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種族はドワーフ

 俺の名はリック 種族はドワーフ!

あの小柄で髭面のオッサンというイメージが固定化してしまったせいで、


 俺様もオッサン!!


……の姿で岩を掘っている。

そしてっ!! この岩で何をするかってのも、

ぜぇーんぶ!! 何の説明もいらねぇ。


 今晩のオカズを作ってるって言っても

だぁぁぁぁっれも信用しないよな!! ははっ!!

残念でしたぁ~ 実は岩塩を掘ってるんですぅ~

本当に晩御飯の調味料なんですぅ~って言っても


 信用しないんだろぉぉぉっ!!


 なぁ~んて嘘でしたぁ~ ……


 とでも言うと思ったかぁぁぁぁっ!!


 ……すぅ~っ……ふう……いやまじで。

まじなんですってぇ~!! これ調味料!! 塩っ!! 塩なんですっ!!

今晩のオカズは魚料理!! えっ?アワビの料理だろって? オカズだけに?


 ああああっ!! もう顔真っ赤っ!!


 などとくだらない独り言を思いながら作業をしていると、どこか遠くの方から音が聞こえてきた。


 ドーン!

「なんだぁ? グランドワームにしては音がでかいよなぁ」

目を凝らして遠くを見ると、遥か遠くで煙が上がっている。


「まさかあれを退治したやつが居るのか? んなの出来るわけねぇよな」

「そろそろ帰るかぁ、これ以上暗くなたらアブねぇ」

掘り出した岩塩をカバンに詰め込み、帰り支度を始める。


 山道を下り、森へと続く道に差し掛かろうとした時、空に光輝く謎の飛行物体を発見した。あれは正にロマン!! 未知への憧れ! 正体を確かめずにはいられない。


 光の進行方向を確認する。そして向かっているのは森の奥、少し入ったところで直角にターンし、ゆらゆらと不定形な軌道を描きながら降下してゆく。


「あれ、俺んちだよ……」

輝く瞳! ほとばしる汗! 噴出する鼻息! 最高の笑顔で帰路を駆けるドワーフであった。


 一方、上空では、鉱山で人影を探す精霊イオが居た。しかし周囲は暗く、人影が見つからない。光を振り絞りながら広範囲を照らそうとするが、陽の光には遠く及ばない。意気消沈するが諦めるわけにはいかない。気力を振り絞って空を駆ける。そしてふと小さな小屋を発見した。


●「あっ! 見つけた、よかったぁ」

小屋に向かって直角に方向を変える。助けを呼べる安堵感から、たどり着いた頃にはフラフラになって降下していった。


 イオは小屋にたどり着くとゆっくりと家の周りを移動し、助けを乞うため人を探した。家の中は暗かったが確かに人影が有る。


●「あのっすみません! おねがいします 助けてくださいっ!」

イオが小屋の中を覗く、小屋の中に光の帯が差し込み、ゆっくりと人影を照らし出してゆく。人影はピクリとも動かない。イオは更に近づき確認すると、人影の背中がはっきりと見えた。そこに居た者は、白い背中に黒い紐状のものが幾重にも食い込んだ異様な姿だった。


「何の用だ?」

いきなり背後から声がした。振り向くとそこには、目を真っ赤に血走らせた男が仁王立ちとなって現れた。


●「ギヤアアアア」

イオは球体の中心から左右に向かって無数の縦線が描かれ、シワシワになって地面に落ちてしまった。


「何だよ、精霊のくせに、ていうかめちゃめちゃ失礼だろう」

リックは精霊を拾い上げると、我が家の中に入っていった。


 家の中に明かりを灯す。中にはテーブルに暖炉、寝床、秘密の扉、釜戸まであった。小屋のようでもドワーフにとっては立派な家なのである。そしてその一角に、ピッチピチの小さな水着が食い込んだ実物大の人形が飾ってあった。片手を腰に添え、もう片方の手のひらを顔の横で上に広げて立っている。種族はもちろんエルフである。リックは人形の手の上に精霊を乗せて呟く。


「んー…… 悪くないよなぁ、でももう少し翼が大きければ腰に持っていけたんだがなぁー」

真剣な眼差して創作の構想を練っていた。


 イオに光が戻った。左右にプルプルと震えた後、クルクルと部屋を見回している。リックはそんなイオに目を向けた。


「でっ、何の用なんだ?」

●「あわわわわわっ!」


「だからそりゃもういいって、俺に何かして欲しい事があるんだろ?」

●「あのっ、そのっ、助けて欲しい人が居るんです! お願いします!」


「あんたどこから来たんだい? まさか荒野じゃねぇだろうな」

●「お願いします!! 動けないんです! 助けてください!」


「荒野に行くんだったら他を当たってくれ、俺も死にたくは無いんでな」

リックは岩塩を取り出し、細かく砕き始めた。


●「そんなっ! お願いします、ここまで動かすだけでもいいです」

●「グランドワームを倒すためにレールガンを使ったけど倒しきれなくて」

●「エルフィナ様は体が壊れて修理しないと動けないし」

●「エルフィナ様を直そうにもパロはもう居ない……」

●「パロは最後に爆弾を作って……」

●「サンドワームと一緒にパロも壊れちゃったぁぁぁぁっ!」


「さあ!! 出かけるぞ!! 今すぐに!!」

●「えっ? えっ? あ、ありがとうございます! 私案内します!」


「おうさっ!! 任せろ!」

目をギンギンに血走らせ、ひたすらにロマンを求める男リック。彼の目に灯る炎は何を見据えているのか? それは彼のみぞ知る。

前作の気分をブチ壊しにするリックが私は大好きです。

ここまで読んでくてた方、リックのロマンを加速させるよう頑張ります。

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