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17.家に帰ろう

ランキングを上位まで上げていただきました!

PV数も600まで伸びて、

嬉しいかぎりです!これからも頑張ります!

 “ボキッッ“


 生々しい音と共に、突き上げた右腕が変な方向に曲がっている。


 「いってぇ〜!!あぁ〜ちきしょう!腕が痛すぎるぅ!!」


 先ほどのデコピンで右腕全般の骨が粉砕してしまい、ボロボロの右手には電気が、昨日より強く纏っている。


 「サイネリア!頼む!俺の右手を早く直してくれ!」


 「もう……む…り。」


 “スゥ〜スゥ〜“


 無理と言う言葉だけを残して、限界が来てしまったサイネリア。


 心の中に声が聞こえてくる。


 「よくやった、しばらくまた話すことはないが、本当に困ったときは俺を呼べ。」


 ルシファーがそう言ってきて、声が聞こえなくなると同時に、右手の電気が消えていく。


 足を引きずりながら、フラフラでこっちにくる紗雪。


 「多分サイネリアちゃんは、能力の使いすぎだと思います。」


 確かに、サイネリアには無理をさせすぎた。


 自分の回復に、俺達の回復、さらに攻撃と作戦指揮とまぁ、明らかに無理をしている。


 「今はゆっくり休ませてやろう。」


 「そうですね。アツシさんは歩けますか?」


 「何とか…な。サイネリアも丁度、おんぶの様になってるし、取り敢えずは帰って回復しよう。」


 サイネリアを左手で支えながら、取り敢えず帰ろうとした時。


 「私は死んでいるのだな……。」


 騎士の声が聞こえる。


 腹を円状に吹っ飛ばされ、お腹には大きな穴が空いている。


 「あの日、国を守る為に襲ってきた影の軍勢と戦って敗れた私は、そこからの記憶がない。」


 「お前まだ生きてたんだな。もう戦う意志は無さそうだが。」


 騎士はどんどん光に包まれていく。


 「もう戦えそうにはないな」


 少し微笑ましく話している。


 「私は影の軍勢を率いる者の一人に、影となった上で操られていたらしい。それを貴様が最後の攻撃で吹き飛ばしてくれた様だ。感謝する。」


 「あんたは一体何者なんだ?何処かの国の騎士長とか何だろ?そんなに強いんだ。」


 「私は“エルシナフル妖精国》の第二騎士長、《アレン ウォー エルフスタイン》、負けて、敵のオモチャとなるとは、滑稽な話だな。騎士長とは名ばかりだな。」


 「あんたみたいに強いやつでも、敵わないぐらい敵は強いのか?」


 「あぁ、貴様でも歯が立たんほどにな。だからもっと強い仲間を沢山集めろ。あの者達はいずれ、其方の国も滅ぼしにくるぞ。」


 エルフスタインでも歯が立た無いと聞いて、金玉が震え上がる。


 「そろそろ私も限界の様だ。お願いがある。この首飾りを私の国に行く時があったら、《フリーシア エルフスタイン》と言う名の少女に渡して欲しい。私の唯一愛し、大切にしてきた娘の様な子なのだが、もう私が会うことは出来まい。」


 悲しそうな顔をして話すエルフスタイン。


 「あんたとの約束、必ず守るよ。すぐには無理でも必ず。」


 強く首飾りを握る。

 

 「ありがとう。これで私も心置きなく成仏できそうだよ。心に残すことはない。王国の、女王を守る剣としての使命を全うし、戦士として、今ここで貴様に倒されて死ねる事を感謝する。」


 「俺もあんたと話せてよかったよ。もう影になんかなるなよ…。」


 「最後にもう一度、もう一度だけあの子の待つ『家に帰りたかった』。帰ってあの子を、力のかぎりこの手に抱きしめたかったよ。」


 優しい笑顔で、大粒の涙を流しながら、エルフスタインは消えていった。


 「何だかすごく私…寂しいです。あんな人と戦ってたなんて…。」


 「でも。今度は家に帰れたんじゃないか。安らかな心で帰れたと俺は思うな。」


 「そうですよね。そうじゃなきゃ嫌です。」


 泣きじゃくる、紗雪。


 『俺たちも、家に帰ろう。』


 転移陣に歩いていく。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 そんな様子を空から見ている男と女。

 

 二人共、天使のような羽を持っている。


 「あのへっぽこ騎士を倒しちまうとは、噂以上だな。やつの能力は。」


 男の方が話す。


 「多分すでに〈失墜の力〉も混ざっている。計画を早めるぞ。」


 女の方が答える。

 

 「はーいよ!」


 二人は何処かに消えていく。

今回も読んで頂きありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
絶体絶命の窮地をなんとか切り抜けた三人ですが、天上の二人といい、まだまだ波乱は続きそうですね。
一気に読みました!すごく面白かったです! サイネリアさん、500歳で美少女の姿をしてるってことは相当成長遅くなってそうですね…… 側から見ればちょっと羨ましいと思う反面、本人からしたら辛いなんてものじ…
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