22.レシウス国王
サイウスは重い口を開き話し出す。
「僕にはかつて兄がいたんだ、名は〈レシウス〉この国の次期国王になる予定で、歳は僕より7つ上、優しく聡明で、庶民であっても奴隷階級の者でも対等に接する僕の人生で一番尊敬した人だよ」
「サイネリアや紗雪は知ってるのか?」
「私は2年ほど前にこの国に来たので、サイウス様には失礼ですが存じ上げておりません…」
首を傾げる紗雪。
それに対してサイネリアも答える。
「ワシも聞いたことある程度じゃな『レシウス次期国王暗殺事件』何者かによって暗殺され、未だその犯人は失踪中……この国の中でも過去一番の大事件」
「ていうかサイウスに本当は兄貴がいたんだな」
「アツシやサイネリアちゃんは他国から来たと言っていたね、だからあまり詳しくないだろうから、もう少し細かく話そう…」
サイウスは話はじめる。
―――レシウス次期国王暗殺事件
今から七年前、ニヴヘルム軍と隣国〈アーランド バギロニア〉との共同軍事作戦を経て、邪心教の者達が占拠していた現在はニヴヘルムの西部に位置する〈トトニリア〉の土地を巡り、戦争を起こしアーランドとニヴヘルムが手を取り合うことで、無事勝利を得たまでは順調だったが問題はその後……
突然の助けの申し出を出したアーランド側とそれに手を差しのべた実質この戦争を勝利に導いたニヴヘルム側。
互いが手を取り合い、激しい戦闘を経て、無事勝利をを納めたこの戦いは統治した後の土地をかけてニヴヘルムとアーランドの静かな戦いを起こす新たな火種となってしまった。
戦争の終わりは新たな戦争の始まりを意味していた。
戦績や武功、土地に残存した兵や民の声、立地環境から来る適正調査、各々を調べてもニヴヘルムの土地になる事は協議をする意味もない程に固まっていた。
但しそれはあくまでニヴヘルム側の話であり、当然アーランド側はそれを断固拒否。
ニヴヘルムと比べても軍事の成長力や武器の成長も遅かったアーランド側は死者も多く出していたため、せめてもの土地は回収したいと強く願っていた。
但しその願いは聞かれる事は無く、話は進んでいき、最初は純に願っていたその想いはやがて、恨みに変わり、憎悪や悪意に変わっていった。
当時ニヴヘルム軍の最高指揮官で、この戦争の立役者とも言われたのがサイウスの兄〈レシウス次期国王〉だった。
当時の国王だった〈ラルスル国王〉はすでに前線に立てるような年ではなくなっていたため第一子であったレシウスが大戦の指揮をとった。
レシウスの活躍は凄まじいものであった。
まず圧倒的頭脳を活かした軍事作戦。
他の国では基本軍の中でも割りを作り担当を与えることでその分野に特化した者たちを集めて軍を編成するが、レシウスはそんな専門分野を極めた者たちを超える飛び抜けた推察力と圧倒的洞察力と徹底した情報収集で他国を寄せ付けない作戦を編み出し続けていた。
その上武力も国の中でもトップスリーに入る折り紙付き。
単なる力の強さもさることながら、精密さや細かさ、駆け引きの強さなどどれをとっても完璧な正しく『国王』になるには相応しい人物だった。
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