22.それぞれの覚悟
お盆休みで全く活動できなく反省しております!!
心機一転今日から頑張ってまいります!
「ええぇぇー!!」
「アツシさん!!声!!」
散々注意してたのに、衝撃に声を荒げるアツシ。
「気をつけて下さいね!!」
さっきまでそれでグーパンを喰らっていたのに、優しい対応の紗雪。
「驚かせてすまない。ただ僕も息抜きをしたくてね。立場があると疲れることも多くて…」
「ほぇぇー」
二人の声がかぶる。
少しの沈黙を破り、アツシが口を開く。
「って言っても、これは俺からも話したかったんだが今回のクエストを経験して、なにわともあれ帰って来れたが次にまた二人がクエストに行くかを聞きたかったんだ。」
「え?」
紗雪は驚いた顔で声が漏れる。
「今回のクエストで俺たちは死に頻する経験をした。正直俺は怖かったし、次同じ事が起きた時、みんな無事でまたこうして帰って来れるかも分からない。だからこそもう一度確認したかったんだ」
「そんなの!もちろんこれからも一緒にパーティーを続けるに決まってるじゃないですか!!」
食い気味に答える紗雪。
「怖くなってしまったのかい?」
サイウスはアツシに問いかける。
「いや……」
何かの言い訳をしようとしたが、言葉が詰まるアツシ。
「怖くなったんだ。二人を失うのが」
アツシのボソッと吐き捨てた言葉はこの場の空気を重くする。
「確かにアツシの言ってる事はよく分かるが、それで本当にアツシはいいのかい?それは寧ろ逃げることにもなるんだ」
“そんなこと分かってるーーーでも……でも怖いんだ“
アツシはみんなとの再会を果たして、よりこの幸せが崩れるのが怖くなる。
強く握る右手は微かに震えている。
「で、でも私は怖くてもまだ皆さんといたいですし、クエストに行きたいです!!」
紗雪はアツシをまっすぐ見て強く気持ちを伝える。
「アツシはそもそも何でこの街に来て、クエストに行こうと思ったんだい?」
サイウスはアツシに核心を問う。
寝ているサイネリアを一度見て、アツシは本音を吐露する。
「俺は正直この世界の事なんか本当に分からないし、何が今この世界で起きてるかも分かってない。ただずっと退屈だった。何も起きずひたすら永遠に果てしなく続く未来に下向きに歩く自分がいたんだ。そんな矢先にサイネリアと出会ってここ数日で俺の人生はガラリと変わった」
“んんっ“
誰かに気付かれる事なく、寝ているサイネリアがぴくつく。
「サイネリアに手を引かれて、なんだか分からない能力を手に入れて、紗雪という仲間とサイウスっていう友達が出来て今までの人生が嘘みたいに嬉しいことばっかだったんだ」
サイウスと紗雪は真剣にけど少し嬉しそうに聞いている。
「そんな幸せな矢先、今回の事があり、一度死んだと思ったら帰って来れたものの、あの時二人を失うと思った時本当に怖かったんだ。次におんなじ事が起きたら…そう思うと…」
アツシに檄を入れるサイウス。
「だからこそ、君達は強くなるべきなんじゃないのかな?今ここで逃げてもいずれ戦いの時は来て君達は戦わないといけなくなる。その時何も出来ずただやられるのか、今強くなって多くの同じ様な弱い人を守るのか」
「弱い人を守る……か」
「あぁ。そうだ。君の持つ能力をまだこの目では見てないが英雄の資格を持つ者の能力なんだろう。ならその使命を果たすべきだと思ってくれないかな?アツシ」
葛藤するアツシ。
その時後ろのベットでスヤスヤ寝ていたはずのサイネリアは起き上がる。
「サイネリア!?もう大丈夫なのか?」
「サイネリアちゃん!よかった!」
二人は嬉しそうにサイネリアにかけよる。
「おい!病み上がりにいきなり鬱陶しいぞ!」
いつもの毒舌にニヤニヤ嬉しそうな二人。
「サイウス騎士長、話は聞かさせてもらった。」
「サイウスでいいよ」
「アツシ、紗雪、迷惑をかけたな、久々の能力をフルパワーで使った代償でこうなったが、二人がいなかったら私はあの場でダメだっただろう」
起きてすぐ感謝を述べるサイネリア。
「そんなのパーティーだし、仲間なんだ当たり前だろ。」
アツシが答えるのに、頷きながら
「そうです!そうです!私の大切な仲間なんですよ!皆様は!」
サイウスもなぜか含めて話す紗雪。
「先ほどの話の続きだが、私はこの世界で今起き始めている、ワールドブレイクの原因を突き止め、争いを無くしたいというのが大まかな目的だ」
話を戻して、今一度目標を伝えてくれるサイネリア。
「私は皆様のような大きな目標はないですが、強くならないといけない理由がありまして、パーティーを組んでくださったあの日から断る理由はありません!!」
紗雪も覚悟を決める。
「僕はいつまで入れるかも、不定期の参加になってしまうがそれでもよければ、僕としても見てみたいこともあるし、アツシ達との冒険は楽しそうだ。是非参加さしてほしい。」
サイウスも何か隠した目的を持っているように返事をする。
「そして残ったアツシ。改めてどうしたいんだ?実際今回の事で怖気付く気持ちもわかる。でも逃げていても何も始まらない。なら今こそ、過去の自分を捨てて、得たその能力と共にもう一度私達と生まれ変わってみようと改めて思わないか?」
サイネリアはアツシに対して、優しく、それでも決意を固めるよう促す、
アツシは深く息を吸い考える。
生まれ変わる前、人間界のアツシには何も無かったのに、今はでは守る物ができ、失いたくないという心の悩みができていた。
『下を向いてはダメ』
アツシは母の言葉を思い出して前を見ると、みんなが心配そうにでもハッキリと伝わる、仲間として、大切な友人として見ていてくれていた。
そんなみんなの顔を見て『覚悟』が決まるアツシ。
理由なんてない。ただ守りたい物がいて、大切な物ができた。それだけの理由で、でもそんなにも大切な理由ができた。
「分かった!俺も皆んなと一緒に行くよ!」
アツシの言葉を聞き、皆が嬉しそうに、ホッとした顔になる。
「良かったぁ〜!もうアツシさん!心臓に悪いですよぉぉ〜!」
「生意気な発言を許してほしいが、苦しい決断だと思うが、これでまた一つ大きな成長をしたと僕は思うよ。」
「ありがとう。アツシ。」
みんなの嬉しそうな言葉に、アツシの震えは無くなり、安心と、心のどこかの傷が癒えていく。
「とは言え、今回の事でも分かるように君達、いや、今は僕達は改めてもっと強くならないといけない」
サイウスが話す。
「それはそうだな……なら早速……」
アツシが引き延ばす答えに皆が耳を傾ける。
「紗雪だけ特訓だな!!」
「なんで私だけなんですかぁぁ!」
アツシのおふざけに皆が笑っている。
サイネリアの病室は先程までの空気とはかわり、笑顔と温かい空気が包み込んでいた。
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