9.第一回食卓会議(円卓編)
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“はぁぁ〜“
言わんこっちゃないって顔で、ため息を吐くサイネリア。
「五百歳ってどう言う事だ?サイネリア。」
「そうですよ!どう言う事なんですか?サイネリアちゃん。」
興奮冷めやらぬ二人。
「まぁまぁ落ち着け、二人とも。アツシは知ってると思うが、私は“治癒の能力“でな。ほれ、試しに。」
そう言って、近くのフォークを手に取ると、
「おりゃゃ!」
と可愛い声で言っておきながら、隣いた俺の、テーブルに置いてある右手にフォークをぶっ刺す。
「いっったぁぁぁ!!」
絶叫を上げる俺。
「ぎゃぁぁ!!!」
絶叫を上げる紗雪。
痛がる俺をみて、笑いながら治癒の能力を使うサイネリア。痛みはあっという間に消えて行く。
「す、すごいですねぇ〜、本当に傷が消えてく。」
「何感心してんだよお前は!」
本気のツッコミが出る。
「いいかサイネリア。今後その能力を証明する時、絶対に俺をまた刺したりとかは、絶対するなよ。痛みが消えればいい訳ではないんだからな!」
「わかったわかった。もうこのやり方は二度とせん…多分…。」
笑いながら返してくるサイネリア。
「でも本当にすごい能力なんですね。しかも治癒のスピードもすごく早いですし、相当能力のレベルも高いんですね。」
「そりゃ五百歳も生きていれば、勝手に強くなっていたさ。」
「そうだった。なんでサイネリアは五百歳も生きていられるんだ?」
“うんうん“と横で頷く紗雪
「私の能力の“治癒の能力“はほぼオートで私に掛かっていてな、私が6歳の時にこの能力を得て、そこからと言うのも成長速度もかなり遅くなり、生き続けている。私の能力は万能という訳でもなく、今の話の通り多少の病は治せても、呪いの様な類の物は治せない。だからこうして、この私の体に掛かった呪いは消せず、ずっと体の成長は止まったまんまなんだ。」
「なるほどな、ならそこからずっとその身体で生き続けて来たって事なんだな。」
なんだか寂しい話だ。
俺も紗雪も少し下を向いてしまう。
「おいおい二人とも、そんな下を向いて、同情してほしくて、言ったわけではないんだ。ただ分かっていて欲しかっただけなんだ。」
「サイネリアちゃんもそう言ってくれてる訳ですし、取り敢えずこの話はやめましょう。それに、サイネリアちゃんの能力なら、クエストもなんも怖くないですしね!」
起点をきかす、紗雪。
「俺とサイネリアは金がない。まずは金を作る方法を探して、住むところを作るところからが、スタートラインだな。」
「私は、ここの二階の部屋を間借りさせてもらっているのですが、ならプレリアさんにお願いしてみましょう!いやいやいいながら、絶対許してくれると思います!」
ありがたい。ここまで紗雪におんぶに抱っこだ。
話していると大量のご飯が届き始める。プレリアさんもご飯を持って来てくれる。そこで紗雪がお願いをしてくれる。俺たちも声を合わせてお願いする。
「お願いします。」
三人で頭を下げると、文句はこぼしながらも、了承してくれた事により、宿問題は解決。
「いっただきまーす!」
問題解決した瞬間ご飯を食べるサイネリア。
相当腹が減っていたのだろう。
「なら後はお金を稼いで行く事だな。そうしないと次のステップには進めないしな!」
「なら明日、早速クエストに行ってみるのはどうでしょうか?簡単なものも沢山ありますし!」
「よし。なら決まりだな!」
さっきから喋ってないサイネリアを見ると、話しそっちのけで、飯をドカ食いしている。
「う、うまぁ〜」
蕩けた顔で言っている。
「じゃ俺たちも、あったかい内に飯を食べるとしようか。」
そう紗雪と手を合わせてご飯を頂く事にした。
“これからもやる事は増えそうだ“
そう思いながらも、現実の頃では考えられらない幸せな悩みを、美味いご飯と合わせて、噛み締めて皆んなでご飯を食べ進める。