20.優しい騎士長 サイウス
今回も読んでいただきありがとうございます!!
毎日投稿チャレンジ引き続き継続していきます!
たくさんの皆様に読んで頂ける様になってきて嬉しいばかりです!
「サイウスじゃねぇか!!」
この世界の数少ない友人とも呼べる存在に会えて、嬉しそうなアツシ。
「話を聞いて焦ってきてみたら、何やらすごく元気そうで安心したよ。」
ホッとした顔で話すサイウス。
「ならここらで私は席を離させてもらうよ。」
先生が席を立ち上がる。
「ありがとうございました。」
感謝を伝え、頭を深く下げるアツシ。
「体の傷は治療を施してあるが、さっきの様な痛みがまた起こる様ならすぐ周りの看護師に伝えてくれ。」
先生の言葉を聞いて、少し驚いた様にアツシを見るサイウス。
「フレイム先生。無理を聞いてくれてありがとうございました。」
サイウスも深く感謝を伝える。
「王国の騎士長ともある君がこんな老いた医者如きに頭を下げないでくれ、君のお願いだ。なんでも聞かせてもらうよ。」
そう優しい笑顔で言って部屋を後にする先生。
「なんだよサイウス、フレイム先生をしってるのか?」
「知ってるも何もフレイム先生はこの街の医者の中でもトップの人だよ。僕も凄くお世話になっているし、そんな先生からアツシの今回の話を聞いてね、心配も含めて帰って早々来たところだよ。」
「心配してくれるなんてサイウスは優しいなぁ。」
嬉しそうなアツシ。
「体はもう大丈夫なのかい?」
「そんなとこまで知ってるのか、話が早いな!」
「このニヴヘルムで起きる『異様な出来事』は全て報告が入ってくるからね。アツシがあの村で何があったのかも大まかな話を聞いてね。」
話しながらアツシの横に腰をかけるサイウス。
「横失礼するよ」
「お、おう」
「まさか昨日出会った君が早速何かの事件に巻き込まれたとなって、いても立ってもいられなくてね。大怪我を負っていると聞いて慌てて来た物だが…」
イテテッ!
軽くサイウスはアツシの肩を触る。
「思ったより元気そうで安心したよ。」
「俺としては死にかけた上で今の元気なんだがな。」
「らしいね」
そう言って笑いあう二人。
「君の行ったあの村は数日前には影の掃討をしたはずの村なのだが、まさかこんな事になったとはね…。災難だったね。」
「俺は今だに影だのなんだのよく分かっていないのだが、初クエストでまさかあんなに強い奴がいきなり現れて死にかけるとは誰も思わないだろ。」
「ただアツシ。君は傷の治りが凄く早いんだね。」
アツシの体を見てサイウスは話す。
「これはほとんどここの治療とサイネリアのお陰なんだ。あいつが戦いの中で、俺ともう一人のパーティーメンバーの紗雪を全力で治癒してくれたからこんなけの傷で済んでるんだ。」
「サイネリアちゃん……あの少女の事かい?」
「そうだ。昨日俺の横にいたあの子だ。」
「サイネリアちゃん凄くいい子なんだね。自分の身を投じてまで味方を助ける。素晴らしい事だよ。それに聞いてる話でもかなりの治癒の使い手なんだね。」
サイネリアの事をサイウスに褒められて誇らしげながら、どこか心配が拭いきれないアツシ。
「あいつは確かにすごいが…いくら何でも無理をさせすぎたのか、最後に倒れちまって今もこの病院のどこかで治療を受けているはずなんだ。」
それを聞くとサイウスはアツシの痛めた肩を優しく持ち上げる。
「イテテッ…。何だよいきなり、痛いって言ってるだろ。」
痛がるアツシをみて、笑っているサイウス。
「なら病院にいるサイネリアちゃんを見に行こう。」
「そんな事していいのか?」
「もちろん!僕がいればそう怒られる事もないだろうしね。それにアツシ。さっきの話ぶりからしても君も心配なんだろう?」
アツシはサイネリアの事を思い出す。
「俺が弱いせいでアイツはあんなボロボロになるまで、戦う事になったんだ。心配じゃないわけないだろ。」
右手の拳を、強い感情混じりに“ギュッ“と握りしめてアツシは話す。
「なら決まりだね。僕もまだまだ君から聞きたい事もあるし、歩きながら話そう。」
サイウスは顔に変なお面の様なものを付ける。
「なにふざけてんだよサイウス。変なお面なんてつけて。」
アツシが笑いながら質問する。
「僕は騎士長兼王族というのもあってね。顔を出して歩くと静かな病院が騒がしくなっても行けないしね。」
そう自信満々気味にお面をつけて話すサイウス。
“どう考えても目立つだろ!!“
心の中でツッコミを入れて、余計に悪目立ちしそうなお面をつけたサイウスとアツシは話しながらサイネリアに会いに行く事にした。
感想や⭐︎の評価、ブックマーク等、大変嬉しいです!!
お待ちしております!!




