて《 警察署 》の入り口へ駆け足で向かって行く。
「 行っちゃった。
( 怨君、私達も行こっか )」
〔 ──ユコちゃん、彼奴……やべぇ──、彼奴……に…人間じゃねぇ──。人間の振りしてる異形だ…… 〕
「( 異形? 怪異とは違うの? )」
〔 殆んどの怪異は霊感の強い人間にしか見えねぇけど、異形は霊感の弱い人間にも普通に見えたりすんだ。彼奴……もの凄く強えぇよ。俺でも勝てねぇ…… 〕
「( 何で戦う前提で見てるの? 別に戦う必要なんて無いでしょ? 此方が手を出さなきゃ向こうだって知らん顔してくれるんじゃない? )」
〔 ユコちゃんは暢気だな…… 〕
怨君ったら姿を火の玉に変えて、私の髪の中へ入って隠れちゃった。
怨君って、沢山の術師を倒しちゃうくらい強いのに──。
そんな怨君が警戒する陰陽師って……。
私も警戒した方が良いのかな?