13.居ないはずの敵
今日は休みという事もあり、二話目もあげさせてもらいました。
ランキングにまた乗れて嬉しい限りです!是非楽しんで読んでいただけたら、幸いです!
“シュィン“
村の入り口横にある、転移陣の上に転送された。
「よし。取り敢えず早速仕事に入ろうか!」
「よっしゃ!ちゃっちゃっと終わらせて美味い物だ食べよう!」
とサイネリア。
「いいですねぇ〜。」
と微笑む紗雪。
「取り敢えず村の中央に在る聖光網包守は最後で大丈夫だろう。この村には今の入り口から見ても、八つしか家がない。後は村の中の道に落ちている多少の防具や剣などの残しものぐらいだろう。順番に三人で回って行って、生存者と防具などを集めていく事にしよう。集めた防具などは全て、入り口付近の回収用荷車があるからそこに集めておく様にとのことだ。」
二人とも頷く。
「よし!やるぞ!」
村の中に入っていくと、先日のこの村での起きた戦いを物語るかの様な、崩壊具合だった。
辺りには血が飛び散り、家は崩壊し、以前あったであろう村の面影は無くなっていた。
「何だか、悲しいな。」
見慣れない光景に、この世界の現実と、あっさり進めて行っているが、一度冷静に成るべきだと固唾を飲む。
少し手が震えてきている俺を見て、サイネリアが俺の手を握ってくれる。
「怖がる必要はない。今ここに影はいないし、私と、紗雪も居る。今はまずこの仕事を終わらせよう。」
「そうですよ!アツシさん!時間もあるんだし、ゆっくり行きましょう!」
「ありがとう。一度深呼吸するよ。」
深く息を吸い、目的の仕事を終わらせていく。
落ちている防具などを集めて、各部屋や家の裏、いろんな所を隅々まで見ていく。
受付嬢の言う通り、生存者もいなさそうだ。少し慣れてくれば、落ち着いてやれるクエストなんだろう。
そう自分に言い聞かせて、次々と家の確認を終わらせていった。
紗雪も、サイネリアも思ってた以上に動いてくれて、慣れ始めてくれば早いものだった。
「よいしょっと。あ〜重たい!」
久々の運動に加え、防具などの運搬といった、重労働に紗雪が悲鳴をあげてやっている。
「おい、紗雪!サボらず、一回でもっと持っていけ!私とアツシの量が増えるだろ!」
そう文句を言いながら、鎧の兜の部分だけ持って運んでいるサイネリア。
「おい、サイネリア。何だ言って、一番お前が運んでないんだから、文句を言うな。」
「そりゃ私は見ての通りこの体なんだ。持てる限界がある。正しくキャパオーバーだよ。」
そんなこんな言いながら、全ての家、通路などの確認をもう一度して、残したものがない事を確認したら、最後に聖光網守枠の動作の確認だけをしに行く事にした。
「何だか終わってみればアッサリだったな。」
「そりゃそうだ。別に敵がいるわけでもないし、あくまで今回は、最後のお尻拭きみたいな仕事をしてるだけなんだから、さっきまでビビって手を震わせていたくせによく言う。」
ニヤニヤしながら、イジってくるサイネリア。
「そんな事ばっか言っちゃダメですよ!サイネリアちゃん。誰だって最初は怖いものですから!」
と優しさを出してくれる紗雪。
「優しいな紗雪は。ただ確かに一様ではあれど、リーダーとしてこんなことで怖気付いてはいけないな。ありがとう二人共。」
褒められたことで、少し照れている紗雪。
自分の中でも反省をして、聖堂に到着する。
入り口の大きな扉を、三人で押して入っていく。
“ギギィィィ“
扉の軋む音が聖堂内に、響く。
「ここだけは、血の後も、戦った形跡もないんですね〜。」
辺りを見渡して紗雪が話す。
“ん?“
何か違和感を感じるサイネリア。
「みんな聞いてくれ。何か嫌な感じがする。まさかとは思うが早く装置を見に行って、ここを出よう。」
サイネリアが少し考えながら話す。
「ん?どう言う事ですか?」
紗雪が聞く。
「あまり説明をここでしてる暇はないが、何かここだけ様子がおかしい。」
サイネリアがそう不安そうに話すのを見て、少し怖くなった俺は三人で急いで装置を見にいくと、サイネリアの予想通り機械の電源が落とされていた。
「おい、サイネリア。どう言う事だ…これ。」
皆に緊張が走ったその時。
“バタァッッンンッッ“
空けておいたはずの扉が閉まる音が響く。
「ふぇっ!!」
紗雪の変な声も同時に響く。
「一度落ち着こうみんな。何らかの形で装置が切れていたとしても、影がいると決まったわけでもないし、風でしまった可能性も十分にある。とりあえずここからは早く出たほうが良さそうだし、急いでここを出よう。」
自分の心の中の恐怖心を押し殺して、今度はリーダーとして、皆んなを一度落ち着かせるため、小声で伝える。
三人で目を合わせて小さく頷き、駆け足で入り口に戻ろうとした時、扉の前には〈二メートルは超えるであろう、大きな体格をした〉大剣を片手に構えて、
“ドシンッ“
と佇んでいる騎士がいた。
皆に緊張が走る。
「オオコクノテキ、スベテワタシガハイジョスル」
そう呟いて、その騎士は、離れた距離から大剣を振り下ろす。
「皆んなやばいぞ!!!よけろ!!」
サイネリアが慌てて話す。
“ドゴォォォンン!“
爆音が聖堂内に響き渡る。
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