1.事故に遭ったら、美少女がいました
一話をかなり改変しました!
少しでも面白いと思ってもらえると嬉しいです。
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「疲れた。」
本格的な夏が始まり、夜でも暑さを感じる様になって来た頃、小声で下を向きながら、賑やかな住宅街の街頭に包まれて、寂しそうに歩く一人の男。
名前は《篤》いつも通りの仕事を終え、へとへとな顔で帰宅をしていた。
友人も少なく、家族にも心を開けず、気づいたら流れるようにヒソヒソ一人で暮らすようになった二十三歳の寂しい奴だ。
昔から人とのコミニケーションが苦手で、小さい頃こそ友達を作ろうと努力したが、うまく行く訳なく、誰かと関わるのをやめて、一人で生きた方が幸せだと心に思い込んでからは歳をとるだけだった。
もちろんそんなアツシに彼女もいなく、趣味はアニメ鑑賞とマスをかくことぐらいで、人生に大きな『退屈』を感じていた。
「まじ間違いねぇよなぁ!!」
「アヒャヒャ」
歩いていると、先の方で馬鹿騒ぎをしてる集団がいるのが目に入る。
邪魔にならない様に避けて歩いていく。
「邪魔くっせぇな、鬱陶しい。」
小声で愚痴を漏らす。
同時にそいつらの笑って話している顔が、目に入る。
「はぁぁ」
心のどこからかため息が出る。
どんなに強がって一人で生きてこようと、周りに誰もいないほど、寂しいことはない。
“友達かぁ“
下を向いて歩き続けている。
生まれ変わる努力もしず、特に努力することもなく、ぶつぶつ他人への妬みを呟くばっかの人生だ。
そんな時、ふと思い出す『あの日』の母さんの別れ際に言われた言葉。
『下を向いて生きてくくらいなら、上を向いて生きなさい。何かあなたのためになる事が起きた時、見落とさないようにね。』
最後に心配の言葉をかけられたことを思い出し、心の中でまだ謝れてないあの日のことを、悔やんでいる自分を自覚する。
脳内の母さんは続けて話す。
「そう言われてもまだ下を向いてるの?」
「今更無理だろ。」
現実で小声で返すアツシ。
「そんなこと言ってると早速見落としちゃうよ?」
脳内の母親は記憶にないことを言い出す。
「は?」
変な声で返事をする。
脳内の母親はポッケの中からトラックを取り出し大振りで
“ぶぅっん!“
アツシに豪速球で投げてくる。
「うわぁぁっ!!」
驚いて顔を上げるアツシ。
するとアツシの耳にクラクションの轟音が聞こえてくる。
“ぱあぁぁぁぁ!!!”
トラックの大きなクラクションの音が鳴りひびく。
「あれ?」
顔を上げたらそこには避けれるわけのない距離に、トラックが来ていた。
“ガシャァン!!“
激しい衝突音と共に目の前が真っ暗になる。
体は原型を留めないほど、みるも無惨な姿になっていた。
一瞬動揺したけど、すぐ察した。
『俺は死んだ。』
下を向いて歩いていたせいで、気づいたら道路に出てしまっていた。
耳に微かに聞こえてくる音。
“キィィーン“
“カァァーン“
不思議な音が微かに聞こえる共に、冷たい風がアツシの体をなぞる様に流れていくのを感じる。
“ハッ“として目を開けると辺りが霧がかった薄暗く見たことない所で立っていた。
“天国なのか?“
そんなことを思いながら辺りを見渡す。
少し当たりを歩いて探索していると、アツシめがけて、全速力で美少女が走ってくる。
「見つけた!!こっちに来て!!」
少女は目の前に来るや否や、アツシの手を“ガッ“と強く握り、引っ張り走り出す。
少女の引っ張る力にアツシの体も引っ張られ動き出す。
「ボケッとしてちゃダメだ!時間がないから私に付いてきて!」
突然現れた、美少女による、唐突な発言に、頭が追いつかず混乱するアツシ。
引っ張られる手を振り解く。
「何を慌ててるのか知らないが、君が誰かも知らないのに、付いてこいって言われて無理があるだろ!」
そう聞くとまた手を強く握って、質問そっちのけで俺の手を引いて走り出す少女。
「そんな説明なんてしてる暇はない!ほらよく周りを見てみろ。魂たちが集まり始めている。とりあえず今は私に付いて走ってくれ!」
体が勝手についていく。
手を引かれながら、辺りを見回すと、そこには人間や獣人、見たことない生物などの『影』のようなものが少女と俺にめがけてゆっくり群がろうとしている。
「な、何なんだよこいつら…増えてきてやがるぞ!」
アツシは動揺する。
「私を狙ってるんだ!気にするな走れ!」
少女はそれどころじゃないと返す。
「うわぁぁぁ!たすけぇてぇ!!」
「こ、殺さないでくれ!子供だけは子供だけは!」
「死んで当然なんだ、死んでもよぉ!」
黒い影達の狂乱、咆哮、怒鳴り声や、助けを求める声。
聞いたことない『恐ろしい感情』の言葉にアツシは恐怖を覚える。
その時一人の影がアツシに飛びかかる。
「私の子供はぁ!!私の子供はぁぁ!」
女の影をした者が、しがみついてくる。
「っうぅぅああああ!!!」
恐ろしい形相で訴えてくる姿を見て、恐怖を覚える。
そんな影を小さい足で力強く蹴り飛ばし、アツシの手を強く握って走り続ける少女。
「た、助けてくれてありがとう。名前だけでも教えてくれ。」
震えながらに少女に聞く。
「私の名前はサイネリアだ!好きな様に呼んでくれていい!」
「サイネリア…。ありがとうサイネリア。」
走りながら話す。
運動もしてないアツシは付いて行くのに必死になっていると、少し先に霧の中に光る亀裂のような物が見えてくるとサイネリアが話す。
「見つけた!あそこだ!でももう消えかかってる。時間がないから飛び込むぞ!」
その亀裂の前には影たちが群がっている。
「きゃぁぁやゃぁぁぁー!!」
「殺してくれぇ!殺してくれぇぇ!!」
響き渡る影達の恐ろしい声。
影達はまとめて二人に向かってくる。
「しっかり前を見ろ!ここに置いてかれたいのか!!」
恐怖で押し殺されそうになりながらも、強くサイネリアの手を握り、前を見る。
俺の片手を強く握りながら、小さい体で影を振り払っているが中々亀裂に近づけないサイネリアが目に入る。
“このままじゃ……ダメだ“
アツシの心の中に小さな変化が起こる。
震える体に鞭を打ち、サイネリアの手を強く握りながらアツシも又、サイネリアと共に亀裂の前に居る影を振り払う。
「おらぁっ!!どいてくれぇ!」
心からの声が出る。
亀裂の前の影を何とか二人で振り払う。
「いくぞ!!」
サイネリアがアツシの手を握りながら飛び込むのに、引っ張られながらも一緒に入っていくアツシ。
辺りが眩しくなり目を瞑る。
自分がどこかに落ちて行ってるのがわかる。
耳元にサイネリアの声が聞こえてくる。
「突然の事で何が何だかわからないと思うが、着いたらちゃんと説明するから。今は私に付いて来てくれてありがとう。また向こうで話そ…。」
サイネリアの声が途中まで聞こえてくると、共に眠ってしまう。
アツシは怯えながらも、少し楽しそうに笑いながら光の中に落ちていった。
この先の人生の事など、何も知らぬまま。
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